第6話

オレは…

何をしてしまったんだろう?

やっと更新されたブログにかじりついて、その後オレは混乱状態に陥った。

とても恐ろしくなった。寒くもなった。

何が何か分からなくなった。

全てあきらのせいにしてしまいたかった。

本当に何もかもあきらのせいだと言って楽になりたかった。このまま海に沈みたい。

けれど、オレは深く関わっている方の人間だと脳みそが自覚している。

トイレに向かう事も叶わず、オレは嘔吐した。吐きながら、言葉にならない声を上げた。


助けてほしい。誰かオレを助けてほしい。

急にあの人たちはどうだったのだろう?

そう思った。

そして、あれほど憎く思っていたあいつらの事を、あの人たちと呼び変えた自分に、はっと驚いた。


助けて下さい。

本当に涙が出る。何でオレがあの人たちにムカつくんだよ。そんな権利さえないのに。

言い訳を始めたら永遠にしてしまいそうだ。そんな事から逃げたくてオレはあきらの事を思い出した。


「赤い服を着たら助かるって。」

あきらがそう言った。

赤い服。

あの人は風水が好きらしい。そんでもって風水カラーについてのブログを書いている。そういう話だったと思う。


「だからさ、写真、皆で撮りまくろうぜ。

持ち物とか見てさ、あいつらの好いてる色を身に付けときゃいいんだよ。」


オレたちは写真を撮りまくった。

抜かしざままに。後ろから。上の階から。下の階から。ニヤッと笑いながら。平気で。

あの人達は何度も不愉快な顔はしただろう。それでもそんな事はお構いなく。

何枚も何百枚も。そしてその写真は皆に流す。共有する。そして休憩室で皆でコメントしあう。

コメント。

ただの悪口。

ただのはけ口。

途中、こんなにされてるのによく毎日来るなと思った事があった。だが、それはあの人達が気付いてないからだと認識した。


休憩室の中の悪口。

思い出すだけで耳が熱くなる。

オレたちは本気で、37才の人を不登校のガキだと思い込んでいた。

この犯罪に関わった全ての人間が、ガキだという事を理由に、更には不登校だという事を理由に、恥も知らず、ありとあらゆる中傷をした。








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