第39話

「武器を降ろせ、おとなしくしろ、命だけは助けてやる。」

大男が喋る

「そんな嘘が通用するか。」

「嘘じゃないぞ。われらは仲間を必要としている。」

「山賊の仲間にはならない。」

「そうか、知っているのか、まじめに働くのはおかしいと思わないか。」

「そんなことはない。」

「蜥蜴にこき使われるのはいやだろう。あんなのは人間じゃねえ。」

「お前が言うな。」

「それともあれか、髭の機械人か、あんな酒のみの言うことなんか聞く必要ねえぜ。」

「同胞の肉はうまいか。」

それを聞いた途端、大男は槍を突いてきた

ジジジジリッ。

電撃が剣から槍に伝わり、大男は動き止めて膝をつく

後ろから襲ってきた槍を剣で受ける

蹴りを放ち爪を食らわせる

振り向いて、大男に向けて剣を突く

「その腕、、お前、ビセンテの、、…」

腹に深く剣を突きさし、胸を蹴り飛ばす

後ろの男に迫り、剣で首を斬る

噴き出る血を避けながら、キャロウさんの後を追う

林を出たところで追いつく

2人がキャロウさんを挟み込む

槍の攻撃だが、素手で対応している

強固な鱗で軽傷で済んでいるようだ

後ろからの攻撃は尾を振り回して対応している

「キャロウさん。」

呼びかけると、2人は少し相談し、林に逃げ帰っていった

「大丈夫ですか。」

傍で問いかける

「大丈夫だ、大した怪我ではない。」

「歩けますか。」

「ああ、歩ける。」

「すぐにここを離れましょう。」

コシュタガンケンまで戻る


すぐさまパブロペトリに向けて出発した

「キャロウさん、本当にすいませんでした。」

「私も油断しました。私の責任です。」

「自分の判断が甘かったです。もっと考えるべきでした。」

ゼルズラには無事についた


「カンプさんは、まだまだのようですよ。」

剣の訓練をしているとレナーレさんがやってきた

「退屈でしょう。船でも動かしますか。」

「えっ、いいんですか。」

「ホーソンの許可を得てます。」

建屋に向かい、船に乗せてもらう

この前とは別の部屋に入る

レナーレさんの他にもう一名いる

そこは表示機器が壁一面に埋め込まれ、手で操作する装置や鍵盤がある

「そこの椅子に座ってください。」

「固定具も付けてください。」

レナーレさんのマネをする

レナーレさんは鍵盤や手で何かを操作していたが、一通り終わるとこっちを向いた

「トラフォードさんが動かしますか?」

「できるんですか。」

「できますよ。簡単です。」

「是非お願います。」

「まず、登録します。7番が空いてますからそこを使いましょう。7番トラフォードと言ってください。はいどうぞ。」

「7番トラフォード」

「トラフォード7番に設定、完了しました。」

部屋に、だれとも異なる声が響く

「トラフォードさん、これからいう言葉を繰り返してください。7番トラフォード、機体浮上、徐行、建屋を出る。と言ってください。」

小声でレナーレさんが言う

「7番トラフォード、機体浮上、徐行、建屋を出る。」

かなりの大声で叫んでしまった

「7番の指示に従い機体浮上、徐行、建屋を出ます。」

声が響く

同時に壁に埋め込まれた画面に色々な映像が浮かぶ

前方だったり、側面だったり、底面や上面の画像だ

「どこか行きたいところがありますか?」

「ゼルズラ、いや、ハムデンの洞穴迷宮ダンジョンを探してみたいです。」

「そういうと思ってました。」

レナーレさんは画面に一つに図面を映して、なにからを表示させている

鍵盤でゼルズラと打ち込んだのが見えた

「さあ、これで大丈夫です。7番トラフォード、高度500、進路ゼルズラ、通常速度、移動開始。と言ってください。」

またもや小さな声で言う

「7番トラフォード、高度500、進路ゼルズラ、通常速度、」

あれっ、最後は何だったかな

「7番の指示に従い高度500、進路ゼルズラ、通常速度、準備良し。」

「レナーレさん、最後は、」

「7番移動を開始しますか?」

「?」

声に問いかけられる

「会話すれば大丈夫ですよ。」

レナ―レさんが教えてくれる

