第44話 アドバイス

あずきの問題も無事に解決して、まほろ達の日常は至って平和である。


はやてとあずきの魔法の勉強も日々進歩しているし、Aクラスのまほろに対しての差別的な視線も減った事で、クラスの雰囲気もいい。


勿論、一部否定的な教師はいるが、そう言った教師は自分のマニュアルに添わない生徒を冷遇しているので他の生徒からの印象的も悪い。


平和で何事も無い日常を過ごしていたが、

そろそろ、春の行事が始まる頃であった。


忍者学校の行事は、まほろの前世の世界と似ているようで違う。


大きなイベントは四季によって分かれており、春の学生大会予選、夏の運動会、秋の学生大会本戦、冬の文化祭がある。


今生徒達の話題に上がっているのは春の学生大会予選であった。


予選とあるが、これは学内大会というやつである。


学年別で、学校一強いグループを決める戦闘大会である。


この予選で優勝したグループが、学校の代表として秋の本戦に出場できる。


秋の本戦は各学校の代表が集まる全国大会である。


入学は初等学校の卒業試験の成績で決まるが、各学校で授業を受けて各々が成長してくる。


成長期と言う言葉もあるし、初等学校の成績など努力次第でひっくり返る為、学校も生徒もやる気が高い。


それに、成長度合いで言えば高学年になればなるほど初等学校の成績など関係なくなるし、中等学校を卒業してからのそれぞれの進路にも影響してくるので、高学年の生徒は殺気立ってる者もいたりする。


入学したての一年生は成績順になる事も多いが、下のクラスの生徒が下克上を狙って放課後に必死に特訓している生徒も見かける。



放課後、まほろ達が帰りの準備をしていると、話しかけてくる生徒がいた。


「東雲さん、小鳥遊さん、速水さん、今日も、いいかしら?」


話しかけてきた生徒は糸訝すあまだった。


すあまは、まほろとの模擬戦未遂があった後から、こうしてやってくる事があった。


すあまは、ど真面目な性格なだけで、あの時は成績最下位だと誤解していたまほろと、主席のあずきがグループを組む事であずきの不利益を心配して声を上げただけで、まほろの実力を認めてからは、自分の成長の為に忍術のアドバイスなどを貰いにこうして聞きに来るのだ。


まほろは、魔女になりたいと言う夢の為に魔法を開発しただけで、元々は東雲として忍術を学んでいるし、魔法の方が忍術よりも複雑な理論を用いるので、忍術のアドバイスもできたりする。


すあまは、学生大会の為に今は口以外、手の平からチャクラを出して忍術を使えるように頑張っているのだが、その事について質問しにきたのだ。


穴があるとイメージできる方が簡単なので、口からが基本になるが、忍術は他でも使える。


まほろはすあまに、汗をかく事を例に出して説明したのだが、いまいち分からなかったようだ。


「汗をかく状況を作ってどう出てくるか見てみるのはどうなん?」


頭を悩ませるすあまに、はやてが提案した。


「うん、それいいかもね!」


「分かった、やってみる! みんな、ありがとう!」


はやての提案をまほろも肯定し、それを聞いたすあまはお礼を言って帰って行った。


あの様子だと今から頑張るのだろう。


まほろ達も、やる事が終わったので帰る事にするのであった。


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