第47話
走り続けて、林の外まであと少しというところで、電欠になった
赤い線が消えた
「カンプ、イドゥナ、手伝ってくれ。」
兜を脱いで飛び降りる
林の中を走る
3人で
やっとの思いで、装甲車Ⅱに載せる
「出発しろ。」
「任せるニャ。」
装甲車Ⅱの中でカンプと話す
「どうだった。」
「これも見ろ。記録映像だ。」
そこは天幕内に入ってからの映像だ
ゆっくりと動いている
「ここで、槍が当たっちまった。敵はなかなかの反応だ。」
「…。」
放射光線はハムデンの太ももから入って、足を骨盤ごと切り落とし体に傷を入れながらわき腹から抜けて二の腕を切り裂く
槍さえなければ、下から真っ二つにできたはずだ
「ここで終わりだ。」
カンプの声がむなしく響く
「殺ったのか。」
「どうかな。
「情報は得た。」
「だが、こっちの存在を知られちまった。」
「…ちっ。」
「痛み分けってところかな。」
「…。」
「これからどうするよ。」
「パブロペトリに戻って、」
「戻って、」
「あやまります。」
「…そうだな。」
パブロペトリに戻った
ホーソンさん、レナーレさん、キャロウさんを前にする
「…すいませんでした。」
「すまんのう。」
「ごめんニャさい。」
「…もう一度、最初から全部話してくれ。」
「…放射光線はハムデンの腕と足に命中しましたが、死亡は確認できていません。」
「…まあ、話を聞く限りハムデンは生きてるな。」
「
「判りませんが、寿命が尽きる前に体を乗り換えるのでは?」
「…そうだろうな。不死者の国か。」
背中に冷たいものが走る
「君たちはミュルクヴィズとボンボネーラに状況を伝えたまえ。」
「?」
「こちらはアガルタと話し合ってみよう。」
「レナーレ。」
「はい、通信機ですね。」
「例のあれを彼らにあずけよう。」
パブロペトリを出発する
「それ、凄いですね。」
レナーレさんから預けられたそれは、セントーラス号の付属品だった
船と通信できるらしい、遠隔操作装置とか言っていた
「ああ、船にアガルタ、たぶんサンティが乗り込んで会議する。」
「そこに、これで乱入するわけですね。」
「いや、普通に参加するんだよ。」
「会議はいつニャ。」
「明日か、明後日か。」
「でもミュルクヴィズやボンボネーラの意見がまだですよね。」
「まずは、一番被害を受けるところからだろ。」
「はっ、
「ダンジョンから、としか竜人には言ってねえ。」
「嘘、ではないですね。」
「…そうだ。」
3日後に会議が始まった
運転はイドゥナに任せて会議に参加する
遠隔操作装置は人が背中に背負うぐらいの大きさで、小さな画面と操作する物がいくつもついている
画面に4人ぐらい映っている
カンプと同じ顔が見える
サンティか
状況説明の発言を求められて、パブロペトリのときと全く同じ内容を喋る
「…放射光線はハムデンの腕と足に命中しましたが、死亡は確認できていません。おそらく、生きているかと。」
録画とかで代行できないかな
「それで、ボンボネーラはどう動くのかね。」
「サンティ殿、かれらは代表ではないですし…。」
「いや、山賊の親玉を殺そうとしたわけだし、ボンボネーラの意図を酌まないわけはないだろう。」
「ボンボネーラは山賊討伐を計画しています。」
「計画段階ということだろ。」
あれっ!
「詳細が決まったら連絡してくれ。」
えええっ!
「おい、サンティ。」
「カンプ。いつもお前は面倒ばかり起こして、いつでも長期出張扱いから出向でいいぞ。じゃあな。」
「レナーレさん。」
「すいません。一旦終了します。」
通信は切られた
「これはどういうことなんですか。」
「アガルタは引き籠るかもしれねえな。」
「そんなことは、…やろうと思えばできるんでしょうね。」
「そうだな。」
「今から獣人に戦闘訓練を施すのもなあ。」
「獣人はパブロペトリやボンボネーラに逃げるかもな。」
「ミュルクヴィズとかにも。」
「遠いけどな、どうかな。」
装甲車Ⅱはミュルクヴィズに着いた
サンシーさんとスタンさんを探せばいいのかな
説明の場を与えてもらえた
「…放射光線はハムデンの腕と足に命中しましたが、死亡は確認できていません。おそらく、生きているかと。ちなみにボンボネーラは山賊討伐の計画中だと思います。」
「そいつらは
スタンさんの質問が飛ぶ
「おそらく、長生きするのでは。」
「なんだ、そんなことか。」
「そんなことのために、獣人とかの命を奪っているというのか。」
サンシーさんが言う
「よし、パブロペトリやボンボネーラが攻められるようなことがあれば、食料や武器を可能な限り提供する。」
んっ、えっ
「さあ、宴会の準備ができている。始めよう。」
ええええっ
「これはいったいどーゆーことニャ。」
酒を飲みながら、イドゥナが絡んでいる
「私の立場から言わせてもらうと、」
おや、ウェンブリーさんだ
「人の生も死も同じようなものなんだよ。」
「ええっ、意味が解りません。」
「そうだね、カンプはどうだい。」
「おめーに呼び捨てされるほどの親しさはねえが。あれだな。長く生きていると、あんまり変わらなくなっちまうんだろ。」
「あー。まあ、かなり近いよね。そんな感じだね。」
「かといって、私たちが一生懸命に生きていないわけではないよ。どうだいトラフォード君。君さえその気なら。」
「お断りします。」
「いつでもいいよ。」
「何ニャ、トラフォード。」
「イドゥナ、いや、なんでもない。」
「おお、そうだ、マクスから伝言があった。例の物はボンボネーラに発送済み。なんだいこりゃ。」
「唯一の良い話だな。」
「そうですね。」
はっ、どこだここは、何があった
「おはよう、トラフォード君。」
「ウェンブリーさん。」
「やはり、人生は経験だよね。大丈夫だよ。安心したまえ。排卵剤を飲んでいるから確実に、」
「さよなら、先生。」
話を最後まで聞かず、一目散に逃亡した
部屋に戻ると酒樽になったイドゥナがいた
「ひーっ、もう飲めないニャ。」
「おう、もう帰って来たか。おめーもひと風呂あびてきたらどうだ。準備ができたら出発するぞ。」
カンプの忠告に従い、イドゥナを連れて大浴場に行く
「イドゥナ、これはお前を風呂にいれるためのものだ。」
「んニャ。」
「け、けっ、決してやましい気持ちからなどではない。」
自分に言い訳し、イドゥナの防具やらを外す
自分はすでに何もつけていない
ちなみに周りに誰もいない
イドゥナを生まれたままの姿にする
胸がいち、に、さん、しー、ご、ごぅおおおお?
「…そっれっでー。」
「それで浴槽のとなりに寝かせて、お湯をかけておいた。」
「いいのかそれで。」
「し、知らなかったんだ。まさか8個もあるとは。大きいのが4つ、小さいのが4つ。」
「なに驚いてんだ、そんなちいせーことで。」
「おう、戻ってきたようだぞ、本人には絶対言うなよ。」
「ああ。」
「聞いて、聞いてニャ。酔っぱらってお風呂で寝てたニャ。」
「ああ。」
「トラフォード、どうかしたニャ。」
「ああ。」
「ほっとけ、出発するぞ、準備しろ。」
ボンボネーラに向けて出発する。
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