1-5
*****
怪我が治るまでは継母や異母妹に目をつけられては
そこまでは順調だったのだが、ダリアが一番困ったのは、実は食事だった。もともと食が細いためか、ダリアに用意される食事の量はとても少なかった。その内容もひどいもので、スープだけだったり
「お嬢様、食事をお持ちしました」
ダリアの侍女が食事を運んできた。彼女には継母の息がかかっているため、専属だというのにダリアの身の回りの世話もせず、食事を持ってくる以外はほぼ放置状態。ダリアと顔を合わせる度に
「はい、どうぞ。お
雑に皿を置いた反動で、テーブルの上に料理の一部が飛び散った。
「もう少し
侍女の態度は毎度
「この私に向かってなんですかその物言いは!」
「そっちこそいい加減その無礼な態度を改めるべきでは?
「はっ、私がお仕えしている主人はダリアお嬢様ではありませんわ」
主人は継母であると言いたいのだろう。とはいえ表向きの主人はダリアなのだ。侍女ごときが
だが
「私を不快にさせた罰です。食事は抜きにさせていただきます」
「……あぁ?」
侍女の態度にダリアは思わずメンチを切りそうになったが、すぐに
「貴女に私を
「奥様がお許しになるでしょう。まあ、ダリアお嬢様が私に謝罪すれば、今回は特別に許して差し上げますけど」
「いらねぇから、それ持ってさっさと出ていけ」
「なっ……!」
笑顔は
ようやく息を抜いたダリアは、ベッドの上に飛び乗ると侍女の姿を頭に浮かべながら怒りを
「まともじゃないのはてめえなんだよ……はあっ、いつかぜってぇ痛い目見せてやるからな……はあっ」
勢いは良かったものの、すぐに体力切れになったダリアは息を切らした。思うように体が動かず、再びベッドに横たわる。
「あーっ、もう力なさすぎんだろこの体……」
前世の自分だったら侍女を含め、ダリアを傷つけた人間をボコボコにできたのにと、
「腹減ったあぁぁぁ」
体力を使うと腹が減る。仕方なく早めに
こっそり部屋を抜け出し、
(もしかしてここ、結構穴場なんじゃ……?)
ダリアは裏庭に出てみようかと考えたが、まずは腹ごしらえだと思い直し再び厨房へと向かう。
厨房の中に使用人はおらず、明かりもついていなかった。ダリアは
ほしいと立ち上がった時だった。
「そこにいるのは誰だ!?」
たまたま通りかかった使用人が音を聞きつけたのか、厨房内の明かりをつけて中を
(やっべ!)
完全にその使用人と目が合ってしまい、ダリアは絶体絶命の大ピンチを迎えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます