第42話 迫る攻勢
西暦2027(令和9)年2月18日 エラノス平原 自衛隊エラノス基地
「全く、魔王軍は厄介な事この上ない」
内藤の呟きに、藤田は同感の意を示す。こうして要所要所に奇襲を仕掛けられてしまえば、気が滅入るというものである。よって魔王軍を確実に撃破せねば、さらなる負担がかかる事になるだろう。
「しかし、如何にして対策を取るべきか…」
「皆さん、策があります」
すると、オブザーバーとして参席している賢者フェリオが提案してくる。
「魔族は人の心の隙を突く策も得意としています。特に魔力を隠して襲撃を仕掛ける策を行ってくれば、後は扇動で貴方達に罪を擦り付けてくるでしょう」
そこが最も悩ましいところであった。姿のみならず持ち物や生物としての特性まで真似されてしまえば、その手の破壊工作で内部から崩してくる事は十分に考えられた。
「よって、皆様に護符を渡しておきます。敵味方の識別のみならず、ある程度の魔法攻撃に対する防御も成してくれる事でしょう」
「感謝します…やはり、魔法に対する研究は進めていかねばなりませんね」
内藤の呟きに、一同は頷く。実際、この以前に内藤は魔法研究に関する幾つもの提言を行っており、そのために様々な魔獣やら魔族のサンプルを本土に持ち込んでいた。
「ともかく、3月頃に相手は二度目の攻勢を開始してくるだろう。しかも準備している兵力から察するに、複数地点へ大規模に仕掛けてくるだろうな」
そう述べて、内藤は藤田に問う。
「こちらの対応は?」
「はっ…陸自は第16・17・18・19師団と第2空挺団が配置され、十分な機甲戦力を得ております。セリア殿下も3個鉄騎兵旅団を有しており、真正面より対抗できる状態にあります」
「そうか…よし、弾薬は十分に確保し、攻勢に備えるぞ」
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