見えざる者
赤き煌めきの惑わす夢
【あれ…? また……同じ夢?】
洋子は、真っ暗闇の中に1人で立っていた。緑色の光を探すが、何も見えない。
【彰くんに似た女の子は…いない】
きょろきょろと辺りを見回してみても、真っ暗闇が続くだけで何も見えない。
【1人ぼっちは嫌だな……】
前に夢でしたのと同じように、洋子は祈るようなポーズで膝を折る。
くすくすと上から声が聞こえたから、視線を上げた。すると、今日も光が見える。
【赤くて綺麗……】
今回見えた光は、赤色の光だった。洋子はその方向に手を伸ばす。真っ直ぐに伸ばすと……。
【やっぱり綺麗】
くすくすと笑ったまま、彰に似た少女が洋子の元に降りてきた。赤色に光って見えたのは、彼女だったようだ。
【あなたは誰……?】
洋子の周りをくるくると回る少女の髪の毛が、サラサラと揺れる。その度にルビーのような赤色の煌めきが舞って、洋子は少女に釘付けになってしまった。
【彰くん……? じゃ、ないよね?】
洋子の問いかけに、少女はまたくすくすと笑う。
そして、洋子の頬を小さな両手で包みこみ、洋子のおでこに口付けをした。
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