第3話 彼女も欲求不満?
藤咲さんにパフェ大食いチャレンジに誘われた俺。指定された場所・時間に向かうと、その店に大食いチャレンジはないことを知らされる。
誘った本当の理由は“俺のことを知りたいから”だそうだ。そんな嬉しいことを言ってくれるなんてな…。
そんな中、彼女が普通に注文した特大パフェが運ばれてきた。これを2人で食べながら雑談の続きをしよう。
「藤咲さんって男に興味あるんだな。女子大にいるみたいだし、嫌いか興味ないと思ってたよ」
これ、俺の偏見なのかな…?
「大学を選ぶ時は男の人が苦手だったね。でも今は違うんだ」
「違う?」
「うん。今は欲しくて欲しくてたまらないのよ。理想の彼氏がいたらすぐ付き合いたいわ」
方針転換した理由が気になるが、訊いて良いものか? …やっぱり止めておこう。トラウマに触れるかもしれない。
「藤咲さん可愛いし、彼氏ぐらいすぐ見つけられるんじゃない?」
「可愛いって…。佐竹さん、そういう事言う人だったんだね」
ついクサいセリフを言ってしまったが、彼女は満更でもなさそうだ。
「1回だけ、他校の出会い目的のサークルに雫と一緒に行ったんだけど、みんなチャラいし下心丸出しでうんざりしたわ…」
「雫って誰?」
「大食いサークルのメンバーよ。あたしの幼馴染で
大食いサークルには、藤咲さん入れて4人いると聴いたな。諸星さんはその1人か。
「あたしはちょい年上の男の人が良いな~。佐竹さんぐらいの」
彼女は大学2年なので、19か20だろう。俺は25になる。この差ならちょいになるかもしれない。
「あっ…」
彼女が急にそわそわし始めた。
「どうかした?」
「何でも…ないよ」
藤咲さんは俺から少し目を外し、恥ずかしそうな仕草を見せる。
まさか、さっき自分が言った言葉のせいで俺を意識し始めた? だとしたら天然というか、うっかりというか…。
テーブル席でパフェを食べている俺と藤咲さんのそばを、2人の女子が通り過ぎた。…2人とも、藤咲さんをジロジロ見てたような?
「やっぱりまどかじゃ~ん☆」
再び俺達のそばに戻ってきた女子が元気な声で言う。
デフォルメの犬がプリントされたグレーTシャツが印象的だ。デフォルメの感じからして、藤咲さんのと同じだな…。
「雫! どうしてここに?」
この人がさっきの話に出ていた諸星 雫さんか!
「私は偶然“たきなん”と一緒に来てたんだよ。そうしたらたきなんが『まどかの声が聞こえる』って言うから確認しに来たの。お手柄だよ、たきなん!」
諸星さんは隣にいる彼女の肩に手を置く。
「部長。この人彼氏…?」
たきなんと呼ばれた女子はネイビーのワンピース姿か。大人しそうで落ち着きある雰囲気だ。名前がわかるまで“たきなんさん”と呼ぼう。
「違う違う! この人とは昨日知り合ったの」
「ふ~ん。ねぇまどか、私達も一緒に良い?」
諸星さんは興味津々な様子で俺を観る。
「佐竹さん、良いかな?」
「良いよ」
諸星さんは確定だが、たきなんさんも多分サークルの関係者だろう。俺がいるせいで引き離すのは良くないな。
「ありがと~」
「…お邪魔します」
諸星さんは藤咲さんの隣に、たきなんさんは俺の隣に座る。
「君、俺の隣で良いの?」
知らない男の隣って嫌がるかと…。
「…全然問題ないけど?」
「そ…そうか」
彼女が気にしないから良いか。
「“さたけん”はどこの大学なの~?」
2人の着席後、諸星さんに訊かれた。
初対面の男をあだ名で呼ぶのか。フレンドリーと言うか、馴れ馴れしいというか…。
「俺、25歳の社会人なんだけど…」
藤咲さんにも勘違いされたな。どうなってるんだ?
「マジで!?」
「…全然見えない」
たきなんさんにも驚かれるとは…。カッコよくて頼りがいがある男に見られるように、ひげでも伸ばそうかな?
「ごめんね、さたけん」
「さっきから言ってる“さたけん”って何だ?」
そんなあだ名は初めてだ。由来が気になる。
「名字の最後に『ん』を付けてるだけだよ? たきなんも名字は『滝名』って言うからね」
「雫。自己紹介する前に説明しても、佐竹さんわからないわよ?」
冷静にツッコむ藤咲さん。
「確かにそうだった!」
諸星さんもうっかり系なのか? 藤咲さんと幼馴染だから波長が合うのかも?
「私はまどかと同じ大学の2年、
「…同じ大学の1年、
2人が自己紹介を済ませたし、俺が最後か。
「
「よろしく~、さたけん!」
「…よろしく」
諸星さんは俺の歳を知っても、呼び方を変えないのか…。別に気にしないがな。あだ名で呼ばれるなんて、学生に戻った気分になるからだ。
この4人で引き続き、おしゃべりは続いていく…。
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