第3話 ごはん
//扉を閉める音。
「お邪魔しまーす。けっこういっぱい買うことになっちゃったね。荷物、重かったでしょ? 大丈夫? さすが男の子だね……力こぶ触って良い?」
//耳元に移動。
「おっきい。それにすっごく硬い。すごいね」
//布がこすれる音。
「まだお夕飯には早いわよね。何しよっか。……勉強を教えてほしいの? 今日さぼっちゃったから? 良いよ。頑張り屋さんなんだね。偉いぞー。教科は? 数学ね」
//ドア開閉音。
//ビニール袋を置く音。
//鞄を置く音。
「このローテーブルで勉強しよ」
//ぺらぺらと紙をめくる音。
//シャーペンをノックする音。
「もう、向かい合ってたら見にくいでしょ。横に座るからちょっと詰めて……詰めすぎ。もっと近くに。もっと。うん。じゃあ始めよっか」
//さくらの声が右に移動。
//以下シャーペンでの記述音がとぎれとぎれに入る。
「はい、じゃあまずこの問題ね。うん、この公式使ってみて……うん。そしたら代入して……そうそう、すごいじゃない! じゃあ次の問だ、い……なぁに、人の顔ばっかり見て」
「何か言いたいことがあるなら言えば? んー? わかんないなぁ。どこが当たってるの? きちんと言わないと分からないなぁ。あれぇー? 顔、赤くなってるよ。君、すぐ赤くなるねぇ」
「私も恥ずかしいよ? でも、君にだったら嫌じゃないもん」
//消しゴムを落とす。
「あっ、消しゴム……ほら、早く拾って」
SE:主人公が消しゴムを拾うために動く音。衣擦れ系。
SE:座卓に頭をぶつける音。
「もう、何やってるの? ほら、見せてみなさい……んー、こぶにはなってなさそうね。まだ痛い? ほら、頭撫でてあげる」
//頭を撫でられる。声は背後、近距離に移動。
「大丈夫。痛いの痛いの飛んでいけ。……何かあっつくない? 熱ある? んー……そんな感じじゃないけど。顔、真っ赤だけど何かあった?」
「水色の……しまし、ま……? 見たの? もう、えっちなんだから」
//恥ずかしそうに少し笑う
「わざとじゃないって? うん、わかってるよ。でも、もしお願いされたら、見せてあげても良いよ? あ、でもさすがに恥ずかしいし、もっと遅くになって、暗ところでが良いな」
//さくらは声を潜めるとてつもなく近い距離で囁く
「夜までは我慢。ね? お返事は?」
//十秒ほど沈黙。
//普通の声量に戻る。
「はい、よくできました」
「じゃあ続き、しましょ……変なこと考えたでしょ? 勉強の続きよ、勉強の。でも、君がどうしてもっていうなら、たくさん頑張ったらご褒美を考えてあげる」
「えっ!? サキュバスの正装が見たいの? もう、昨日見たでしょ?」
「分かった。じゃあ、いっぱい頑張ったらね。あと、すっごく恥ずかしいんだから部屋は暗くするからね? 昨日の夜だって暗かったでしょ?」
「綺麗だったって……ふふっありがと。はい、じゃあさっきの公式を使った問題、このページまで解いてね。私はご飯作ってくるから、完成するまでに解き終えてたら衣装、見せてあげる」
//耳元で囁く
「応援、してるからね」
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「うん。よく頑張りました。すごいねぇ……こんなにすらすら解けるとは思わなかった。頑張り屋さんなんだね」
「約束通り、後で見せてあげるね。でもその前にご飯食べよ? 特製チキンライスのとろとろオムライス、あったかいうちの方が美味しいよ。あ、でも待ってね。最後にケチャップ、で、ハート、を、っと」
//後半、ケチャップを絞る音とともに。
「はい、手を合わせて。……いただきます」
//スプーンと食器の音。咀嚼音。
「どう、美味しい? ……えへへ、良かった。喜んでもらいたくて頑張ったんだ。ね、私えらい?」
//スプーンと食器の音。咀嚼音。
「私も頑張ったから、ご褒美ほしいなぁ……頭をなでなでしてもらったりとか、駄目……かな?」
//ちょっと不安そう
「えへへ。ありがと。はい、じゃあお願いします……」
//頭を撫でる。
「んっ……温かくて、おっきな手……気持ちいい。私の髪も触り心地いいの? 嬉しい。いっぱい撫でてくれて良いんだよ」
「私がまた美味しいご飯作ってごちそうしたら、またなでなでしてくれたりする?」
//10秒ほど。
「えへへ。それじゃ、いーっぱい練習しとくね。また美味しいって言ってくれるように頑張るから」
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