第46話
定期便とともに意外な人がやって来た
「うわっ、トラフォードの莫迦莫迦莫迦ニャ。」
「どうしたイドゥナ。」
「
「すまない、こんなことになって、そんなつもりじゃなかったんだ。」
「何ニャ、なんのつもりニャ。」
「山賊を暗殺したい。手伝ってくれ。」
「ニャにぃ~っ!」
カンプとイドゥナに説明した
「じゃああれか、暗殺は最後の手段か。」
「そうだ、驚かせてすまん。」
「平和的な国ができるなら、邪魔することはない。」
「まあ、その可能性は小せえけどな。」
「トラフォードが決めたニャらつきあうニャ。」
本当にすまない
夜、カンプがやって来た
「どうした。」「
こいつはミュルクヴィズでもらった秘蔵の酒だ。」
「ん、なんで。」
「おめーのおかげでもらったようなものだ。まあ飲め。」
「判った。」
「今回は危険だ。今までも危険だったが、今回は無謀な試みに近い。が、上手くやれるかもしれねえ。」
「ああ、ありがとう。」
「いや、礼を言うのはまだ早い。終わったら本気で祝杯をあげるぞ。」
帰って行った。
イドゥナがやってきた
「どうした、やっぱりいやになったか。」
「…違うニャ。カンプが、…酒が入ったトラフォードはちょろい、って言ったニャ。」
「…。」
「…。」
「イドゥナ、すべてが終わったら一緒に暮らすのもいいかもな。」
ゴロゴロゴロゴロ、朝早く出発した
コシュタガンケンは空いた時間でカンプによって改造された
箱型で、
カンプは装甲車Ⅱと呼んでいる
御者台に自分、荷台で後ろを見張っているのがイドゥナ
カンプが耳元で囁く
「どうだ、上手くいったか、貸しひとつな。」
「何を言っている。」
昨日は酒を飲んではいたが、初めて正気だった
極めて本気だ
「イドゥナ。」
「どうしたニャ、カンプ。」
「幸せにな。」
「ありがとニャ。」
装甲車Ⅱは快調に走る
パブロペトリのみんなには置手紙をしている
「大分手前だな。」
「そうだな、だがしかたねえ。見つかるわけにはいかねえ。」
「カンプ、つながるよな?」
「量子スピン通信を信じろ。海の中だろうとつながったろ。」
「カンプ、どうして
「こうした方が見つからねえんだ。」
「凄いニャ。ん、待つニャ。ニャんか、匂うニャ~!」
イドゥナの様子がおかしい
「おい、トラ、周りを探れ。イドゥナは俺が抑えている。何かやべーぞ」
「ふんみゃやあああ!」
暴れるイドゥナをカンプが抑えている
何が起きた
装甲車Ⅱ、コシュタガンケンをでて、あたりを見回す
何の異常もない
どういうことだ、はっ、上か
「ん、なんだ、これは」
そこは白くて何も見えない
「気が付いたか。君の相方は感がするどくて困ったよ。」
「だれだ、あんたは。」
そこには鱗だらけで、海のダンジョンに居た怪物の一つに似ている。魚だったかな
「私たちはマーフォーク、オアンネスとか呼ばれている。私のことはマッシャと呼んでくれ。」
「それで、マッシャは何の用だ。」
「君が調べていることの答えを知っている。」
「まさか、
「私たちは大昔からこの星を見て来た。この星から出て行った人達にも頼まれてね。」
「出て行った人?…
「そろそろ分かっただろ?滅びゆくこの星をなんとかできないものかと遊んでみたんだ。」
「えっ、遊んでみた…。」
「君たちも海や山の
「知っているのか。」
「全て解ることができるよ。」
「…。」
「この先でも好き勝手やっているけど、君もそうすれば良い。」
「手伝ってはくれないのか?」
「私たちが手伝おうとも、この星はあなた達の思うがままにしかならない。」
「味方ではないのか。」
「敵ではないよ。」
「…
「気にすることはないよ。好きにしてくれ。」
「何故、自分に教えてくれる?」
「そうだね、君はこれを記録に残す。それは後々語り継がれる。からかな。」
「?」
「あとひとつだけ、君の相方に私たちはおいしくないと伝えてくれ。」
「判った。さよなら、マッシャ。」
「ああ、トラフォード。さよなら。」
「…トラ。しっかりしろ、トラ。」
「トラフォード、起きるニャ。」
「ん、ああ、…何者かに会った。」
「何?」
「ニャッ!」
「あいつらはうまくないそうだ。」
「…そんニャの、食べてみないとわからないニャ!」
…そうか、飢餓感だったのか
イドゥナはあいつらを食いたいのか?
コシュタガンケンの側で倒れていたらしい
マッシャとのやりとりをすべて話す
あとで報告書に書かなければ
「まあ、そいつらの了解を得たんだ、好きにやろーぜ。」
「カンプは逞しいな。」
「トラフォードは気にしすぎニャ。やることは変わらないニャ。」
重大な情報があった、ハムデンの
慎重に
静かにゆっくりと移動する
カンプがいくつもの画面を睨む
イドゥナは装甲車Ⅱを木の枝や葉っぱ、土や泥で偽装する
ここは林を少し入ったところ、
木の幹に隠れて見回りをやり過ごし、夜を待って見張りを欺く
そこは、出口からあふれる怪物を広場に誘導するようになっており、その先は、たくさんの枝分かれの袋小路が丸太の逆茂木で作られている
「こりゃどういうことだ。」
カンプが映像を見ながらつぶやく
「凄いな。たいしたもんだ。」
驚嘆する
「おい、あれを観ろ。8時の方向だ。」
視線を動かすと、外側で見守る3人の大男、いや、顔は獣人だが、体は
…なんてこった
首から下が
そいつらは言葉を交わし、周りの獣人に指示を出している
「信じられん。頭を移植したのか。」
「まじかあいつら。正気とは思えねえ。」
「おい、やばすぎるぞ、いったん撤退だ。」
「了解した。」
そろりそろりと撤退する
途中、何かを引きずっている敵と遭遇する
蹲って身を隠す
「なんだありゃ、死体だぞ。」
カンプのつぶやきだ
後をつける
そいつらは穴に死体を投げ込む
声を拾う
「けっ、こんな仕事はやってられんな。」
「肥料だけじゃ飽き足らず、人を殺してダンジョンに食わせるなんぞ。狂気の沙汰だな。」
2人組は話を続ける
「自分らの番がくるまでの辛抱だ。」
「ああ、そうだな。」
2人は去っていった
「どうするカンプ。」
「まて、知能をもった
「あいつら真っ黒だぞ。人殺しだ。まともな国には成り得ない。」
何か情報を得るものがないかと引き返す
「おい、まて、やめろ、莫迦やろう。」
まわりより大きめな天幕に何かが運ばれていく
頭が切られている
天幕に張り付く
音を拾う
「さすが、見事な切り口です。」
「ああ、これもわれらの国のためだ。」
「それではハムデン様よろしくお願いします。」
『ハムデンだと。』
『生きていたのか。』
「ズビッ。」
何かの音、そうだ、首を切る音だ
『カンプ、放射光線だ。』
『分った、準備に5秒必要だ。イドゥナ。撤退準備だ。』
天幕に突入する準備をする
『いつでもいいぞ。』
「はむでん!」
突入と同時に大声で叫ぶ
「ああっ、んだ。」
そこには、以前に腹を剣で刺した男の顔があった
同時に胴体に衝撃を受ける
『ちいっ、槍かよ。』
カンプの叫びが聞こえる
衝撃でよく見えなかった
撤退だ、すぐさま天幕から逃げる
全力疾走だ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。