第2話 ゆきとまお
………
暗くほとんど何も見えない建物の中を
オレは妹のゆきと進んでいた。
うらめしや〜
と白装束に身を包んだ女が出てくる
「いやあああああああ!」
とゆきは叫ぶ
ここだよ〜
「え?」
どこからか声が聞こえる
こ〜こ〜だ〜よ〜
……下からから?
下を見てると。足元に顔面血まみれの男が仰向けに倒れていた。
や"あ"
それを見たゆきは…
「わああああああああああああああああああああああああ」
と叫び飛び跳ねた。
そして
いやあああああああああああああああああ
ベシベシ!ベシベシ!ベシベシ!
右に左に、何故かゆきの往復ビンタがオレを襲う。
「……妹よ、何故っオレオっ顔うぉ叩く」
「……はっ!!ご、ごめんなさい、つい……!」
そしてそのまま暗闇歩いていくと、目の前に何かが置かれているのが微かに見えた。
「あぁ!?な、なに……」
ゆきは恐る恐るソレを確認する。
ソレは、長い黒髪が印象的な人形だった。
そして人形の傍には
「この子を出口まで連れて行ってください…」
というメッセージが添えられていた。
ゆきが人形を手に取ると。その人形の目を見るとその目は、カッと光った。
「わぁあ!!」
そして
「オギャアアアアアアアアアアア!!!オギャアアアアアアアアアアアア!!
と目をギラギラさせながら甲高い声でなきはじめた
「やあああああああああああああああああああああ」
「あっ」
驚いたゆきは思わず人形を遠くへと投げ捨ててしまった…。
「ねえ、もう、出ようよ……」
「おおい、人形はいいのか」
「いいよ、もうこんなところ早く出たいよ〜」
半泣きになきながらゆきは言った
「ったくもう。ゆきが入りたいって言ったんだろうに…」
仕方なくゆきの手を掴みスタスタと出口を探しさまよう。
暫く歩いていると、ようやく微かに光が見えてきた。
「あ、もうすぐ出口かも…よかったぁ」
しかし、その時。
ブルるるるルルルルルルルルルル!!!!
突然ゆきのケータイが鳴り出した。
「ひぃぃ!!」
びくぅっとなりながら、ゆきはケータイを恐る恐る取り出す。
「もしもし…」
「…………ひは」
「だ、だれ?!」
「わたし、マリーさん。今ゴミ捨て場にいるの……」
「え……」
「わたし、マリーさん、いま、あなたの近くにいるの」
「い、いや…」
「わたし、マリーさん……。今……」
ふと、背後から、気配を感じた。
俺とゆきはそっと背後をみる……。するとそこには。
俺たちと同じくらいの身長に成長した、あの人形の姿が目の前に……
「今……、あなたの後ろにいるのぉ」
片目をギョロっと飛び出させて少女は笑った。
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ゆきは盛大に叫びながら全速力で走った。
オレの腕を掴みながら…。
ほぼ引き摺られるような形でオレはゆきについていく…
ずるルルルルルっドカバキボコっ!ガン!
「ぐっ…!?」
周りのあらゆるものというものにぶつかりながらオレはひたすら引き摺られた。
こうしてオレたちは「お化け屋敷」から脱出した。
「はぁ〜、怖かったね……お兄ちゃん…」
「あ、ああ……」
オレの全身はボロボロになっていた
「え、お兄ちゃん…、どうして、そんなに傷だらけなのっ?」
「いや……、やられたんだよ…、幽霊に…。いや、幽霊よりも、もっと恐ろしいものかもしれない…」
「えぇ…??」
妹はキョトンとした顔でオレを見ていた。
……
「じっとしててねお兄ちゃん」
ゆきの手から白く淡い光が放たれる
その光はオレの身体を包み込み。先程に受けたオレの身体の傷は見る見るうちに癒えていった
「ふぅ。これでもう大丈夫だよ」
「ああ、ありがとう。助かる」
そしてオレは再びなんの問題もなく動けるようになった。
今のは、ゆきの「能力」だ。
「能力」…。この世界にいるものなら誰もが1つは必ず持っているもの。
その種類は多岐に渡る。炎や雷を出したり、ゆきのように回復したりと様々。
ちなみに眠音ねむは、その名の通り「眠る」能力を持っている。
そして、今は。ゆき能力で傷を回復したのだ。この能力はある程度の傷なら瞬時に治してしまえるようだ。結構便利。
オレとゆきは「遊園地」に来ていた。
この前、ゆきが唐突に遊園地に行きたいなどというものだから。来ることになったのだ。
ここは、小さい頃にゆきと何度か来たことのある場所ではある。
しかしどうして今頃になってここに来たいのだろうか。
「お兄ちゃん、次はどこいく?」
「んーそうだな。」
オレとゆきは噴水広場のベンチに座りながら次に向かうべき場所を考えていた。
ゆきは、やたらと時計を見ていた。
「…なんでそんな時間を気にしているんだ?なにかあるのか」
「え?ええ、と…、なんでもないよぉ!」
「…?」
ここに、時間制限のあるアトラクションなどはないはずだが。まだ時間も昼で帰るような時間でもないが。…まあよいか。
「ちょっと飲み物買ってくるねー」
そう言ってゆきは向こうの方へ行った……
待ってる間特にすることも無いので、ぼっと景色を眺めている。
ベンチにもたれかかり、顔を逆向けにしながら背後を眺めていると、妙に目立つものが目に入る。
その女は、長い黄金の髪をたなびかせ。まるで異国のお姫様のような派手な赤いドレスを身にまとっていた。
その姿はここ遊園地とはいえ、明らかに他のものとは一線を画していた。
「おわー、なんかすげー奴だな」
そいつに見とれていたオレは、気づかなかった。あまりにも体重を預けすぎてベンチが傾いいることに…
そして
ガタン!!
