【トラック2】ステップ2 恋人と一緒にお家カフェ♪

◆場所:聞き手の部屋(1DKくらい) 乃愛と聞き手が部屋に入っている

 ※聞き手のセリフは補足的なイメージです


 SE:がちゃっと扉を開く音

 //立ち位置:左前 声の距離:普通

 乃愛が次のセリフはあちこち見て回るように


「うわ~、ここがお兄さんの部屋なんですね……」

「私、男の人の部屋に来たの初めてです……」

「すっきりとしてて、とてもきれいです。お片付けもちゃんとされてるんですね」

「部屋の真ん中に小さいテーブルがあってかわいいですね」


 聞き手「とりあえず座ろうか」

 //立ち位置:正面 声の距離:普通


「はい、ありがとうございます」

「それでは、お兄さんの前に座りますね」


 SE:ふたりが床に座る音

 乃愛と聞き手は小さな座卓を挟んで、お互いに向かい合って床に座っている


 //立ち位置:正面 声の距離:普通


「ああ……私、今、男の人とふたりきりで部屋にいます……人生初体験です……」

「緊張して……心臓がとってもドキドキしてます……」

「(気を取り直して)で、では、お兄さん。何から始めましょうか?」

「あっ、そうです。実は私、恋人ができたらやってみたいことリストをつくってみたんです」


 SE:がさがさと紙をとる音


「見てください。私が徹夜でつくったリストです」

「(妄想に耽りながら)もし私に恋人ができたら、遊園地にもお出かけしたいし、浴衣を着て花火も見たいし、カフェでお茶もしたいし、夏になったら……み、水着デートして、ふたりで夕日の海岸を走ってみたりして……きゃっ」

