第38話

「このセントーラス号は空を飛び、海に潜れます。やったことはないですが、宇宙空間にも耐えられるそうです。」

「そいつはすげーな。」

「今回は、海の中、われわれの本拠地に行く必要があるということで、このレアーレが仰せつかっています。この船の船長です。」

「本拠地って、どういうことですか。」

「ああ、元本拠地です。」

キャロウさんが言う

「昔、海の中にわれわれは住んでいました。知っているかと思いますが、われわれは宇宙から来た者と人間とのハーフです。宇宙から来たものが、これから行く元本拠地を作った訳です。」

「割と最近になって、地上に出て工場を作ったと。」

「それが新しいパブロペトリですね。これから行くのが古い、そして本物のパブロペトリです。」

「それではみなさん、席について体を固定してください。」

キャロウさんの案内で座席について体を固定する

レアーレさんと数名は別の部屋に行ったようだ

赤い光が点く

少しだけ振動があって、船がうごいているようだ

やがて動きが感じられなくなった

赤い光が消えた

レアーレさんがやって来た

「さあ、降りましょうか。」

「もう着いたのか、早いな。」

「全く分かりませんでした。」

「この船は静かですから、壊れない限りこんなものです。」

「コシュタガンケンより全然いいです。」

準備ができたので舟から装甲車を降ろす

船のいる部屋は陸の建屋より広かった

指示されたとおりに動かして、部屋の隅にとめる

機械人形メタルゴーレムだけで大丈夫だと思います。」

「じゃあ手伝ってください。」

レアーレさんが持ってきた?

連れてきたものを見てさらに度肝を抜かれる

それは板であるが、レアーレさんの腰位を浮いている

レアーレさんの手招きで移動して、装甲車の床と同じ面まで上昇する

「これで移動しやすいでしょう。中に入れますか?」

「じ、じゃあ、もう少し中へお願いします。」

「これくらいでいいですか。」

「あっ、はい。」

その板に機械人形メタルゴーレムを転がして載せる

「これで大丈夫だろ。おぅ、いいぜ。」

カンプの指示が飛ぶ

「じゃあ、研究室に行きましょう。」

レアーレさんが手を動かして操作すると板は動き出し、後を付いていく

「俺たちも行くぞ。」

「あっ、はい。」

ぞろぞろと後ろを付いていく

通路はコシュタガンケンが3台くらい並んで走れそうなぐらい広い

高さはそれほどでもないが、ダンジョンよりも高い

奥へ奥へと進むが、途中の扉で泊まった

レナーナさんが手で操作すると扉が開いた

みんなで中に入る

そこは台というか机というか、いくつかの作業できそうなところがあり、椅子が何個かある

装置は壁に棚があって、いくつもあり、カンプの持っているものと似ているものもあった

「トラ、俺はしばらくここで過ごすが、おめーはどうするよ。ここじゃすることないけど。」

「どれくらいます。」

「ん~、10日、いや、20日ぐらいかな。」

「そんなにあるなら、ハムデンの洞穴迷宮ダンジョンを調べたいですね。」

「じゃあ、羽民ハーピーだけ連れて行けよ。試作車があるからそれを使え、次に呼ぶときは帰る時だから羽民ハーピーを忘れるな。」

洞穴迷宮ダンジョンを調べるなら私たちも連れて行ってください。」

キャロウさんが申しでる

「ありがとうございます。」

羽民ハーピーだけを船に戻す

「すいませんね。ここも普段は必要最小限を残して止めてます。そうでなければ、いろいろと面白いところもあるのですが。」

「ほとんど引っ越し済みなわけですね。」

「そうですね。使い道がないものとか大きすぎて動かせないものとかが残っているだけです。」

ちょっと済まなそうだ

「ハムデンは気になるのでこちらとしても助かります。」

洞穴迷宮ダンジョンとかゼルズラは興味あります。やりましょう。」

レナーナさんと数人が戻って来た

何人かはカンプと一緒にがんばるのだろう


船を下りて羽民ハーピーと一緒に工房に戻る

試作車に繋げる

見た目は基本的な荷車だが、木ではなく軽銀でできている

車輪と荷台の間に発条が組み込んであり、乗り心地が改善されている

車輪も改良されて護謨を貼るらしいが、それはミュルクヴィズにお願いするということで、木の車輪をつけてある

竜人族と一緒の調査ということで、防寒も考え、荷台の上に箱を作って、泊まれるようにする


3日かけて、箱を作った

5日でゼルズラ、1日かけてハムデンに移動

調査が何日か

ちょうどいいかもしれない

3人の竜人と一緒に出発する

夜の見張りをがんばるため、昼は竜人たちのお願いして、休憩する

寝やすい

夜の食事でコシュタガンケンの移動手順や、羽民の世話、道順について確認する

夜は自分と竜人一人の組み合せで見張る

特に問題なくゼルズラに着いた

水と食料を確保する

ゼルズラとパブロペトリをつなぐ道で、一番はハムデンに近いと思われるところに移動する

ここで野営する

明日は調査だ

「申し訳ないけど、キャロウさんと自分とでハムデンに行ってきます。」

食事のときに宣言する

「残りの2人は待機して、敵が来たらパブロペトリに帰ってください。何かあったら私たちはゼルズラに避難します。あそこであれば冬も越せると思います。無理に救助に来なくても大丈夫だと思います。」

「やっぱり危険ですか。」

「怪物もいるでしょうし、賊がいるかもしれません。」

「そうですか。」

「4日間、待機して戻ってこなかったらゼルズラに帰ってください。」

キャロウさんと一緒に進む

用心しながら進んでいくとやがて林が見えてくる

向こうに小さな山があるのが視える

「あの林の中にあります。」

「判りました。」

林に入る

蛾人間モスマンや、蒙古死虫モンゴリアンデスワーム卑小鬼ゴブリンがいるかもしれない。とにかく気を付けてください。」

かなり歩いた、洞穴迷宮ダンジョンにはまだ距離があるはずだが、物音がする

「静かにしてください。」

「何も聞こえないです。」

解ってはいたが、竜人の目と耳は普通程度だ

「ここで静かに待っていてください。」

キャロウさんを置いて、慎重に音のする方向に進む

そこは、3人の男が豚鬼オークを解体していた

『この前の賊の生き残りか。どうする。』

観察していると、解体した豚鬼オークを調理して食べようとする

『隙がないな。引き上げよう。』

撤退しようとすると、後ろに縛られたキャロウさんを連れた2人組がいた

「敵襲ウー!」

2人組の片方が叫ぶ

地面を蹴り剣を構えて突進する

2人はキャロウさんを突き飛ばし、槍を構える

手前からの槍を剣で防ぎ、肩で相手を弾き飛ばす

そいつはキャロウさんの上に倒れこむ

回り込んでキャロウさんを確保しようとするが、槍でけん制される

覚悟を決めて突っ込む

大剣は槍を叩き折った

その勢いで相手の顔面に頭突きをくらわす

最初に弾き飛ばした男が槍を突き出す

躱して剣を振るう

そいつの腕を切り落とす

「この野郎。」

応援の3人が来る前にキャロンさんを立たせて、縛ってある紐を切る

「逃げろ。」

近寄った3人の中でひと際大柄な男が叫ぶ

「お前は奴を追え。」

それを邪魔しようとすると残り2人に阻まれる

顔を負傷した男が武器を持って立ち上がる

3人に囲まれる

「お前も行け。」

もう一人が離脱する

追おうにも2人に邪魔される

呼吸を整えて敵に隙ができるのを待つ

落ち着け、大丈夫だ

かならず勝って生きて帰るんだ

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