第13話 講義開始

まほろがお茶をゆっくりと飲み終わる頃に、はやてとあずきが採寸から戻って来た。


「服も箒もしばらく日にちが掛かるよ。10日ぐらいかな。だから今日はこれでお終いだよ。あ、2人の黒ローブもエイジング加工するかい?」


みれいは制作日程の説明の後、黒ローブの仕様についての質問をしていた。


このエイジング加工と言う言葉はまほろが持ち込んだ技術である。


使い古したアンティークな雰囲気を出しながら、ただ古いボロさを感じさせない味わいのある加工技術だ。


もちろんはやてとあずきはエイジング加工の言葉の意味がわからず、首を傾げてまほろを見た。


「私は新品のパリッとした物よりも少し使い古したクタッとした感じが欲しかったからね」


まほろが自分の黒ローブを見せた。


「そもそも、魔女のローブは黒じゃ無いといけないの?」


あずきの質問は魔女を知らないこの世界の人間にとってはもっともなものであった。


しかしその質問は、魔女オタクとも言えるまほろの変なスイッチを押した。


「あ、」


前に同じ状況で質問したみれいは、小さな声をあげた。


「そりゃぁ魔女と言えば黒いローブは鉄板だよ! もちろん私達は魔女と言うよりは魔女っ子だからかわいい衣装って選択肢もあるけど、それが許されるのは小学生までだよ。それに____」


「あかった、わかったでまほろちゃん、魔女のローブは黒がええねんやろ!私達も、まほろちゃんと同じでそのエイジング加工っちゅうのしてもらうわ! な、それでええよな、あずきちゃん!」


「そうだね!」


はやては感がよく、このままではいけないと察したのか、話をうまく途切れさせて、暴走しそうなまほろの話を終わらせた。


「もぅ、まだ話はたくさん続くのに……」


「その話はまた今度にしよな、今はとりあえず服の注文が先や!」


その後は、はやてとあずきの魔女の服コスチュームと箒注文し終えて、今日は学生寮へと帰宅する。


そしてその日の晩、食事を終えた後、はやてとあずきの2人はまほろの部屋へとやって来た。


「それじゃ、魔法の基礎について説明していくよ」


まほろが抗議を始めようとした所で、はやては勢いよく手を挙げた。


「どうしたの? はやてちゃん」


「本当にチャクラが少なくても魔法使えるようになるん? あずきちゃんは有名やし置いていかれるんとちゃうか不安なんやけど」


はやては、魔女になりたい気持ちはあるのだが、あずきも一緒に習う事になった事で、チャクラの差を心配しているようだ。


「大丈夫!魔法にはチャクラは使わないから」


その発言を聞いて今度はあずきが手を挙げて質問した。


「チャクラを使わないって言うのはどう言う事なの? なにかの術を使うのにチャクラが必要なのは常識でしょう?」


あずきの質問にまほろはニコリと笑って質問に答えた。


「その常識を覆しちゃうのが、魔法だよ! まずは魔法を使う為に必要な魔素の説明からしていくね」


夜のまほろの部屋で、第一回魔法講義が始まるのであった。


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