第13話
今まで起きていたはずなのに、インターホンが鳴った音でやっと頭が冴えてきた気がする。
ドアを開けると乙葉たち5人がいた。
焔は私の家の場所しか知らないから私の家に他の5人が集まって焔のところの車を待つことになったんだ。
みんな緊張しているみたいだった。
そりゃあ昨日聞かされた、焔の従兄弟はマフィアということから焔も関連があると、
体に力が入っているみたいだ。
下手なことをしない欲しいが、そうやって心配してくれていることには凛は安心している。
ピンポーン
もう一度インターホンが鳴った。焔だろう。
みんなは綺麗に黒塗りされた車に乗り込んで、走り出した。
それぞれが緊迫した空気を出していたせいで何も話すことはなかった。
1時間したくらい、やっと着いた。
『糸和津家の屋敷は何も変わってないな。』
そんなことを考えながら荷物を使用人に預け、靴下になり、当主の部屋に向かう。
サッと襖が開いた音がするとそこには少し老けた糸和津家当主、
老けてはいるが何も変わっていない。
威厳のない顔も、服の色も、そして、喋り出すと優しすぎるところも。
「みんな、よく来てくれた。花夏、いや今は凛か。もう大丈夫なのか?」
「はい、ありがとうございます。」
「誰?」
「この家の当主。」
「当主!?」
まあ、最初はそんな反応するだろう。
初めて見た人はよく驚くところだ。ふわふわと周りに花が舞っているかのように見える。
だがその内側はどこも読めないくらい深すぎるのだ。
「今回はうちの分家、糸踏家と針都家との間で行われた取引についてだったな。」
「はい。糸踏家と連絡を取ることはできるでしょうか?」
焔がはっきりとした声で言った。
凛はこの前までボソボソとした話せなかったのにと思っているけど、
よくよく考えたら家を出てから数年経ってるから変わってても当然か。
「今すぐにでも連絡を取ろう。今回はこちら側にも何も話が来ていないからな。だが、今日はゆっくり休め。食事も用意してある。糸和津家は其方ら6人を歓迎しているからな。」
その言葉を後にして8人はそれぞれの部屋に行った。
一部屋ずつ襖で仕切られていて、部屋数を見ると来賓用とは思えないほどに多い。
『家を出る前までずっとこの家の中では迷子になっていたな。広すぎて。』
なんてことを考えていると昼食の準備ができたと呼ばれた。
この使用人も私がいた頃と全く変わっていない。相手も気づいてくれているようだ。
ここなら安心できると今でも思う。
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