第33話
それは、湖に樽を持って行って水を汲もうとしたとき、突然木陰から大きな奴が飛び出て来た
蝦蟇だった。しかし、とてつもなく巨大で人を丸呑みできそうなぐらい大きく、素早い
繰り出される舌は物凄い速さで、筋肉の塊で、腕や防具に負担をかけていく
金属ショベルを手に持ち、気功、気を練る
舌をかいくぐり、頬に傷を付ける
大蝦蟇は怒りを持って舌を飛ばす
ビリジリビリジリ
気を放出しながらの一撃で光と音が走る
一瞬ののちに大蝦蟇の顎から血が噴き出す
ゲェーツ。
そうだ、ビセンテの技、ついにできた
幸福の絶頂に自分はある
興奮の絶頂?!
「はっ。」
瞬間、開いた眼にはリュイスの顔が映る
「ん?」
酷い頭痛と目眩で、再び興奮の夢の中に引き戻される
次に目を開けると頭痛と目眩は残っていたが、起きるには遅い時間のようだった
「どこだ、ここは?ん、なぜに裸。」
とりあえず、部屋から出る
木の枝を利用して作られた部屋から、下に降りる
井戸を探して水を飲む
えーと、あの後は確かイドゥナの槍が刺さって、カンプが斧で…。そんなことを考えていると
「トラフォード。」
自分を呼ぶ声が聞こえる
そっちを見るとカンプがいる
「昨晩はお楽しみだったようだな。」
「ほげっ。」
「まあ、まあ、朝風呂にでも行くか?」
カンプに連れられて、大浴場に行く
「これからは風呂にも入りまくりだな。」
「風呂は初めてだ。」
「発電機の効果は偉大だぜ。あいつら、電力制限を撤廃して浪費しまくりだ。もっとも、贅沢ではあるが、風呂は捨てがたい。」
「カンプは風呂を知ってるのか?」
「教養として知ってるぜ、心配するな。給油とゴムのパッキンは、この前の訪問時に整備ばっちりだ。100m潜水可能だ。」
2人はシャワーを浴びる
ジャー、ゴボゴボ。
「お、おぼれる。」
「目と口は閉じとけよ。」
湯船につかる
「ふーぅ、生き返るぜ。」
「ああ、初めてだな。こんな気分は。」
「きっとそうだろうな。みんなそうだぜ。」
「みんなあ?どういうことだ。」
「前回、風呂はなかったけどな。」
「昨日はいったいどうなった?記憶がない。」
「確かによく飲んだ。おめーはリュイスと盛り上がって茸茸、って騒いでたぞ。」
「・・・・・・。」
「ボンボネーラの男どもはみんなやってることだ、気にするな。」
「え?!」
「まあ、女が少ないとぼやいてたがな。こっちのやつらは男も女もいけるしな。」
つ、つまり、そういうことか
男と女の関係か
「サンシーもスタンもミュルクヴィズ観光地計画に乗り気だぜ。色々計画中とか言ってたな。」
なんか、物凄い悪い予感がする
早く帰りたい
風呂をでるとお食事処がある
「相変わらず、ここの食事はうめーな。麦酒をもらうぞ。」
「また酒か。」
「おめーも飲むか。」
「いや、いらん。」
あてがわれた部屋に戻ると酒樽があった
違った、酔って座り込んでいるイドゥナだった
「うぉっ、酒臭いぞ。」
「ひ~、もう飲めニャいニャ。」
「こいつ、さっきまで飲んでたんじゃ。」
「ほっとけ、トラ。モリニューの
「リュイスが待ってるはずだ。」
装甲車でモリニューへ向かう
前回来た時より広場が拡張されている
その中には
少し離れたところに岩と木でできた小屋があった
小屋の前まで装甲車を走らせる
小屋からリュイスがでてくる
「どうも、みなさん。」
頬を赤らめるリュイス
「どっ、どうも。」
「何照れてる、2人とも。どうせなら一緒に来ればよかったのに。」
「さ、さすがに同伴出勤はまずいですよ。」
リュイスは何を言っている…
「早速だが、うちの
カンプが装甲車のあとを付いてきている
「ほうほう、モリニューの
2人で難しいことを話し出す
「トラ、手伝ってくれ。」
装甲車に呼ばれた
「こいつとこいつ、あと、これとこれを小屋に持ってくぞ。」
「了解っす。カンプ兄貴。」
なにか、気分が高ぶって変な言葉になっている
小屋に持って行く
リュイスと2人になる
「あぅ、ありがとう、とっ、トラ。」
「いぅ、いえ、どういたしまして。」
「おうら、2人ともこんなところでやらかす気か?仕事してくれ。仕事を。」
2つの
たくさんある画面にいろいろ表示されている
ボーッとしていると、いつのまにか別の話になっているようだ
「ほう、あれの在庫があるのか。」
「ええ、宇宙船の船外作業用人型工機と人間との遠隔接続用です。」
「じゃあ、使うときのために点検と使用許可を取ってもらえるか。」
「たぶん、スタンさんにお願いすれば大丈夫だと思いますよ。」
そのあと2人はこっちを見て笑顔になる
「さて、そろそろ終わるか。今日はどうするよ。」
「3人様で予約しています。宴会場へどうぞ。」
「おめーはどうすんだ。」
「今日は賭博酒場に居ると思います。」
「賭博酒場?」
カンプの目が光る
宴会場に行く前にイドゥナを拾う
起きていたが、眠そうだ
「みんニャ、ひどいニャ、どこに行ってたニャ。」
「悪かった、仕事があったんでな。お詫びに宴会だ、行くぞ。」
「ニャに、酒だニャ。行くニャ。」
うっ、今日も飲むのかこいつは
宴会場で食べて飲んだ後、リュイスが来た
「イドゥナはお風呂は初めてだろ、せっかくだから入ったらどうだ。」
「トラフォードは入ったニャ?」
「ああ、すごく気持ちよかったぞ、最高だった。」
「判ったニャ。行くニャ。」
「それじゃ、私が案内します。」
リュイスが言う
「お2人には賭博酒場をお楽しみください。」
4人は賭博酒場の前に来た
そこは光の筋が文字や飾りになっており、光が点いたり消えたりしている
「なんだ、この点滅は。」
「どうです、派手でしょう。」
「ああ、凄いと言えば凄いが。」
「こんなのはアガルタにもねえな。」
「凄すぎるニャ。」
「さあ、イドゥナさんはお風呂に行きますか。」
2人はお風呂に行き、賭博酒場にカンプと自分が入る
そこは入口よりもさらに派手派手しい光と音の世界だった
「どうぞ、お飲み物をお持ちください。」
カンプは蒸留酒をとり、自分は葡萄酒をとる
「こいつら、夜はこんなことしてたのか。」
「電気が戻ってくるということでようやく再開しました。」
お店の人らしきサンシーさんみたいな顔の人が答えてくれる
「まあ、よかったな。」
そこは小さい球がぐるぐる回るお盆をひっくり返したもの、それは赤や黒に小分けしてあって数字が書いてある
どちらの色とか、数字に賭けるらしい
あるいは、正方形の6面で囲っており、点が1個から6個ある
そういったもの、サイコロというらしい
こいつを2個使った賭博が行われていた
「
カンプの質問にまたもお店の人が答える
「さすがに全部壊れてしまいました。」
「そうか、
そう言って酒を飲む
「おい、ありゃなんだ。」
「あれは矢をあてる競技です。」
「おーぅ、意外と普通のものがあるじゃねえか。」
「名札に矢をあてるとその人をつれだせます。」
「んんっ、そりゃどういうことだ?」
よく見ると店員さんは胸に名札をつけている
店内を見渡すとお客さんのようにしてる人も名札を付けている人がいる
「カンプさんとトラフォードさんも参加されますか。」
「えっ、どうして。」
「リュイスさんから聞きました。」
「参加したらどうだ?」
「カンプこそ。」
「俺は枯れてっからな。」
「大丈夫ですよ。痛くはしませんので。」
「げっ。忘れてた、こいつら両方だった。」
いや、カンプの下半身は機械だったような、まてよ、足だけだったかな…
見ていると壁にはいくつもの紐が縦横斜めに張られている
準備ができた人が弓矢を持って立つ
「それでは始めます。」
突然、斜めに張られた一本に沿って名札が移動する
1枚2枚3枚4枚、、8枚あった
ビュッ。矢が飛ぶが名札は落ちなかった。
「楽しんでますか、2人とも。」
「リュイスさん。」
「イドゥナの風呂はどーだったんだ。」
「なんかものすごく嫌がってました。大変でしたよ。」
「そーなのか。」
「手取り足取り力ずくでお風呂に入れました。」
力ずくって、いったい…。
なぜか、お風呂の話題で盛り上がってしまった
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