第318話 subroutine ホリンズワース_裏方の日常④
◇◇◇ ホリンズワース視点 ◇◇◇
「というわけで、任務完了です」
「ホリンズワース上等兵らしい始末の仕方ね」
〝十三姉妹〟の一件を上官に報告すると、渋い顔をされた。
「それで、このあとはどうするの? 後腐れなく始末する? それとも責任とって面倒見る? まさか情が移ったとか言わないわよね」
帝室令嬢は口うるさい。
あの女たちは俺が
「部下にしようかと考えています」
「それ無理なんじゃない。マッシモから聞いたけど、あの娘たち契約は絶対遵守するタイプでしょう」
「らしいですね」
「策はあるの?」
「もう懐柔しました」
そう、〝十三姉妹〟は呆気ないほど簡単に依頼主を裏切った。
彼女たちの協力者として、依頼主と揉めている現場にいたので嘘ではない。
依頼主はセコいことに、リラたちが過去に殺した貴族の首をもって行ったら、土壇場で報酬を値切ってきたのだ。
これには彼女たちもご立腹で、文句を言ったら、今度はリラたちを殺すと脅してきた。
屋敷にいる騎士たちの数が、リラたちより勝っていたから強気に出たのだろう。
本当にセコい買爵貴族様だ。
しかし、命の勘定ができないのは致命的だ。
この貴族様は、俺が宇宙軍のベテラン軍人であることを知らない。それに加えて、俺が短気なのも……。
胸クソ悪い相手の言い分に腹が立って、ついレーザーガンの引き金を引いてしまった。
お目々をあけたまま眉間に風穴を開けられ、貴族様は短い一生を終えたわけだ。あと運悪く契約書も燃えてしまった。
これについてはい言い訳をしたい。俺が悪いのではない。軽すぎるレーザーガンの引き金が悪いのだ。ちょっと指が
それから契約書の火がカーテンに燃え移り屋敷を全焼させるに至った。
実に悲しいことだ。
軍部のお偉いさんが、軽すぎる引き金の不具合を直してくれていればこのような悲劇は起こらなかっただろう。
「経緯は理解したけど、それ、どう考えても故意よね?」
「嘘のような本当の話です。ま、この惑星――閉じられた宇宙の存在よりは現実的でしょう」
「…………今回だけよ」
「ご理解ありがとうございます」
報告が終わると、帝室令嬢は重いため息をついた。
「過去の罪状を帳消しとか、けっこう手間なんだけど……どうにかならなかったの?」
「どうにかできるなら、黙って一人でやってますって」
「偽装工作は?」
「彼女たちの仕留めていた
「ならいいわ」
「それと一つお願いが……」
「わかっているわ。彼女たちのことね」
「はい。できれば俺の直属に組み込んでほしいんですけど。よろしいでしょうか?」
「好きになさい。有名な暗殺者集団だって聞いているし、味方になってくれるなら万々歳よ。だけど給料は応相談。スタートは近衛兵ぐらいだと思ってちょうだい。ストを起こしても賃上げはしないわよ。実力で示して」
財布の紐は固い……か。まあタダ働きじゃないだけよしとするか。
さあて、一気に愛人が九人もできちまったぞ。こりゃ当分娼館へは行けないな♪
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