第4話 数学家たちの肩書き
建部のパソコンは、二日町の手によって無事に修理が完了した。二日町は直したパソコンを梱包材で包み、箱に入れていた。
「お疲れ様です。包装が完了したら事務所に届けて参ります。」
と、二日町の元で働いている男は言った。その瞬間、誰かが仕事場に入ってきた。それは建部であった。
「その必要はねーよ。もち、話したいことがあるからついでに取りに来ただけだ。」
建部は話している時、微笑んでいるように見えた。
建部は二日町の近くにいた男に向かって言った。
「ていうか、お前、よく見たら『福の神』でお馴染みの北野四郎じゃないか。」
「はい。実はこの前、パソコンを届けた際、配達したの私だったんですけどね。」と、来たのが照れ臭く言った。
「あ、わりー。全然気づかなかった。まあ、配達業者の服を着ていたら気づかないから・・・」
と、建部も照れ臭く答えた。
「ところで、話は何だ。ないならさっさと帰ってくれ。」
そう二日町は不機嫌そうに建部に言った。
「いや、この前偽のパソコンが爆発したんだけど、それってあんたの仕業だよな?なんであんなことしたんだよ。」
「別に、広瀬に伝言を頼まれたから、不良品のパソコンに取り付けて、あんたの事務所に送っただけだよ。爆発はサービスだよ。」と、建部の質問に対し、二日町は答えた。
「なあ、もち広瀬さんに何があったのか知っているんだよな?一体何があったんだ?」と、建部は二日町に質問した。
それを聞いた二日町は作業を中断し、右手の人差し指の関節を鳴らした。すると、コーヒースタンドからカップにコーヒーが注がれ、それを北野が二日町のところへ運んた。
「私はいい。」
と、二日町は言った。建部はカップを受け取り、近くの椅子に座った。
北野は建部に名刺を渡し、部屋の奥へ行った。
「お前の坊やはその計算機を持ち帰ってくるだろう。私よりも彼に頼ったほうがいいぞ。」
と、二日町は言った。
建部はコーヒーを飲み干し、受け取った名刺をポケットにしまった。
「ありがとう。もち、修理代は後で振り込んでおく。また何かあったら頼るからな。」
建部は言ってパソコンを片手に事務所を出ていった。
その頃、アキレスは広瀬の始末を終え、本部へ情報を報告しに戻っていた。
「こちらアキレス、ただいま戻りました。アポロニウスの始末を無事に完了しました。」と、アキレスは報告した。
「ご苦労であった。称号はお前で通しておく。」
謎の男はアキレスに言った。
「ところで、アポロニウス以外に誰かいたりはしなかったか?」
と、謎の男は尋ねた。
「いえ、おそらくやつ1人だけでした。私が見た限り誰もいませんでした。」
アキレスはそう答えた。
「上様、明日オリュンポスの方々と対談の予定を組もうと思っておりますが、よろしいでしょうか?」
謎の男に部下は尋ねた。
「ああ、それで頼む。」
男はそれを了承した。そして、男は2人が退出したことを確認し、パソコンで作成していた書類を2枚出力しようとした。しかし、1枚目は問題なく印刷されましたが、2枚目はインクが薄い状態で印刷された。男は不満そうな表情を浮かべた。
建部は修理を終えたパソコンを持ち帰り、事務所に戻った。事務所に着くと、既にトルコから帰ってきたペルゲと積がいた。
「2人とも戻っていたのか。もち、お土産はあるよな?」
建部はそう尋ねた。
「まあ、な。」
ペルゲは元気のない声で答えた。小町と川内は広瀬のことを既に聞いていたため、事務所内は不穏な雰囲気であった。
「ペルゲさん、称号が剥奪されるとは、一体どういうことなんですか?」
川内がペルゲに尋ね、ペルゲは称号について説明した。
「数学界では、トップの数学者に称号が与えられている。そして、その称号は名前の頭文字によって決まる。称号はラテン文字の『A』から『Z』までの合計26個あり、ただし、最後のZはオリュンポスという数学界の監査組織のリーダーである『ゼウス』が持っている。そのため、25個の称号を数学者たちが争っている。俺の先生は『アポロニウス』だから、最初の『A』を持っていた。」
ペルゲはそう説明しました。
小町はさらに尋ねた。
「じゃあ、称号が剥奪されると、『A』は誰のものになるの?」
ペルゲは答えた。
「それは今後、数学界の中でオリュンポスの12人のメンバー、特にゼウスが中心となって話し合い、決めることになるだろうな。」
小町はもう一つ質問した。
「仮に先生の称号が剥奪されると、『アポロニウス』の肩書きは誰が名乗ることになるの?」
ペルゲは少し自信なさげに答えた。
「もちろん、それは俺が名乗るさ。」
今度は積が質問した。
「数学界の最大権力者って、広瀬さんがいた事務所のリーダーだったユークリッドだったよな?でも、広瀬さんは「敗れた」とか言っていたけど、次の最大権力者は誰になるんだ?」
ペルゲは答えた。
「おそらく、数学界の狸の賢人と言われているピタゴラスだろうな。」
川内は不思議そうに尋ねた。「なんで狸の賢人なんですか?」
ペルゲは適当に答えた。
「まあ、やつはビールっ腹で腹が出てるからじゃねーの?」
建部はお土産について尋ねた。
「なあ、お土産は?もち、ないとか言うなよ。」
ペルゲは計算機を取り出し、机の上に置いた。
「ああ、これと言ったお土産ではないけど、トルコの遺跡からこんなもの拾ってきたぜ。」
建部は予想通りだと言った。
「やっぱりか、あの人の言った通りだ。」
そして、名刺を取り出し、ペルゲに渡した。
「修理したパソコンを取りに行った時、この名刺をもらったんだ。ババアに頼るより、この人に計算機のことは聞けとさ。」
ペルゲは名刺を受け取った。
「ありがとう。」
その名刺には「チューリング」という名前が記されていた。
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