第41話
「あー、やっぱりこうなったか」
気絶した木﨑が地面に倒れる寸前に隠れていたはずの萩野が受け止め、彼の首元に後ろから一ノ瀬の剣が突き付けられた。多少なりとも消耗している一ノ瀬としては、萩野との連戦になるのならさっさと不意を付いて倒してしまった方がいい。
それに、どうせ闘うなら最初から全力で闘いたい。
「何の真似かな」
「見りゃ分かるだろ。降参さ、降参」
萩野は片手を上げると、自らの手で
「降参だっての、これ降ろしてくれよ。アルマもなしに戦えるわけないだろ?」
武装解除してからも突き付けられている刃を軽く指で弾く萩野。ほんの少し呆けるように動きを止めていた一ノ瀬は、それを聞いてゆっくりと剣を下げた。
「それじゃあな、俺はとっととコイツ連れてリタイアさせてもらうぜ」
木﨑を担ぎ上げた萩野の後ろ姿を見送りながら、
「アルマなしで戦えないね……普通ならそうだよなぁ」
呟いた一ノ瀬の言葉を聞くものは居なかった。
それからというもの、特段大きな動きはなく合同アルマ演習は進んでいった。すっかり戦意が削がれた一ノ瀬がいたとしてもAクラスの有利が揺らぐことはなく、順当に撃墜数、生存数共にトップ。一つ波乱があるとするならば、Cクラスの撃墜数がBクラスを上回るという健闘具合を見せた程度だろうか。
次の日、合同アルマ演習を終えて何となくクラス内での実力が見えてきたこともあり、クラス内での緊張が徐々に高まるなか、その緊張をさらに後押しするような授業が予定されていた。
「諸君、再来週にはクラス対抗戦の代表決定戦があるが、その前に
アルマの理論を発見した最初の研究者によると、全ての人間は
その理由として、
この条件は殆どが特定の
偶然にも
「
「そう言うなって、メジャーなやつならまだ発現してなくても
「そんなありきたりな
「ちげぇねぇ」
「「ハハハ!」」
自習を言い渡されていながら、不真面目に雑談に花を咲かせる生徒らの話す通り、
今、
「光一、次だぞ」
「おう、どうだった」
「全然ダメ。ま、分かってたけどな」
肩を落として教室に帰る斉藤の後ろ姿を横目に、光一は検査室の中に入る。
そこには、人が簡単に入るような大きさの球体の装着と、その横でなにやらパソコンをいじる葉波と名簿をめくる笹山の姿があった。
「キミで最後だね。それにしても合同演習では大活躍だったじゃない」
「当たり前さ。私に勝ったんだからな、このくらいはやってもらわないと」
「あれは笹山先生が油断してただけですよ。それで? この球体の中に入ればいいんですか」
「そうだよー、上脱いで入ったら中で
笹山がツンツンと肘で光一の横腹をつつくのを制止ながら、光一は葉並に案内されて上を脱いで球体の中に入った。
「
いつもの言葉とともに、右腕にアルマが
『計測開始するよ、準備はいい?』
「いつでも」
光一は眼前に現れた“Start”の文字を合図に自身の
「
そう呟くと、右腕のアルマが真紅に染まり発する
『はい、お疲れ様。出てきていいよ』
光一が上着を着て外に出ると、葉並が今回の検査結果のデータを襟章にコピーしてくれた。
「しっかしお前も難儀だな。ダブル一番乗りなのに二つともこんな
「ま、確かにそうですけど意外と気に入ってるんですよ。この戦法とも相性いいんでね」
笹山がからかうように指をさしてきたのを背中に受けながら、小さく笑って光一は検査室を後にするのであった。
【谷中光一の
【条件】
【効果】
メインアルマを
【条件】
発動箇所の
【効果】
三十秒間指定した箇所のアルマの能力を
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