第26話 明日世界が終わる夜に 5


「ノノ……?」


ゆきの姿が。景色が薄れていく……


いよいよ、終わりの時か。


……


そして、オレの世界は終わった。


……


…………?


オレの意識は真っ暗な空間の中にいた。


ここは……?


ここは……ボクの世界……。


目の前に、青く燃える、なにかの魂が現れた。


お前は……?


ボクだよ……。君たちに"ノノ"と呼ばれるぬいぐるみの。魂。それがボク。


オレの目の前に現れたのは、本物の、ノノの魂だった。


そっか、ということは。目覚めたんだな……。お前も。


うん。


…悪かったな、勝手にお前の身体使ったりして。


ううん。いいよ。……本当は、ボクもずっと、出てきたかった。でも、ボクには力がなかったから……


そっか、そうだよな。お前もずっと一緒にいたんだもんな。

お前も大切なんだな、あいつが。


……うん。…………でも。本当にいいの?それで。ボクの目覚めをもう少し遅らせることも、ボクのエネルギーを少し分けてあげることも、出来なくは……


いや、いい。

もう、出来うることは全てやった。

これ以上現世にいたら、昇るに昇れなくなくなりそうだし。……地縛霊になるなんて勘弁だ。

どちらにせよ、本来俺は既に、あの世にいってなきゃあおかしい存在なんだ。


……分かったよ。


それに、ノノがいてくれるなら。安心していけるさ。


え……


大切なんだろう、あいつが。


……うん。


ゆきのこと、よろしく頼んだぜ……


え……、え……?


オレは、自身の手から放たれる紫色の光の玉をノノに渡した。


これは?


…オレの「能力」の塊だ。もうオレには必要ないからな。お前に渡しておくよ。これがあれば、お前もゆきと話せるだろう。


ほ、ほんとう……?で、でも、ボク。なにをすれば……


……


何も気負うことなんざねぇ。ただ、あいつの傍にいてくくれれば。それでいいんだ。

ゆきのこと。ずっと、見ていたんだろう?


……うん。


誰よりも何よりも、大切の思っているんだろう?ゆきのことを。

心から助けてあげたいと、そばにいてあげたいと…。


うん。


……なら、大丈夫だ。


お前も。俺たちの「家族」なんだから。


…ボク、が?


ああ。


だからさ、あいつのこと。


頼んだぜ……"兄弟"


……!!


……うん。ありがとう…。


……お兄さん。



そして、今度こそ。


オレの意識は、完全に消えた。

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