第4話 天使様の名前は・・・

「早く急がないと遅れますよ!」


「は、はい」


 今私は天使様に手を引っ張られて歩いている。

 うう、かすり傷で済んだけど、さっき転んだところが地味に痛い。


 ところで、どこに向かっているのだろう?周りからもちらちら見られている気がする。


 あれ?私、生きているの?そういえば、幽霊にしては地面を歩いているし、何よりも目の前の天使様はこの学園の制服を着ていらっしゃる。


 そう思うとさきほどの言動が急に恥ずかしくなってしまった。


「…………」


「…………」


 お互い何も喋らないから、きまずい……


「ええと、名前、聞いてもいいかな?」


「み、水崎凛です……」


 よかった。彼女の方から話を振ってくれた。なんとか噛まずに自分の名前を言えた私を褒めて欲しい。


「凛ちゃんだね。私は宮園天みやぞのそら、普通にそらでいいよ」


「そらちゃん……///」


 惚れた。多分今の私は誰が見ても恋する乙女の顔をしているのだろう。

 

 そうだ、今日初日だから早く職員室に行かなきゃ!


「ごめん、私、今から職員室に行かなきゃ」


「あ、私こそ、引き留めちゃってごめんね」


「…………」


「ど、どうしたの?」


 そういえば、職員室ってどこいけばいいの??

 こんなだだっ広い学園で探し回ったら、絶対に間に合わない。

 

「いや、あの、職員室って、どこですか?」


「ええっ!凛ちゃん、もしかしてこの学園はじめて?」


「は、はい。転校してきて、今日が初めての登校日です……」


 そらちゃんがとても大袈裟に驚いている。そんなに珍しことなのかな?転入生って。


百合ヶ咲ここって、入学も難しいんだけど、なぜか原則転入することができないんだよ。だからよっぽどの理由がないと……もしかして、凛ちゃんってどこかの国の王女様?」


「え?そ、そんなんじゃないよ。名前の日本人だし……」


 本当に王族とかじゃないよね?うん。

 私の両親は普通に逸般人だし、王族の親戚なんていないし。

 となると、やっぱり父親コネ支援金わいろかー!!

 

 うう、これが知られたら絶対にそらちゃんに幻滅されてしまう……


「だよね!でも、凛ちゃん可愛いから全然王女様だとしてもおかしくないよ!」


「か、可愛い……///」


「あ……///」


 これって、さっき私がやっちゃったやつ!

 なに?この初々しさ。あれ、私たちもう付き合っているとか??じゃ、じゃあ、ハグとかキ、キスとかしていいやつ??で、でも、まだ私の心の準備があ……


「あ、早く職員室に行かなきゃ!」


「……うん」


 くうぅ、これがおあずけってやつか!!


 その後ちゃんと職員室にたどり着いて私たちは別れた。

 でも、なんだか近いうちにまた会える気がする。







 


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終わらせない初恋〜振られた相手がヤンデレ化して戻ってきた〜 ここなっちゅ @KORI7597

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