第36話
まずいな、予備隊で残っているのは長槍だけだ
一つやられて、残り一つの大槍は様子をうかがっているが、このままでは苦しい
たまに槍が当たるが、びくともしない
「合図で突っ込んでくれ。長槍は角を狙って、大槍も同時で。」
「「了解。」」
ザゥ、ザザ。
良い位置取りをした
「今だ。」
ビビビビリ。
気を発するとともに走り出し、奴の股の間を抜ける
逆手の剣が迫る
ショベルと交わる
バリバリバリ。
気を失う目には大槍が突っ込んでくるのが映る。
「やべー、状況が悪いな。」
画面と遠い現場を交互に見てつぶやく
「アイズ デ ツツコンデ クレ」
音が聞こえにくい
「リョーカイ」
どうやらトラが暴走するようだ
しょうがねえな
付き合ってやるか
しかし、次の瞬間、画面は止まってしまった
「どうなってんだ。」
トラフォードが
しかし、大槍が
奴も倒れている
状況を理解した何人かが武器を持って走っている
誰かが槍を投げた
刺さった
良い腕をしている
斧や槍を持った人間が現場で滅多打ちしている
どうやら勝ったようだ。
目が覚めたら、だれかが頬をはたいていた
最近はこんなことが多いな
「大丈夫だ。動ける。」
体は無事なようだ
しばらくすると、カンプがやって来た
「おめーは運がいいな。」
「ああ、また生き残った。生きてるやつはみんな運が良い。」
左足は太ももから切断されていた
右足は傷だらけで、ところどころ骨が見えている
両腕とも切断されている
頭骸骨は斧で切られたようだ、中身が見えている
首にも心臓にも槍が突き立てられ、上に乗った人がぐりぐりしている
念のいったことだ
「
「調べてみねえと解らんが、たぶんダメだろう。」
「こいつはうめーな。」
「ほんとだな。」
ヴィカレージがやって来た
「君たちには世話になったな。」
「いや、できることをやっただけです。」
「トラフォードは私のあとを継いで欲しかったが。」
「無理でしょう。きっと覚悟が足りません。」
「そうでもないさ、だが、君は違うことの方が向いていそうだ。」
「そうだと思います。」
「誰も死ななかったのは君たちのおかげだ。」
「運が良かっただけです。」
ヴィカレージは去っていった
「おい、キングストンにおすそ分けしようぜ。」
治療班の天幕に向かう
「おい、ちょっとまて、静かにしろ。」
「どうしたカンプ。」
天幕に入ろうとするとカンプに止められる
「俺様が覗いて様子を見る。待ってろ。」
カンプは天幕の入り口を少しだけ開ける
ちょっと見ると、ゆっくりと元に戻す
「おい、また今度にするぞ。」
小さな声で囁く
「まて、自分にも見せてくれ。」
入口の隙間にそっと目を近づける
「?!」
「はい、あ~ん。」
「あーん。」
「どう、おいしい?」
「とってもおいちいでちゅ~。」
「はい、あ~ん。」
「あーん。」
そっと、天幕から離れる
装甲車に戻る
今夜は寝るか。
朝、パブロペトリに向けて出発する
装甲車にヴィカレージが来る
「君らには感謝しかない、これを使ってくれ。」
「いいんですか、こんなすごいもの。」
それは
「もらっとけ、トラ。」
「どうもありがとうございます。」
「気にするな。私たちは負傷者の状態回復を待って帰るが、
「助かります。」
「じゃあ早く行け。」
ゴロンゴロンと走り出す
「意外と良い人かもしれませんね。」
「ああ、この世界で半端者は生きていけねえ。良い奴かどうかは判らねえが、やるときはやる男だ。」
「ところで、おめーはなんで怪我してねえんだ。」
「えぅ、ショベルが折れたからじゃあ。」
「そんな訳ねえだろ。
「治りませんかね。これ。」
装甲車には何人もの手を借りて、
「思うんだが、ダンジョンは広く、でかい。」
「はあ、それで。」
「たった1匹の
「確かにそうですね。」
「きっと、何匹もいるはずだ。」
「でも、それって、手に入れられます。」
「…どうかな。」
ゴロンゴロンと装甲車は進む。
「キングストンはまじめなことしか言いませんでしたね。」
「そりゃそうだ、竜人族とコシュタガンケン情報のやりとりだ、大事な話だ。」
「でも治療師さんが傍に居ましたよ。」
「いっつもあーんばっかりしてるわけでもねえだろ。キンにも春が来たな。」
「あっ、思い出した。ビセンテとヴィラの件、説明してください。」
「…すまんな。トラは酒を飲ましたら、簡単だってばらしちまった。」
「でもいったい何のために。」
「あの2人は結婚したいが、子ができねえみたいだ。」
「?、それで。」
「ボンボネーラはアガルタとは違う。一応、家族という形を維持したい。」
「難しいところですね。」
「お前さんの子種をもらって、夫婦の子供にするつもりらしい。」
「そんな上手くいきますかね。」
「あの2人は凄腕の気功師だからな。子供もそうしたいらしい。おめーが予想以上に上達したからな。」
「…。」
「まあ、できるかどうかもわかんねえから気にするな。」
「そうですか。」
「全部忘れちまいな。」
ゴロンゴロンゴロンゴロン。
「そう言えば、なんで
「ハムデンだろうな。」
「あそこは初期状態の未進化
「たしかに、怪物が多く出てくる
「山賊が住み着くぐらいだから、枯れかけだろう。」
「そこに山賊の死体が供給された。」
「やまほど肥料が手に入ったから、異常な怪物が出現した。で間違いないだろう」
「ハムデンはどうしたら。」
「ボンボネーラみたいに、ゼルズラに人が増えて、そこからハムデンを管理するみてえなのが理想だけどな。」
「人が足りないと。」
「そういうこったな。」
ゴロッ、ゴロッ。
6日目にパブロペトリに到着した
「キャロウさんにお願いがあります。」
中に入れてもらって、守衛さんにお願いしたら面会することができた
「まず簡単に洞穴迷宮について説明させてください。」
「…で
「長い話でしたね。正直、
「いや、こっちは全然かまわねえけど、いいのか?」
「もちろんです、われわれは製造を請け負います。そして、運転は獣人のみなさんにお願いしたいのです。」
「?!」
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