1-2
*****
「……はっ、はあ……!」
(息苦しい、頭がいてえ……なんか全身もズキズキする)
ベッドに横たわる香織は意識を
(どういう状況なんだ? 確かウチは……)
「……いっ!?」
最後の
(どこだここ……)
頭の痛みが引いてくると、
西洋風な内装をしているものの、生活感のない部屋に見覚えがなく、
再び体中に痛みが走り、ふと手首に視線を落とすと、なぜか包帯が巻かれており、血が
「なんだよこれ……」
ふくらはぎにも包帯が巻かれていることに気づき、何が起こったのかと
(つーかウチ、こんなに手足が細くて色白だったか? なんかすげえ体に
香織は周りを見回し、少ない家具の横に姿見があるのを見つけ、ベッドから下りようとした。が、
「あら、やっと目を覚まされたのですね」
現れたのはテレビや
女性は香織に冷ややかな視線を向け、手に持っていた包帯や
「でしたらもうご自分で手当てできますよね、ダリアお
「……は?」
女性はそう言って部屋から出ようとしたが、香織は
「待て!」
「まだ何か? それよりご
香織のことをダリアお嬢様と呼び、令嬢だと言われたことに頭が追い付かない。その間にメイド服の女性は部屋を出ていってしまった。
(何がどうなって……そうだ、鏡!)
香織は今の姿を確認しようと、全身の痛みに
そこに映っていたのは、銀色の長い髪にルビーのように
「誰だよこいつ!? この鏡
鏡に右手を
(つーかこの容姿、どっかで見覚えが……それにダリアっつー名前も)
「――ああっ!」
しばらく考えた末、ようやく思い出す。
鏡に映る少女の正体……それはダリア・アグネス。
「うっ……!」
自分がダリアになっているとわかった
それはダリアの記憶。記憶の中のダリアは、いつも
ダリアが産まれてすぐに母親は
血の
今のダリアの
(思い出した……じゃあウチ、
家族の愛に
ひとつ目のルートでは、ヒロインたちと和解するまでは良かったものの、小さい
ふたつ目のルートでは、暴走してヒロインを殺そうとし、逆に攻略対象者に殺されてしまうという、バッドエンド。
そのどちらのルートでもダリアは死ぬ
そのためユーザーからは同情の声が相次ぎ、いつしか『悲劇の悪役令嬢』という異名をつけられたのだった。
(幼い頃から虐められた上に悪役令嬢にされて死ぬ運命なんておかしいだろ!)
アイハナにドハマりしていた香織ですら、ダリアのラストには不満を覚えた。いくらヒロインと攻略対象者の愛を深めるスパイスとはいえ、何も殺すことはないだろうと。
「こうなったらやってやるよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます