第49話
「おう、やったな。」
「やりましたね。」
ここはハムデンの
カンプの胸から光る明かりの先には、穴がある
ただの穴ではない
ジョリジョリ、
やっと、通路を探し当てて、穴を開けたのだ
「早速、初日の分を入れとくか。」
「そうしましょう。」
燐肥料をショベルで取り、穴に入れて、紐の付いた板をショベルで動かして蓋をする
「できました。」
「くれぐれもジョリジョリの通路に落ちんじゃねえぞ。」
「解ってますよ。
「よし、セントーラス号に戻るか。」
近くに停まっている船に乗り込む
「お疲れさまでした。」
キャロウさんが言う
「夜が明ける前に引き上げましょう。レナーレ、出発してくれ。」
パブロペトリのセントーラス号の格納庫
その脇に作られた監視場所
これからしばらくは、現場に残した
「一応、2人で監視だ。」
「俺とトラ、キャロウのだれかが常にいることにする。」
「私もいいですよ。」
レナーレさんが参加してくれる
「それ以外の人員を竜人たちから出してくれるか。」
「了解しました。私の部隊から出します。」
キャロウさんが言う
「いやあ、本当にいい場所ですね。」
「全くだ。」
「岩に偽装した
「そりゃあ、その色で塗ったくったからな。」
「肥料の小分けが一番難しかったですね。」
「いや、音や振動を拾うために超低空飛行を夜中やったレナーレの苦労が一番だろう。」
「でも、怪物の皮がゴブリンの皮の代用になると解るまで、作戦失敗か、と悩んでいたじゃないですか。」
「たまにしか通らないジョリジョリを見つけたのは奇跡だろう。」
「燐肥料は何倍に設定したっけ。」
「ボンボネーラの3倍量ですよ。」
「
「3倍も投入したら凄いのが湧くんじゃないですか。」
「これで
「さすがに、それはないでしょう。」
「まだ、祝杯をあげるのは早いですよ。
「お疲れさんです。どうでした。」
「ああ、ジョリジョリは通過したぞ、1日に1回の頻度だな。」
「次の肥料は、どうしました。」
「通過後に入れたぞ、当然だ。」
「念のために聞きますけど、敵に見つかったら、ジョリジョリの通路で逃げるってことで良いんですよね。」
「ああ、
「燐肥料はどうします。」
「ん、見つかったら、作戦失敗だからな。放棄でいいだろ。」
「それじゃあ後は頼んだぞ、俺は寝るぞ。」
カンプは寝に帰った
「どうですか調子は。」
「レナーレさん、順調、のはずです。そちらは。」
「夜、しかも高高度からの観察なので正確には判りません。しかし、
「順調ですね。」
「まあ、混乱が見られてないので、強い大型種はまだ発生してないようです。」
「発生してもやつらがそれ以上強い、って可能性もありますね。」
「考えたくはないですけどね。」
この作戦に不確定の要素は多い
強い怪物、ハムデンらを駆逐する怪物が発生しない可能性もある
「その時はまた別の作戦でいきましょう。」
「そうですね。」
しばらく監視を続ける
「あれ、映像がおかしい。」
「これは、雨です。」
「あっ、泥の偽装が。」
「とりあえず、岩陰にじっとしています。」
ちょっと監視しにくいが、見つかりにくい岩陰に移動する
「どうしたものかな。」
監視の当番中に異常はなかった
「トラフォードさん」
「キャロウさん、よく眠れました?」
「まあまあです。なにかありましたか。」
「雨が降って偽装が流れてしまいました。」
「そうですか他は。」
「カンプのときにジョリジョリが通過して燐肥料も投入済みです。」
「判りました。ゆっくり休んでください。」
昼と夜の区別がつかなくなってきた、起きて監視場へ向かう
食事も準備してある
「カンプ、どうですか。」
「ん~、何もない。」
「良かったじゃないですか。」
「いや、本当に何もない、前回からジョリジョリが来ていない。」
「丸一日来てない?」
「そうだ。」
「どうします、ってどうしようもないですね。」
「ああ、泥の偽装はあきらめた。」
「そうですか。」
「手も届かねーし、結構繊細な作業でな。穴をふさいだりしたらまずい。」
結局、監視の間で何もなかった
キャロウさんに引き継いで寝る
次までに復活しているだろうか。
起きて監視場へ向かう
カンプもキャロウさんもいる
早く来すぎたのかな
「トラ、丁度良い、兜で操作しろ。」
より滑らかな動きは兜の方が得意だ
「何があったんです。」
「
「一匹目が来て、」
「話はあとだ、肥料を穴にぶち込め、急げ。」
映像にはジョリジョリ通路の上側の土が落ちてむき出しになっている
別の映像には2人が走っているのが見える
これまた別の映像には死んだと思われる
手早く燐肥料を穴に投げ込んで行く
穴から
肥料を投げつける
2人がすぐ側まで来た
活動限界が迫っている
赤い線が下限に近い
「穴に入って逃げろ。」
「ダンジョン方面ですよ。」
反対側には
「捕まるよりましだ。」
穴に飛び込む
「ゆっくり歩け。」
穴を進んでいく
カンプが何かを操作する
視界が薄い緑色の映像になる
「暗視画像だ。敵には見えねえはずだ。」
「この先に
「居るはずだ。」
「後ろは、…おっと、2人が付いてくるな。そのあとに
「そうだな。音が見えるやつか。嗅覚が効く奴か。もしかしたら、
「どうすりゃいいんですか。」
「今、省電力に切り替えている。とりあえず、歩き続けろ。立ち止まるな。」
ゆっくりと歩き続ける
カンプがいろんな回路の電気を止めているのだろう
音もしない
視界も前方のみ
足元に注意して、ひたすら歩き続ける
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