第11話 召喚魔法

甘味処を出ると、ふとあずきが疑問を口にした。


「そういえば、まほろちゃん今日は箒持ってないんだね?」


甘味処にいる時からまほろは箒を持っていない。


箒はまほろのトレードマークでもあるのであずきは不思議に思った。


「そう言えば、お店に入る時には持ったった思たけど、どないしたん?」


はやてもあずきの疑問に同意する様に首を傾げる。


「食事をする所に箒を持ち込むのはマナー違反でしょう」


2人の質問に、魔法はさも当然といった感じに答えた。


今回の甘味処もそうだが、食事をする場所には箒を持ち込んでいない。


ではどうしたのかといえば、勿論魔法である。


まほろは手を目の前にかざすと、魔力を込めて空中に魔法陣を作った。


すると魔法陣から箒の持ち手の部分がひょっこりと出てきて、それを引き抜いた。


これは、正直まほろにも理論は理解できていないが、この世界に元々ある忍術口寄せの応用であった。


それを見て、はやてはすごいと目を輝かせて拍手をするが、あずきの反応は違ったものであった。


「あんた、自分がいったいなにしたのかわかってる?」


あずきはまほろの両肩を掴むと、勢いよく揺さぶりながら質問をした。


「あずきちゃん、それじゃまほろちゃんも返事できへんて!」


はやてが止めに入ってなんとか落ち着いた所で、まほろは質問に答える。


「これは召喚魔法。離れた所から箒を取り出したの」


「だから、口寄せでしょう? 生き物以外口寄せする事は出来ないわ。だって、チャクラがないもの」


あずきの言っている事は正しい。


口寄せとは、契約した動物が持つチャクラを使って自分の元に呼び寄せる忍術だ。


生き物以外にはチャクラがない為、呼び寄せる事はできない。


この口寄せの制限は、口寄せの術を習う時に1番初めに習う事だ。


あずきは、名家の娘として既に口寄せの術を習っているのだろう。


「あずきちゃん、これは口寄せの術じゃないよ、召喚魔法だよ」


まほろは、あずきに人差し指をチッチッチと振りながら笑顔で答える。


「そんな、無茶苦茶なこと……」


「それができるのが、魔法だよ〜」


はやてはまだ習っていない為わかっていない様だが、生物以外の口寄せは非常識である。


まほろの様に、笑顔で話せる内容ではないのだ。


「わかったわ。私も魔法を習えば、できる様になるのよね?」


「もちろん! これくらいは序の口だよ」


はやては空を飛んでいるところを見ているので、忍術でもできそうに見える召喚魔法よりも凄いものがあると聞いて納得だが、あずきは想像ができずに驚く事ばかりである。


正直、魔法を覚えるのは、魔女になりたいからでは無く、まほろと仲良くなりたいからであったが、今のを見て、俄然魔女に興味がわいた。


「それじゃ、今から練習場にいって練習しましょう!」


「その前に、まずは魔法がどんな物かを勉強しないとね。だから、今日の晩御飯を食べ終えたら私の部屋に集合ね」


魔法と忍術は理屈が違う為、まずは魔素の勉強から始める必要がある。


あずきとはやての、他にはどんな魔法があるのかと言った興味は尽きず、帰り道、まほろは2人に質問攻めに合うのであった。

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