第21話
そろそろ、「娘が母親の年齢を言った。」
そう言って回すのはやめようか。
そして、「自分たちが悪い奴等を追い出してやった。」
まるで自分たちのことを正義のヒーローのように周囲に触れ回っては聞かせ、自分に酔いしれるのはやめてもらえるか?
警察の前で頭を下げたのは、
紛れもない、あの店の店長だ。
最近、教師と生徒のドラマを見た。
今どきの学校内はどんな風なのか、私は興味があった。
なぜなら、そんな今どきに私と母は普通では考えられないような被害に遭ったからだ。
何千人何万人と。
なぜ、子供から老人まで、30代の私と60代の母に手を出したのか?
余程、今の学校内は平和なのか?
余程、今の会社内は平和なのか?
ドラマを見終えた。
別にそんな事もなかった。
今も昔も変わらず学校にはいじめが存在し、いじめの手段がSNS等に変化し、教師もその対応に苦慮している。
いじめられた生徒は亡くなり、いじめた生徒は自殺を図るが未遂に終わる。
何も変わらない。
つまり、私と母の周りだけ、私と母を標的にしていれば平和だったという事だ。
父が亡くなって10年。
10年間の平和ボケが祟って、警察に言われた、あの集団。
亡くなった父を想い、母が泣いた日。
その次の日から嫌がらせを始めたあの集団。
ドラマを最後まで視聴した私が何を思ったか。
いじめた生徒も死んだ方が良かった。
だが、テレビ的には死なせる訳にはいかなかったのだろうとも思った。
そんな脚本は苦情が来るのだろうと。
ただ、私は思う。
仮に苦情を言う人がいたとして、その人は本当にいじめた生徒の事を思っているだろうか。
SNS。気楽に投稿した文字、写真。
その投稿で命を落とす人がいる。
ならばその逆もある。
投稿した人も命を落とす。
そう考えても普通だ。
命を落とした人はその投稿でとてつもなく苦しんだ。
なぜならその投稿は簡単には消えない。
その、簡単には消えてくれない事が、投稿した人の命も脅かす。
「デマを流した人間だ。」
「あの人を殺した人間だ。」
自分の将来起きる現実を予想した生徒が、死ぬことを選んだのなら、それを邪魔する事を私はしないと思う。
確実に死ねるよう祈る。
それが悪いことだとは決して思わない。
死にたいと思っていたのに死ねなかった時、その人はどう思うだろう。
誰1人として、いじめた側の生徒の傍にずっといてあげる事は叶わない。
家族さえ。
24時間。
不可能だ。
「家族が悲しむから生きろ。」
よく耳にするそんな言葉。
それも本当にそうだろうか?と思う。
家族に迷惑をかけるからと、死を選ぶ人もいるだろう。
では、家族に愛されていない人は?
元々、家族がいない人は?
そう、一概には言えないのだ。
色々な立場の人がいる。
皆に適した最高の言葉など、この世には存在しないのだ。
国が決める政策でさえ、誰かにとって良ければ必ず誰かにとって悪いのだ。
だから最初から。
あの日であろうが、あの時であろうが。
お前は、私と母の事に口を出す必要はなかった。
それなのにお前は口に出した。
沢山脚色をして、大勢の人間にばらまいた。
自分が蒔いた種がこんなにも成長して悪事を働くとはお前も驚いたことだろう。
そして、それが今お前を脅かしている。
それだけだ。
その人が死を選択する時、その人は、生きてきた中で1番思い悩み、悩み抜いている。
その出した答えに誰かが横やりを入れ、失敗に終わらせる事が、その人の事を本当に考えていると言えるのだろうか。
私は思う。
その人の人生は、その人が決めるべきだ。
その人の意志を尊重すべきだ。
お前は私の人生に勝手に入ってきた。
その自覚はあったのだろうか?
入ってきた以上、私が抜けていいと言うまでお前は抜けることが許されない。
お前がデマを流さなければ、私と母は普通の生活が出来た。
お前と変わらず、普通の日常を。
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