第15話

日が明けた。

凛は正直なところは眠たいが、久しぶりに実家の奴らと会うことになると思うと

背筋が緊張する。

今日は糸和津家当主の命ということになり、糸踏家のみならず針都家も全員呼ばれた。

イオリたち5人は襖を挟んで隣の部屋に待機しておくらしい。

凛は当主の隣で話をすることになった。

当主の隣と聞いてこれほどまで安心したことはない。


『もうみんなこの屋敷にいるんだよな?いよいよ、全員と対面。どうなるんだろう?』

「そう緊張するでない。大丈夫。私が話を進めるから。」

「ありがとうございます。」


現在午前9時48分。会合開始の10時まで後12分。ぞろぞろと他の家が入ってきた。


『見たことのある顔の人がたくさんいる。』


なんて凛が考えいてたら、妹の夏希と目が合った。

正装の和服が不服そうな顔をしている。そして私を睨んできた。


『そりゃそうだよな。』


嫌いな相手を追い出したと思ったらいきなり出てきて、実家の決まり事に反対しているというのだ。

姉が反対したせいで嫌な正装を着せられ、面白くない場所に連れて来られたんだ。


『家から出て行って本当に変わったな。変わってないのは中身だけか。』


午前10時。全員が集まった。

凛は当主に頼るしかなかった。


「では、会合を始める。今回の議題は他でもない。君矢凛ならぬ、針都花夏の話だ。彼女の話では知らないところで針都家と糸踏家の契約で彼女が売られたというのだ。まず、針都家の話を聞こう。」

「はい。彼女を売ったのは事実です。ですが、その時、家計が苦しかったんです!」

「苦しいからって姪を売るのか!?」


初めて聞く当主の大声。

いつもふわふわしているのに、今の話を聞いた途端、雰囲気が変わった。

怖くて当主の顔が見れない。

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