春と夏の間
梅雨の時期に、藍色と水色のグラデーションかかったふわふわとした空気が入った瓶が街の雑貨屋に売られていた。
瓶についてる札を見ると「たまの休みの日に外に出ようと思ったら、雨だったときの気持ちを詰めた瓶」と書かれていた。
その瓶がとてもきれいに見えたので、買って自分の机の上に置いてみた。瓶の中身はゆっくりと瓶の中で流動しているようで、観ていて飽きないなと、ちょっと得したような気分だった。
数日後の朝、ベッドから起きていつものようにテレビを点けると、遮光カーテンから光が漏れていることに気づき、光を取り込もうとカーテンを開けてみた。
すると、机に置いていた瓶がガタガタ小刻みに震え始めた。
最初は驚いたが、すぐに付いてる札のことを思い出した。
試しに、雲一つ無い青空の下、ベランダで瓶を開けてみると、虹色の光を放ちながら中味が全て外に飛んでいった。
その美しい光が段々と遠ざかっていくのを眺めていると、
部屋にあるテレビから「本日、梅雨明けが発表されました。」という声が聞こえた。
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