第32話
星明りの中、コシュタガンケンが屋敷の前についた
「いいか、この2本の電極をサンティの体に押し付けて、ここを押す。」
カンプがボタンを押すと、金属の棒の間に光と小さな音が生じる
ジリビリジリビリ。
「わ、わかったニャ。」
装甲車から降りて、カンプとイドゥナと自分は扉の前まで移動する
扉をカンプが少しだけ開ける
しばらく待つと、巡回しているサンティがやってくる
「よし、後ろを向いたぞ、行け。」
扉を開けたイドゥナは物凄い速さでサンティに迫る
サンティ人形は後ろを振り向く
イドゥナは足から先に、体を倒しながら滑らせ、死角に回り込みながら電極を足に当てる
ジリビリジリビリ。
動きが止まる
カンプは扉の陰から入って、サンティ人形の服をめくると、何かの装置を取り付ける
「よし、おめーら装甲車まで運べ。」
小さな声で支持する
イドゥナと2人でサンティ人形を運ぶ
重い
装甲車の中に載せる
カンプは鍵盤と表示をにらめっこしている
イドゥナは御者台に飛びのると、素早く移動させる
行き先は洞窟出入り口だ
「よしっ、乗っ取ったぞ。」
カンプが倒れこむ
サンティ人形が動き出していた
「か、カンプだよな?」
「はっはあぁ、この体は動きが良いな。少し悔しいぞ。おいトラ、俺の体を寝かせとけよ、大事に扱えよ。その配線が抜けるだろうが。次は
アガルタの出入り口に装甲車はついた
サンティ人形を操るカンプが出入り口に近づく
そのあとを
「おっ、凄いニャ。これ。」
「イドゥナ邪魔するなよ。外を見張るのを怠るな。」
画面に映ったサンティ人形に追いついた
カンプはサンティ人形を操って、上下に開く金属製の扉を操作する
「入るぞ。」
機械人形が聞く音も装甲車内の装置が喋っている
カンプ凄いな
只者ではない
画面を見ていると金属で覆われた小さな部屋みたいなところにカンプ操るサンティ人形と
やがて、白い煙や紫の発光などがあり、しばらくすると反対側の扉が上下に開く
「俺の後についてこい。」
初めて見るアガルタの中は、明るい
少し幅広い通路だが、横の壁にところどころ扉がある
「扉の向こうは部屋だな。」
カンプの説明がある
奥へ奥へと進んでいく
ほとんど物音がしない
だが、かなり奥で騒がしい部屋がある
遠くからでも騒ぎ声が聞こえる
扉の前を通ろうとすると、突然扉が開く
「おおっ、なんだサンティじゃねーか。一杯飲もうぜ。」
そこには小さな樽を持ち、しこたま飲んでいるであろう男がいた
外観はこれまたカンプやサンティとほぼ変わらない
ただ、髭の形が異なるようだ
カンプが答える
「あーちょっと忙しいからまた後でな。」
「何言ってんだ。今日は蒸留酒の日だろう。ちょっと前から飲んでたろ。」
「ん、いや、こいつを調べる必要があってだな。」
「そんなの残業してまでやることか、さあ、戻ってのもーぜ」
「いや、あー。ベニートすまん。」
ジリビリジリビリ。
「全く、酔っ払いが。急ぐぞ、トラ。」
奥のさらに奥へと進む
「この横へ進む」
そういうとカンプは倉庫のような部屋の奥にある小さな穴へと案内する
「ここからは枯れた
奥へと進む
カンプが手に持った明かりをつける、ここから先は照明がない
さらに奥へと進む
分岐があったり、小部屋があったりする
「ここだな。」
そこは大部屋だった
そして、壁には金属の上下に開く扉がある
「トラ、お前が開けるんだ。」
何も変わったものはなく、扉の持ち手もないが、ちょっと待つと勝手に上に開いていく
「おっ、ここは稼働している?!」
カンプが感動している。中へ入っていく
