第7話

ピピピッ

チュンチュン


『あれ?もう朝か。うっ。なんか、窮屈・・・。』


凛が隣を見ると右牙がいて、反対側を見ると左牙がいた。

そういえばと思って、凛が思い出した。


『昨日、話し合いが終わった後に、ハヤブサに呼び出されたかと思ったら、焔が家に上がったことだったんだ。それをどこかで盗聴しやがって、護衛っていうていで右牙と左牙が隣で寝てんだった。』

「思い出したぁ。・・・おーい、起きろ。朝だ。」

「もう朝ですか?早くないです?」

「私はこの後、9時からバイトなんだよ。朝ごはん作るから起きてくれ。」

「「はい起きます!!」」

「朝からうるさい。」


いつもよりうるさい朝も終わって日常が始まろうとしていた。

右牙も左牙も一旦は家に帰って準備をするらしい。だから、いつも通りに家を出た。

つもりだった。

家のまえに凛よりももっとでかい男が立っていて、気づけば、眠っていた。




何時間眠っていたんだろうと思うほど目覚めて頭が痛い。

下は冷たい床、周りに壁はあるかと目を凝らしても何も見えず、触れてみようとすると手錠が付いてることに気づいた。


『なんで私に!?他のグループの奴らが拉致に来たのか!』

「あ、おはよう。ごめんね、こんなところに寝かせて。」

「誰だ?」


暗いところにも目が慣れてようやく周りが見えてきた。

暗い部屋には凛以外にも他男が5人。そのうちの1人が私に話しかけている。

スーツに身を包んで赤いネクタイをつけている。

歳は同じくらい。

顔は笑っているというのに、目の奥が笑っていない。正直、ゾクッとした。


「なぜ、私を拉致したのか?」

「あれ?知らないの?お父様とかから聞いてないの?」


知らせなんてこない、なんて言えず。黙ってしまう。


『こいつ、私の今の状況を知っているのか?』

「不思議な顔してるね。何を考えてるの?俺、お前自身に用事があって拉致ったんだけど。」

「・・・なんで?私に価値なんてない。」

「あるさ!重要な価値が!」

『私に価値・・・何もない、はずなのに。捨てたのに。』


今、あの夫婦が何をしているのか分からないが、私に価値ができると言えば、あいつらが何かしたからか。


「君はね、あのクズ当主に売られたんだ。だから、俺の許嫁になったんだよ?」

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