「7番トラフォード、移動を開始。」

「7番の指示に従い移動開始。」

声が響く

「どうです。簡単でしょう。」

しばらく待つと画面の動きが止まった

「ゼルズラに到着。ゼルズラに到着、待機しますか。」

レナーレさんが手元で何かを操作する

「ゼルズラ近辺ですが、ハムデンは判りますか?」

画面ではよく解らない

「少し判りにくいです。」

「外に出てみましょう。航空眼鏡を付けてください。」

レナーレさんは兜を被った

席を立ち、隅にある檻のような所へ入る

入ったらレナーレさんが鍵をかける

「風が強いかもしれません。気をつけてください。」

操作をする。小机みたいなものが中心にあり、それを何かいじっている

小机には手すりもあり、それをしっかりと持つ

やがて、檻全体が下へ沈み込む

機体の下側へ檻が移動したようだ

いくつもの扉を経て、最後の扉が開く

そこは地上のはるか上であった

木々が視える

森の上だ

あそこが湖で街道があれか

「…トラフォードさん、大丈夫ですか、怖くないですか。」

「大丈夫です。問題ないです。」

少しぼーっとしていたようだ

「レナーレさん、あの道がパブロペトリに向かう道です。少し行って、2時の方向がハムデンだと思います。」

レナーレさんは小机の何かを操る

セントーラス号の機体が向きを変えて、ゆっくりと移動する

「どれくらいですか。」

「もう少しです。」

たぶん、このあたりが前回、コシュタガンケンを停めたところだ

「そろそろ2時の方向です。」

機体が向きを変える

「ゆっくりでおねがいします。」

前方に山々が見える

「この辺だと思います。」

「統合管制室に戻りましょう。」

レナーレさんが小机で操作して、檻は移動する

扉を複数枚通過して部屋に戻った

部屋に戻るとレラーレさんはもう一人に声をかける

「何か見つけたか。」

「これを視てください。」

指さされた画面には赤い色の人影が10個くらいあった

「可視光映像にしてくれ。」

もう一人が操作する

「洞窟の入り口らしきところと人影がある。」

思わず叫ぶ

「そうですね。10人ぐらいですね。ここをハムデンで登録してください。」

「了解。」

もう一人が答える

「戻りますか。」

レナーレさんが言う


「よう、トラ、大変だったって?」

「そうです。キャロウさんには申し訳なかったです。」

カンプが戻るということで羽民ハーピーを引き連れて迎えに行った

「首尾はどうなりました。」

「まあ、機械人形メタルゴーレムはここに置いてくことにした。」

「そうですか。」

「落ち込むな。駆動部分は問題なしで、制御だけ作れば使えるようになる。」

「それは、カンプができると。」

「さすがに、それはできねえから、竜人族に任す。何かのときには借りに来るさ。」

「そうですか。」

「おれのおもちゃは引き上げるから装甲車をよろしくな。」

「はあ、そうですか。」

「気にするな、そんなこともあるわな。」

「そうだ、この船を動かしたんですよ。」

「そうか、良かっただろ。」

「あれっ、反応がうすいですけど、カンプも動かしました?」

「ああ、ちなみにトラに教えてやってくれと頼んだのも俺だ。」

「はーっ、最初から洞穴迷宮ダンジョンの調査に使えていたら。」

「部署が縦割りだから難しいですよ。」

キャロウさんが答える


「同胞の肉はうまいか。」

大男に問われる

「美味いわけないだろ。」


「おい」

「おい、どうした」

んんっ

「…どうしたトラ、起きろ見張りだぞ。」

脂汗が噴き出た顔でカンプを見る

「寝ぼけてるのか、大丈夫か。」

「いや、なんでもない、問題ない。交代だな、判った。」

「俺はもうしばらく寝る、しっかりしろよ。」

寒さがやわらぎ、移動も問題ないだろうと判断して、パブロペトリを出発した

軽銀製のコシュタガンケンは軽く速い

山賊の危険があることを早めにボンボネーラに知らせないといけない

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