第17話

「お姉ちゃんがこんなことせずに静かに過ごしていればよかったのですわ!」


いきなり夏希が飛び出てきた。

彼女自身は悪くないとでも言いたいのだろうか?


『私だって、静かに過ごせるならそうしたいよ。』


妹が突然言い出して、自分のせいではないのに、なんだか責められているように感じてしまった。

そのせいで、余計言葉が出ない。


「凛さんはお前らのエゴのせいでここにいるんだぞ!お前らが凛さんを勝手に売買するようなことがなけば、今でも俺らと楽しく暮らせていたんだ!」

「凛と言っているがこいつは花夏であり、私の姪っ子ですわ。それに親権はまだ私たちにあるのですよ?私たちがどうやったって彼女は逆らえないのです。」


夏希の母親、湖月が話し始めた。

彼女も変わっていない。何が悪いのか、本当にわかっているのだろうか?


「あなた方が花夏に何をしようが、こちらが決めたことに口出しをする権利はそちらにはありませんわ。」


彼女に言われて、誰も言い返せなくなった。

凛は自分が何もできないことで鼻が痛くなって、手に力が入る。


「彼女に拒否権がないと言いたいのか?」


ハヤブサが話し出した。


「彼女は僕たちにとって大事な大将だ。僕は彼女に救われた。だから少しだけでも、彼女を救いたいと思う。」

「あなたに何ができるというの?」


ハヤブサの言い分に、湖月は突っ込んできた。

確かにその通りだ。

ハヤブサには機械扱いがいいだけで、それ以外にできることはあるのかと

失礼なことを考えてしまった。


「彼女が最後にどこの居場所がいいのか、考えさせたらいいんじゃないんですか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る