「ああ~……、夢がふくらんでしまいます……」

「その夢を叶えるためにも、私は男の人に慣れなければいけないんです」

「さあ、早速、恋人ごっこをしましょう」


 聞き手が「まず何をするの?」と聞く。


「そうですね……まずはどれから始めましょう……? う~ん…………」

「(ひらめいたように)そうです、ファーストステップとして、お茶からなんていかがでしょうか?」

「やっぱりカップルが最初にデートをするのは、カフェが定番ですからね」

「(妄想に耽りながら)何を話していいかわからないカップルが照れながら、お互いの距離を少しでも縮めようとする……ああ、なんて初々しいのでしょう」

「カップルジュースもいいですよね……ひとつのジュースにストローをさして、顔を近づけて、ふたりでジュースを飲むなんて……素敵ですぅ~」

「なので、私も男の人に慣れる第一歩として、ちょうどいいと思うんです」


 聞き手「カフェに行くの?」


「大丈夫です。カフェに行かなくても、お家でもカフェ気分を味わえるように、私、お土産に紅茶とケーキを用意してきたんです」

「おいしいお茶とケーキなので、ぜひ召し上がってくださいね」

「お兄さんは、そのまま座っててください」

「今日のお礼に、私がお茶の用意をしますから……」


 SE:フローリングの床で足音が遠ざかっていく音

 乃愛がキッチンに行く

 //立ち位置:正面 声の距離:遠い


「あ、あの、お兄さーん。ティーカップはこちらをお借りしてよろしいですか~?」


 聞き手「いいよ」


「はい。ありがとうございます。こちらの電気ポットのお湯をお借りしますね……」

「先にティーカップとティーポットを軽く温めて……」

「それから、ポットに茶葉を入れる……」

「はい、準備ができました。それでは、今から持っていきますね……」


 SE:フローリングの床に乃愛の足音が近づいてくる音

 //乃愛の声の向き:正面 声の距離:普通


「お湯で紅茶の茶葉を蒸らしてる間に……」

「ティーカップをテーブルに並べていきますね」


 SE:ことっと皿をテーブルに置く音


「ふふ、お家でもティーカップがあるだけで、ちょっとしたカフェ気分になりますね」

「あとはお皿とフォークを置いて……」


 SE:かちゃとティーカップとソーサーをテーブルに置く音


「ケーキはこっちの箱に入ってますから、ちょっと待っててくださいね……」

「私のおすすめのお店のショートケーキです」

「とってもおいしいので、ぜひ召し上がってくださいね」

「あっ、そろそろお茶ができあがりそうです」

「ふふ、紅茶の茶葉がいっぱい踊って楽しそうです」

「では、お茶を入れていきますね……」

「茶葉を入れたポットから茶漉しでこしながら、ティーポットにお茶を移します」


 SE:お茶を入れる音


「お友達のカフェのオーナーさんのお話では、最後の一滴まできちんと入れるのがポイントなんだそうです。その最後の一滴をゴールデンドロップというそうですよ」

「このゴールデンドロップ、お茶の香りや味わいにとっても大切な役目があるそうです」

「はい、準備ができたので、そちらに行きますね……」


 //立ち位置:左 声の距離:近い


「では、ティーポッドからお兄さんのカップに紅茶を注ぎますね……」


 SE:2~3秒お茶を注ぐ音


「う~ん。いい香りがします~」

「やっぱり紅茶の香りはリラックスしますよね~」


 紅茶を飲もうとする聞き手を乃愛が止める


「あっ、お兄さん、ちょっと待ってください」

「私、恋人ができたら、どうしてもやってみたいことがあるんです」

「えっと、ですね……」


 //立ち位置:正面 声の距離:近い


「ふーふーってしてあげたいんです」

「恋人が好きな人のためにふーふーしてあげるのってかわいいですよね」

「あれ、私もやってみたかったんです。ぜひやらせてください」

「じゃあ、ふーふーしますね」

「ふー……ふー……ふうううぅ~~~」

「(カップの温度を確かめながら)んー……まだちょっと熱いですね……」

「では、もう一度……ふー……ふー……ふうううぅ~~~」

「うん、ちょうどよくなりました」

「お兄さん。さあ、どうぞ召し上がれ」


 聞き手が紅茶を飲む


「いかがですか? おいしいですか?」


 聞き手「うん、おいしいよ」


「おいしい? よかったです……」

「お口に合わなかったら、どうしようかと思いました……」

「ではでは、ケーキも食べましょう」

「あっ、でも、これも恋人の練習です」

「やはり恋人といったら、あーんで食べさせてあげるのです」

「あれができなくては、とても恋人なんてできません」


 聞き手「大丈夫? 突き飛ばさない?」


「だ、大丈夫です。頑張って突き飛ばさないようにします」

「では、ケーキを切り分けて……」


 SE:カチャカチャとフォークでケーキを切る音


「一口サイズにしたら……フォークで刺したら……」

「お、お兄さん……いきますよ?」


 SE:カチャカチャとフォークでケーキを切る音

 //立ち位置:正面 声の距離:とても近い


「(緊張したように)は、はい、あ~~~ん」


 聞き手が食べる


「い、いかがですか? おいしいですか?」


 聞き手が「うん、おいしいよ」と答える


「(気が抜けたようなためいき)はあ~~~……」

「よかったぁ……ちゃんとあーんできました……」

「(嬉しそうに)で、では、もう一口食べてみてください」

「はい、あ~~~ん♪」


 聞き手が食べる


「やりました。二口目もできました」

「(感動しながら)ううっ、夢にまで見たあーんができるなんて……」

「私、なんだか楽しくなってきちゃいました」

「では、最後の一口いきますよ」

「はい、あ~~~ん♪」


 聞き手が食べる

 //立ち位置:正面 声の距離:普通


「……ふう、なんとかあーんを無事に達成しました」

「お兄さんがすごくおいしそうに食べるので、私まで幸せな気分になっちゃいました」

「誰かがおいしそうに食べてる姿って、幸せになっちゃいますよね」

「ああ、世の中のカップルは、こんなに幸せなことを毎日してるんですね……」

「(緊張したように)じゃ、じゃあ、あの、お兄さん……」

「今度は私にも、あーんしてくれますか?」

「私もあーんをしてみたいです」


 聞き手「できる?」


「(緊張したように)は、はい、なんとか頑張ってみます」

「では、よろしくお願いいたします」

「思い切ってきちゃってください」


 SE:カチャカチャとフォークでケーキを切る音

 //立ち位置:正面 声の距離:とても近い


「(緊張しながら)は、はい、あ~~~ん」

「ぱくっ……はむはむ……はむはむ……」

「んん……おいしいです~~~♪」

「恋人に食べさせてもらうのって、こんなにおいしいんですね」

「もう一口……、もう一口お願いいたします」


 SE:カチャカチャとフォークでケーキを切る音


「はい、あ~~~ん……♪」

「ぱく……はむはむ……はむはむ……」

「んん……幸せですぅ……♪」


 //立ち位置:正面 声の距離:とても近い


「こ、これは想像以上の破壊力です……マンガや映画で想像してたよりも、すごい破壊力です。でも、すごく楽しくて幸せです……」

「(独り言のように小声で)あれ? 今のフォークって、さっきお兄さんに私が食べさせたのと同じ……」

「こ、これって、もしかして間接キス……!?」

「ふえええ~~~!?」


 聞き手「どうかしたの?」


「い、いえ、なんでもありません。あはは、なんでもないです」

「あっ、お兄さん、待ってください」

「口元にクリームがついてます」


 聞き手「ここ?」


「あっ、いえ、そこではなく……」

「待っててください。今、ハンカチで拭いちゃいますね……」


 //立ち位置:正面 声の距離:とても近い


「よいっしょ……」

「はい、これできれいになりました……」


 乃愛が顔を近づけていることに気づく


「わわっ、私ったら、なんて大胆なことを……」

「は、恥ずかしい……今のことは忘れてください……」


 聞き手「ありがとう」

 //立ち位置:正面 声の距離:とても近い


「ありがとう、だなんて……。私こそ付き合ってもらってるのに……」

「こ、今度はカップルジュースにも挑戦してみましょうね♪ ふふふ」




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