入った先は、部屋が大きな機械で埋め尽くされている
「あれが、細胞立体出力機、細胞培養槽、自動手術装置だな。」
機械と機械の間の狭い通路を抜けながらカンプが説明するが当然わからない
「そうか、これが燐回収装置か、これば前処理器と、すげーな。」
さらに奥へと移動する
「これが制御装置だとすると、これが電源。こいつか。」
バタン
酒場は蒸留酒の日で満席だ
大きな音で開いた扉、そこにはベニートが立っている
ベニートは誰かを探すかのように目を大きくして店内を見渡す
奥にいるサンティを見つけると叫ぶ
「さああんてぃいいー。」
勢いよく駆けつけると、問答無用で殴りつける
ダン、ゴン、ガアッシャン。
殴られた男は派手に椅子ごと転ぶ
やがて立ち上がるなり大声で叫ぶ
「なにしやがる。ベニート。」
「それはこっちのセリフだ。仕事中毒者め。」
サンティは殴り返し、ベニートも殴り返す
あおりを食った連中も日頃のうっぷんをはらすかのように破壊行為に興じる
だれかれともなく殴り合う
酒場は乱闘の場となった
やがて治安維持用の自動人形が出動し、通路が封鎖された
すべての騒ぎが収まるのは翌日の昼頃だった
「まずいな。でかいな。どうするかな。」
カンプ操るサンティ人形は髭を触っている
おや、髭を抜いているぞ
痛くないのか
取り出した磁極力発電機は結構大きい
「こんな目立つものを持ち出せねえな。仕方ねえ。
カンプは明かりと掲げ、
よくわからないが、少しずつ上っているようだ
どれぐらい歩いたか、その先は岩で塞がれていた
「やっぱりこうなるわな。トラ、そいつを降ろしてこの岩を殴ってみろ。」
発電機をそっと降ろして、カンプの前に出て岩を殴る
ガーン。
岩は砕け散る
が、その向こうも、そのまた向こうも岩っぽい
「どうするか。まてよ。二重起動するか。」
サンティ人形は動きを止める
突然、装甲車の中のカンプが起き上がった
「おおっ。」
「そんなに驚くな。大したことじゃねえ。ちょっとそいつを貸せ。」
起き上がったカンプは鍵盤と棒を操作して
表示にでてくる文字を読んで、何かを納得すると
「いいか、ちょっと待ってろよ。」
止まったままのサンティ人形を奥へ運び、横にする
そして、岩の前まで来ると、カンプは鍵盤をいくつか叩く
突然、画面が黒くなり、正面だけ光の筋が岩に当たる
光の筋は広がり、画面が光だけになる
右と左の側面も光しか映ってない
かろうじて背面の画面だけは明るい光に照らされた発電機とサンティ人形が判る
「ニャっ。」
それは御者台のイドゥナの声だった
「どうしたイドゥナ。」
「向こうに光ニャ。」
カンプが言う
「そっちに向かってくれ。」
振り返って画面を見ると正面に星明りの空が見えている
「ふう、やっぱり重いな。」
磁極力発電機は重く、
「しかたない。
「カンプ」
「どうした。トラ。」
「サンティ人形が汚いんだが。」
「仕方ねえ。もう時間がない。屋敷に戻して逃げるぞ。」
屋敷にコシュタガンケンをつける
「サンティが振り返った状態にするぞ。」
イドォナと自分でサンティを動かす
「この辺ニャ。」
「よし戻るぞ。」
装甲車に乗り込む
「よっしゃ、サンティを再起動する。トラは機械人形を操る。イドゥナは装甲車をだせ。」
「判った。」
「ニャ」
コシュタガンケンは動き出す
自分は機械人形を操る
それほど速度が出ない
「とりあえず、いけるとこまで行ってくれ。俺は寝る。」
カンプは即効で寝た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。