第307話 subroutine ブリジット_軍人娘的恋愛思考②


◇◇◇ ブリジット視点 ◇◇◇


 近隣住民も寝静まった深夜。

 ウチは、かねてよりの計画を実行に移すことにした。


「拘束用の手錠よーし、ロープよーし、音漏れ対策の魔道具よーし!」


 王都奪還よりも難易度の高い決戦の準備を終えると、ウチはキッツい蒸留酒を一気に飲み干した。

 素面で〝NTR〟を実行できるほどウチはビッチやない。お酒の力を借りなければ……。

 ほどほどに酔いが回ってきたところで行動を開始する。


 念のため各フロアを確認。

「キッチン、クリア。リビング、クリア…………」


 やはりリュールはいつものように部屋で執筆しているみたいや。武力行使やむなしやな! 


 ドアを三回ノックする。


「なんだ?」


「ちょっと相談したいことがあって」


「明日にしてくれ」


「大切な話やねんけど」


「わかった、明日の朝な」


「できたら、いますぐのほうが……時間は取らせへんから」


「…………しゃーねーな」


 ドアに隙間が生まれる。すかさず木製のサンダルを隙間に突っ込んだ。


「えっ!」


 リュールが驚くのと同時に、突入。

 拘束してから、遮音の魔道具をON。

 サンダルを突っ込んでからここまで僅か五秒。宇宙軍時代の暴動鎮圧訓練が役に立った。


「おまっ、何するんだよ! っていうか、なんで裸なんだ?」


「夜の格闘技に着衣など不要! 全力をもってぶつかるべし、や!」


「意味わかんねーよ」


「わからなくてもえーで、いまからウチが♪」


 そう宣言してリュールをベッドに放り投げた。ウチもつづいてダイブする。


 覆い被さる形で下半身を探る。

 口ではああ言ってるけど身体は正直や。これから起こるであろう、めくるめくピンク色の世界に期待しているらしい。

 硬くなったそれを指で弾く。

 想像を絶する硬さやった!


 嘘ん! これ木やん! 男の人のアレって骨無いはずやのにッ!


「おい、やめろ! そこはデリケートな部分だ! 手荒に扱うなッ!」


 さすったり、握ったりしてアレの具合を確かめる。

 すると、ムクムクと膨らんできた。気のせいかさっきよりも硬くなったような……。


「聞いてるのか、いまなら許してやる。だからやめろっ!」


 無視して、彼のズボンを下ろす。

 ギュンっと反り立った!

 本能に従い、アレの匂いを嗅ぐ。


 そこから先は、あまり覚えていない。

 ただ、ちょっぴり痛かったことと、この上ない幸福感に包まれたことだけは覚えている。



◇◇◇



 そして迎えた朝。

 鳥の囀りが、達成感を際立たせる。


 ウチは人生初めてのタバコを吸った。

 窓から射し込む眩しい朝日に目を細めながら、エレナさまの言葉を思い出す。

『キメたあとの一服は格別である』

 あの言葉は正しかった。


 さて、寝坊助さんをそろそろ起こしてあげよう。

 熱い接吻ベーゼをぶちかまし、これから夫となる男を起こした。


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