第23話 帝国軍対魔王軍③
西暦2026(令和8)年8月27日 エラノス平原 総合庁舎
「魔王軍は一体、どこで戦車やら攻撃ヘリやらを手に入れたというのだ…?」
会議室にて、内藤はそう呟き、藤田も首肯する。弓矢やら怪しい魔法攻撃が関の山だと高を括っていた矢先に、魔王軍とかいう武装集団は、出所不明の機甲部隊やら航空戦力を以ているのだ。恐らく本国でも、この理解しがたい事実の把握に忙殺されているところだろう。
「して…写真から分かる事はあるか?」
「は…まず戦車ですが、見たところ旧ソ連のT-72系列に見えますね。こちらには10式戦車が多数配備されているため、相手の仕方を間違えなければ勝てるでしょう。ですが、数がどうにも気になりますね…」
藤田の呟きに対し、内藤は頷く。現在市ヶ谷では相当な動揺が起きているというが、まぁ無理からぬことではない。
「ともかく、帝国に対して幾分かの支援をするべきかどうか、政府に聞いておこう。このまま恐るべき脅威に居座られても困るからな。にしても、防衛産業の方は進展があったのか?」
その問いに応えるのは、防衛省より派遣されている防衛装備品調達事業担当官の
「現在、装甲車両は予備分が普通科3個連隊分が備蓄されております。小火器に弾薬も相当数を備蓄しておりますし、セリア殿下を介して3千人程度をお借りし、鍛え上げる事は可能でしょう」
「そうか…ともかく、有事には十分に備える必要があるな…」
・・・
9月2日 エラノス東部地域
この日、この地域に一つの大きな工場が誕生した。
それは、銃弾や砲弾の製造と、銃砲身の製造や整備を行う武器工場であり、経営自体は民間の企業が担うものの、工場設備の所有と管理は、防衛省の外局である防衛装備品調達事業局が担っている。付近には市街地への給電も担う火力発電所が建設され、この世界の人々に日本の高い技術力と工業力を掲示する象徴となっていた。
「現在、自衛隊で運用される車両の整備や改修を行う工場の建設が進められており、それが完了次第、航空機の整備・改修を行う工場の建設が始まります。この時点で1万人もの雇用が生まれており、この地域の経済振興に繋がっております」
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