第4話 ギャルがただただ雷に怯えながらハグして癒すだけ

//SE 雨が外で降ってきた音


真理愛の声の向き:正面 距離:普通


「あれ? 雨が降ってきた?」//雨音を気にする感じで


一拍置いて


「そう言えば、ニュースで今日は大雨になるんだったね」


一拍置いて


「けどよかったね」


一拍置いて


「なんでって、帰ってくる途中で降ってきたら困るでしょ」


「家にいれば濡れることはないし」


「それに、スーツだと濡れた後も困るでしょ」


「それを考えると、今日は帰ってくるタイミングがよかったね」


//SE 雨音が強くなっていく


「さっきより雨強くなってるね」

「たしか天気予報だと雷雨になるかもって言ってたね」


一拍置いて


「え? 雷は大丈夫かって」


「おにーさん。あたしも高校生だよ」//少しやれやれとした声

「いつまでも子供の時みたいに怖くなんか」


//SE 雷が落ちる音


「ひぃ……!」//怯えた時の声


一拍置いて


「だ、大丈夫だよ」//少し震えながら気丈な声で

「さっきのは、いきなり大きな音がしたから」

「びっくりしただけだよ」


//SE 雷が落ちる音


「……!」怯えて声が出ない時の震えた吐息


一拍置いて


「へ、平気だよ。平気、大丈夫」//小さく震えた声


//SE 聞き手が歩くスリッパの音


真理愛の声の向き:左 距離:近い


「ど、どうしたの?」


一拍置いて


「近くにいた方が怖くないって」

「そばにいてくれるの?」


一拍置いて


「困ったらお互い様、か」

「……」//安心したような吐息


「ありがと」

「ちょっとだけ、おにーさんに甘えるね」


一拍置いて


「ほんのちょっとだけ、ハグしていい?」

「怖い時は人肌に触れた方が和らぐって聞いたから」//ちょっと不安そうに


//SE まりがが聞き手とハグした音

真理愛の声の向き:正面 距離:とても近い


「おにーさん。あったかいね」//少し震えが収まる感じ

「それに、体も大きい」


「前にも同じことあったよね」//小さい囁き声


「あたしがまだ十歳の頃」

「たしかおにーさんも学生の時だったよね」//少し懐かしそうに


「お盆で親戚のみんなが集まったね」

「その時、おにーさん。あたしと一緒に遊んでくれたね」


一拍置いて


「あの時も雨が降ってきて雷も落ちて」


一拍置いて


「あの時のあたし、雷が怖くてずっとうずくまって耳を手で塞いでた」

「その時もおにーさん。今みたいにあたしのそばにいてくれたよね」


「……」//少し嬉しそうな吐息

「あの時も、一緒なら少しは怖くないでしょ、って言ってくれた」


一拍置いて


「そうだよ。あの時も、そう言ってくれたんだよ」

「あれから大きくなったけど、やっぱりあたし、まだ雷が怖いみたい」

「……」//苦笑気味の吐息


「でも、おにーさんがそばにいてくれると、安心する」


//SE 雷が落ちる音


「……!」//怖いのを我慢する感じに漏れた声


「ごめんね。おにーさん、お仕事で疲れてるのに」

「あたしに付き合わせちゃって」//申し訳なさそうに呟く


「でも、そばに人がいてくれるのは怖さが軽くなるね」

「……」//少し安心した吐息


「それにおにーさんだから、もっと安心する」


一拍置いて


「そうだね。停電になったら、もっと怖いね」//苦笑気味に


「いきなり真っ暗になったら怖くて動けなくなるかも」


//SE 雷が落ちる音:先ほどまでより大きな音


「……!」//怯えて声にならない悲鳴


//SE 真理愛の頭を撫でる音


「え?」//驚いたような感じで


一拍置いて


「……」//少し嬉しそうな吐息


一拍置いて


「たしかに」//安心したように

「これならもっと安心するかも」


「……」//嬉しそうな吐息


//SE 聞きの背中に回した腕の力が強くなる音


「おにーさんの体、あったかい」

「それに安心する」


一拍置いて


「あたしの体が冷たいだけ?」

「そうなのかな?」


「自分だけじゃ、冷たいのかあったかいのかわからないね」


一拍置いて


「怖い体験してる時って、人って体が冷たくなるんだ」

「だったら、あたしの体が冷たいのかもね」//少し微笑む感じで


「それでも、おにーさんがあったかいのは変わらないし」

「……」//安心した吐息


「お願いがあるんだけど、いい?」//優しく尋ねる感じ


一拍置いて


「雨が弱くなるまで、もう少しだけこのままそばにいてくれる?」

「雷怖くて」

「一人だと不安で」//震える声で


「だから、もうちょっとだけ、そばにいて?」//少し切実そうに


一拍置いて


「ありがと」//嬉しそうに

「やっぱりおにーさんは昔から優しいね」

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