第14話 秘伝
まほろの部屋で第一回の魔法講義が始まり、まず初めに教えるのは魔法に使う魔素の説明である。
「ちょっと待って、つまり、魔法って言うのは体内のチャクラじゃなくてその魔素って言うのを使って無限に忍術を使う方法って事?」
まほろの説明を受けたあずきは、驚愕の顔と共にまほろにそう質問した。
「それだけじゃないよ。なぜ忍術じゃなくて魔法って言うかはね、忍術で制限される事を魔素を使う事で解決できちゃうからだよ。召喚魔法なんかはいい例だよね、大気中の魔素を使うから、生き物じゃなくても呼び寄せることができる」
まほろはお昼の箒を召喚した魔法を例に挙げて説明する。
正直な所、魔法と忍術の違いは和名と洋名、伝統技術と近代技術といった違いで片付けられるのかもしれないが、前世のあるまほろにとってそこは明確な違いがあり、譲れない所なのである。
「まほろちゃん、こんなの家の秘伝だからの話じゃないじゃない!なんでこんなの私達に話すのよ!」
あずきの言う事はもっともで、この技術があるだけで、自分の家が覇権を握る事もできてしまう様な技術であった。
しかし、まほろはにこりと笑ってあずきの質問に答える。
「だって、友達でしょう」
まほろはこれまで、変な格好、異端児として家族以外に差別を受けて来た。
その事で、母親にも距離を置かれるくらいに。
前世の記憶があり、大人の精神であったとしても、孤独は辛い。
自分の夢の為に平気な顔をしていても、実際は寂しかったのだ。
そんな孤独の中で、自分と魔法に憧れて友達になってくれたはやてや、家に距離を置く様に言われながらも、声を掛けてくれたあずき。
2人の友達だからこそ、この秘伝をはなすのである。
それに、この魔素の理論だけでは魔法とは言えない。
これだけではただ忍術を才能以上に使える様になるだけである。
魔法の真骨頂は、魔女に憧れたまほろの記憶とイメージ、前世で学んだ知識、そして弟が産まれるまで跡取りとして忍者の英才教育を受けた今世の知識。これを使ってまほろが生み出すこの世界の人達にとって奇想天外な技術こそが魔法である。
「わかったわ。はやてちゃんも、これは私達3人だけの秘密よ、こんな技術が外に漏れたら、戦争が起きるわ」
聞いてしまったものは仕方がないと、あずきははやてにも口止めをする。
「あずきちゃんは大袈裟だなあ、でも、そうだね、魔法は3人だけの秘密だね」
まほろとしても、誰これ教えたいと思っていない。
「なんやようわからんけど、3人の秘密やな!でも、魔法がすごいって事は分かったわ」
魔素の話だけで頭がオーバーヒート気味であったはやては、あずきの心配の話に着いていけない。
何はともあれ、魔法がすごい技術である事は事実であり、その為には魔素の理論を覚えて高いかなさなければいけない。
魔素に関しての講義は、夜遅くまで続き、次の日3人は寝不足気味になってしまうのであった。
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