とベンチがついに倒れてしまった
「あっ」
ゴロゴロゴロゴロ
勢い余ってオレは盛大にすっ転んび転がった。
「いつつ……」
そして見上げると
オレの目の前には、さっきの「黄金の女」がいた。
「………………」
その女の鋭い視線は、まるで、ゴミでも見るかのようにオレを見下している。
オレはその女に土下座でもしているかのような体制になってしまっていたのだ。これでは変人だ。
「…ど、ドウモ…」
なんとか絞り出した言葉に、
その女は応えた。
「フン…。あなた……、よくわかっているじゃあない」
「……?」
「この私を…気高き女王、「金城まお」だと知っていての行いでしょう?この大衆の蔓延る中でも、常にワタクシに対する忠誠を忘れないその気高き精神。気に入ったわ。あなた名前は?」
なんだかよく。わからないが、この金城まおと名乗る女は謎に誇らしげにしている。
このまま話を合わせた方がいいかも…
「え、ええと。「月城彼方」。です…?」
「フゥん。月城彼方ね……。いいわ、あなたの事は覚えて置いてあげる。…ん?月城…?」
金城まおは何故かオレの名前になにか気になるようす。 そんな珍しい名前でもないだろうに、
「まさか、あなた……」
その時、買い物に行っていた、ゆきが戻ってきた、
「お兄ちゃーん買ってきたよぉー。……あれ?お兄ちゃん、何してるの……?」
走ってきたゆきを見て金城まおは驚いたようにゆきを見て、言った。
「……!!月城ゆき…!」
「え…まおちゃん…?」
「ゆき……」
「まおちゃん」
ゆきと金城まおは微妙の空気の中見つめ合う
知り合いなのか、こいつら…
「あなた、こんな所でなにをやっているの?」
「なにって、私はお兄ちゃんと一緒に…」
「……お兄ちゃん、ね。……まさか、もしかしたらとは思ったけど、本当にゆきのお兄様だったとはね」
と金城まおは俺を見て言う
「全く、アイドルのくせに呑気にお兄様と遊園地デートとは…、これが私のライバルだなんて…」
「で、で、デートじゃないよぉ!!一緒に遊んでるだけだもんん!!」
いや、ゆき自信が遊園地デートと言っていたような……
ゆきは腕を回してポコポコと金城を殴る
しかし金城はそんなゆきの顔を手で受けて止めて言う
「なに顔を赤くしているの。それよりもゆき。時間なんじゃあないの?」
と言われ、あっと時計をみるゆき。そして言う
「そろそろ準備しないと」
「まったくあなたは……。しかし、彼。あなたのお兄様にしてはなかなか素質のある奴ね…。ワタクシの下僕にふさわしいわ」
「えぇー!?ダメダメダメだよお兄ちゃんは私のだよー!!」
ゆきはオレの腕にしがみつく
いや、オレは誰のものでもないが……?
というか下僕ってなんだ
「フフっ、冗談よ……」
そう言って金城まおは黄金の髪をたなびかせ去っていった。
そんな金城まおの姿をオレは…
妙なやつだな。と思った。
……
「知り合いだったのか?さっきのやつと」
「うん。金城まおちゃん。私と同じ「アイドル」だよ!」
「ふうん。アイツもアイドルなんだな……、ゆきとはかなり雰囲気が違っていたが…。そういえばさっき時間がどうとか言ってたが何かあるのか?」
「あ…、そ、それはお兄ちゃんは気にしなくていいよ!そ、それよりもね、私今から行きたいところがあるんだけど、いいかな?」
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