第8話
「君は俺の許嫁になったんだよ?」
「え?」
最初は意味がわからなかったが、今よくわかった。
私は、許嫁として、ここに売られたんだと。
でもどうしてわかった?あいつらは私のことをどうやって知ったのか?なんて考えてると顎を掴まれた。
「俺、お前と会ったことがあるんだけど、覚えてる?」
『は?』
わけもわからない顔をしていると凛は自分でも勘づいた。
こんな野蛮なやつはよく見てきたけど、こんな身震いがするくらいヤバいやつは見たことがない。
背筋が凍りつく。
覚えていると嘘をついたら、相手の触れてはいけないところに触れそう。
でも覚えてないと正直に言っても、癇癪を起こしそう。
『でも、正直に言ったほうが、私にとってまだいい方なのかな?』
「覚えてない。」
「そっかぁ。じゃあ話そっか。」
『案外いけたな。逆に嘘ついたら危なかったか。』
「俺が確か・・・7歳くらいの頃かな?俺が家が嫌になって出て行ったらまさかの転んで泣いたんだよ。もうあん時は泣き虫だったからさぁ。そん時に、あんたが出てきた。そんで可愛いうさぎのハンカチを出したと思ったら傷口を洗って縛ってくれたんだよ?本当に覚えてないの?俺、あん時に落ちたんだけどなぁ。」
「覚えてねえよ。何年前の話してんだ。」
「まあ、そっか。花夏ちゃんはそうやって手助けする方が日常だもんね。さすが、天使。」
気持ち悪い。最初の方は背筋が凍るような感覚だったのが今は自分の周囲に炎が舞っていて抜け出せずに、もがくしかない感じ。
床も座りすぎて自分の体温であったかくなって、熱い。
自分の心臓がこいつから逃げろと言って、口から熱い何かが出てきそう。
『誰か、助けて。』
こんなことを思ったのはいつぶりなんだろうか。
今はただ、助けを懇願するしかない。
そんな時だった。
ドーンという音と共にこの部屋中に声が広がった。
「「「「「凛さん!!!」」」」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます