第9話 甘味処
入学初日は、自己紹介とこれからの授業の説明を受けて終わりとなる。
入学した事でまほろ達一年生にも訓練場などの学校施設が開放される為、やるにのある生徒達、特に男子は早々に利用しにいって、模擬戦で誰が一番強いかを決めるのが入学式の風物詩らしく、その様子を見る為女子生徒も押しかける為、入学式後の訓練場の模擬戦エリアは人でいっぱいになる。
しかし、そんなイベントに参加しない生徒達も多くいた。
この里は中等学校の為の里だが、だからと言って学校にカンヅメされる場所ではない。
小規模ながらちゃんと大人が運営する商業施設もある。
授業で必要な物を販売する店から、衣類、飲食店まで様々で、形態的には田舎のイ○ンの様なものである
その施設の中の甘味処にまほろとはやてはいた。
「なんやねんアイツ!めっちゃムカつくわ。まほろちゃんの事バカにして!先生も先生や、なんで注意しやんねん」
はやてが、ホームルームの出来事を思い出して、怒りながら蜜豆を口に運んだ。
「先生はには多分考えがあるんだと思うよ? 多分明日の初授業とかで何かするんじゃないかな?」
まほろは苦笑いで、まるで他人事の様にそう言いながら黒蜜ときな粉が大量にかかったわらび餅を食べる。
「そうかな? でも、まほろちゃんはあんだけ言われて腹立たへんの?」
「全く。だってはやてちゃんみたいにちゃんと分かってくれる友達がいるから。あんなの相手にするだけ疲れるだけだよ」
「はー、やっぱりすごいなまほろちゃんは。私は忍術が使えやんってバカにして来たやつは全員卒業試験でボコボコにする為に頑張ったんやもん」
まほろの言葉にはやては照れながら返事を返した。
「私も一緒だよ?卒業試験でトギをぶっ飛ばしたの。そしたら「あれは無し、落ちこぼれのお前に負ける訳ない」って。そんなの知らないわよ」
「まあ、それは、たしにやけど」
はやては納得いかない様だ。自分の憧れで友達のまほろがバカにされるのは納得できない様だ。
「あ、そうや! まほろちゃん、私にも魔法教えてくれへん? まほろちゃんだけやなくて、他にも魔法で強うなった人がおれば、魔法もバカにされへんくなると思うねん!」
名案やと指を鳴らしてはやては提案してくるが、それは根本的に違う気がする。
でも、自分のことを考えて、魔法に興味を持ってくれた事が、まほろは嬉しかった。
「やっぱ私みたいにチャクラが少ない人には魔法は無理やろか?」
心配そうに尋ねるはやての質問に、まほろは首を振って否定した。
「大丈夫、魔法はチャクラを使わないから。はやてちゃんにもできるよ」
「ほんまか!よっしゃ、私もまほろちゃんみたいに強うなったるで!」
気合いを入れるはやてに、まほろは「はやてちゃんはもうAクラスだから強いと思うけど」とツッコムが、はやてはチッチッチと人差し指を振った。
「体術やのうて魔法で強うなるんや。頑張って私も空飛べる様になる!」
はやてがはじめてまほろに憧れたのは箒に跨り自由に空を飛んでいるところだった。
「面白い話をしてるじゃない。私も仲間に入れなさいよ」
気合い十分なはやてと嬉しそうに笑うまほろの話に、サングラスとマスクをつけ、クリームぜんざいを持った少女が声をかけてきたのだった。
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