中等科一年編 Ⅰ《春・学生大会》
第3話 中等学校受付
こう言ってはなんだが、忍の世界は皆、隠れ里が好きだ。
何故そう思うかと言うと、一つの大きな里の中に初等、中等位まで作れば良い物を、大きくなると隠れ里の規模ではなくなるからと言った理由で、里を分けて中等科になると、学校がメインの隠れ里がある。
別の言葉だと学園都市と言っても良い様な物だが、忍の隠れ里だから規模は小さく、都市とはいえないほどのきぼである。
そんな中等科の隠れ里の一つに、まほろは到着した。
各方面に点在する忍の隠れ里から生徒が集まってくるので、そこそこの人数になり、学生生活だけでなく、寮生活もする事になる。
バスを降りて歩いていると、まほろはここでも珍しい物を見る様な目で周りから見られている。
もう慣れたことだが、忍の学校に来る生徒達からしたら、まほろの格好は異端で物珍しいのであろう。
一番大きな建物である学校の校舎の入り口に行けば、新入生に対しての受付が仮設されていた。
中等科には、初等科の卒業試験の成績データが送られており、そのデータに基づいて組み分けが既に済んでいる。
まほろは、受付に行って組み分けの札を貰った。
受け取ったまほろの札に書かれた文字はEであった。
まほろは、その文字に首を傾げる。
受付で説明してもらうと、本来組み分けはABCDの4組のはずなのだが、何故かまほろは前代未聞のEクラスになってしまったとの事だ。
卒業試験では、全生徒を倒してトップの成績だったはずなのに、学校などから担任に目をつけられていた為、成績表の評価は低かったようである。
その為、成績のいい生徒が集まるこの里に入学するにも関わらず、成績が前代未聞に低いという『
しかし、クラスがEだろうとまほろ的には魔法の研究ができれば特に気にする必要がない。
なので、文句も言わずに指定された自分の部屋へと向かった。
この里の学生寮の部屋は、なんと全室個室である。
中等科しかない隠れ里の為、学生寮の規模はでかく、部屋は例外無く1人一つ貰える。
ここに、クラスによる差別がなのはありがたかった。
同室であったり、部屋が狭ければ、魔法の研究ができない可能性もあるからだ。
ドアを入った壁際に荷物と箒を置いて、備え付けのベットにポフリと寝転んだ。
入学式は数日後で、それまでの間は、新入生は自由に過ごして良い。
時間も余っているし、ここへ来る為のバスでの長旅で疲れてしまった為、まほろは少し仮眠を取る事にした。
部屋についたままの黒ローブの格好で、部屋着や寝巻きに着替える事なく、まほろは瞼を閉じるのだった。
まほろが目を覚ましたのは、月が高くのぼりきった丑三つ時であった。
相当で疲れていた様で、夕ご飯を逃してしまっている。
幸い、お腹が空いている感覚がある訳ではないので、今から日課になっている自主練に向かう事にした。
部屋の壁に立てかけてある箒を持って、学生寮の外へと出かける。
外に出ると、まほろはすぐに魔法を使った。
数年間の努力の末、まほろは独自に魔法の理論をある程度完成させていた。
と言っても複雑な物ではなく簡単な物だ。
この魔法の原理を《単一魔法理論》と、まほろは呼んでいる。
体内の
これは、上級忍術を使う時や口寄せをする時に使う漢字の羅列を紐解いて、英語とルーン文字に置き換え、魔素に意味を待たせた物で、この世界では戯言と笑われてしまう様な、現代日本での知識を文字として書き起こした物である。
今使った魔法陣は万有引力の効果を弄る物だ。
地面と引き合う力を弄る事で、まほろは空へ浮かび上がった。
まほろのこだわりとして箒に跨るのではなく、腰掛ける様にして空を飛ぶ。
これは、自身のこだわりである黒ローブの下が日本の
自転車の荷台で女性が二人乗りをした時と同じである。
自主練と言っても、今日はこうして空を飛んで散歩するだけだ。
まだ入学も終えてないとなれば、勝手に訓練所を使う訳にもいかないし、こうやって空を飛ぶ事は、大気中の魔素のコントロールの練習にちょうどいい。
知らない土地と言うのは新鮮で、まほろは2時間ほど、空の散歩を楽しんだ後で部屋に戻り、その日を終えるのだった。
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