第30話 世界の違い1
「まほろちゃん、これ難易度上がりすぎちゃうか?」
「こんなのを思いつくなんて、やっぱりまほろちゃんは化け物よ」
まほろ達は夜ごはんを食べた後、恒例の魔法講義をおこなっていた。
今日は箒も受け取った事だしはやての希望で空を飛ぶ魔法を勉強している。
今教えているのは万有引力のはなしだ。
はやてとあずきが、訳の分からない理屈に頭を悩ませ、苦情を言ってくるが、この法則を思いつき、考えたのはまほろではなく、アイザック・ニュートンという偉人、この世界の歴史に存在しない偉人である。
それも、ニュートンは林檎が落ちた事から万有引力について考え始めた常人とは違う思考の持ち主だ。
ニュートンに限らずあの世界の偉人達は凄い。
歴史が違うから仕方がないのかもしれないが、この世界は今だに天動説に近い考え方だし、世界は平たい。
勿論、別の世界なのだから、今まほろが住んでいる星を中心に周りの星が回っているのかもしれないし、世界は平たいのかもしれない。
世界が違えばルールも違うのかもしれないが、魔法で万有引力の書き換えができるのだから、この法則はこの世界でも使える事は確かだ。
「魔法陣に計算式は組み込んであるからどういう理屈で空を飛んでるのかを覚えればいいよ」
流石にまほろも飛んでる最中に計算をしているわけではない。
空を飛ぶ時に箒に魔法陣が浮かぶのはその魔法陣が計算の肩代わりをしてくれるからだ。
「そう言う事じゃなくて、空を飛ぶ時に鳥みたいな空飛ぶ動物じゃなくてこんな法則を編み出しちゃうまほろちゃんが異常って話なんだけど?」
尚もあずきが苦情を言うが、堂々巡りなのでまほろはにっこりと笑って話をスルーした。
勿論鳥をベースにそらを空を飛ぶ飛行機と言う乗り物も知っているが、あれは気流を利用した飛び方で、魔女らしさがない。
どちらかと言うとムササビの術の延長だ。
せっかく前世の知識があるんだから、利用しないではないのだ。
「これを理解して魔素の扱いを覚えて、魔法陣の組み立てができれば空を飛べるよ」
「簡単に言うけど、それが難しいのよ?」
まほろの説明にあずきが苦笑いだが、まほろだってこの魔法が出来るようになるまでに数年かかっているのだ。
教えたからと言ってすぐできる物ではないだろう。
しかし、まほろが何もないところから試行錯誤の末作り上げた魔法も、方法が確立しているなら勉強と練習をすれば出来るようになるまでの時間はずっと短くなる。
「私は頑張んで!早く空飛べるようになるんや!」
「私は見た事もないからぼんやりとしてるわ。まほろちゃん、飛ぶ所見せてくれない?」
やる気のみなぎるはやてとあずきの温度差が激しいが、あずきの提案に食いついたのははやての方であった。
「まほらちゃん、私もまた見たいわ!」
2人の意見に少し考えたまほろはうんと頷いた。
「わかった。見せながらの方が分かりやすい所もあるし、外に行って見せながら教えようか」
室内で座学ばかりでも集中力は続かないだろう。
夜も遅くなって来てはいるが、3人は寝巻きから服を着替えて、真新しい箒を持って外へ向かうのであった。
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