第3話

何を偉そうに。お前とか言うな。お前がお前って言うな。オレはイラついた。

それと同時に焦っている。


嘘だろ?

そう、あいつらは嘘つきだ。

あきらがいつもそう言っていた。

オレは顔をこする。何か確信的なものにぶち当たっている気はしていた。だが、もう一回読む気にはなれない。

あいつの小説は何日も更新されないままだ。


オレは馬鹿なのか?

小説の中の人間にイラつかされている。

そうだろ?そう言い聞かせても、そのイライラはなかなか消えてくれなかった。


あきらのせいだ。早く連絡よこせよ。

いつものオレたちなら

「オレ、内心ビビってた。」

「お前馬鹿か?」

なんて、バカ笑いするのに。


今こそ、あきら、お前の話が聞きたい。

いつもの様に。


「だからさー、もう一回言わせて。な?いいだろ?」

「ギャーやで。ギャーって泣きわめいてん。」あきらが大声で言う。

そしたら決まってあきらの仲間が入ってきた。あきらの仲間。今日は知らないおばさん達。

「あの家の近所で知らない人はおらんよねー、そうよねー〇〇さん?」次から次へ声を掛けるおばさん。

「そうそう、幽霊屋敷。」

「ははははは。」

オレも笑う。あきらも笑う。

「幽霊なのに声出るんすか?」

オレがおちょくる。

「出るのよー、近くの公園まで聞こえたそうよ~、ねー〇〇さん?」

「ははははは。」


楽しいからいいか。とオレはいつも思う。


幽霊屋敷。

オレの幽霊屋敷のイメージは、暗くて、手入れがされてなくて、まあそんな感じだ。

だが、現物は全く違っている。角地にあって、確か途中、ペンキも塗り替えたっけな?オレはあきらに運転してもらって見に行っている。一人でも何度も見に行っている。


この休憩室にいる人間で、幽霊屋敷を見に行っていない奴はほとんどいないんじゃないかと思う。


ぽっちゃりしたおばちゃんが言う。

「幽霊屋敷やのにさ、玄関入ったら、ただいまーって言うんよ。」

「ははははは。」

「誰が待っててくれてんのよねー?」

「ははははは。」

オレも笑う。あきらも笑う。


あきら、お前なら今の状況でも、大丈夫って言ってくれるよな?オレの仲間は最強だからってさ。

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