横井彰

再・入学式

また新たなるはじまりの夢

【ここはどこ…?】


 とある少女は微睡みながら、そんな事を思った。少女は真っ暗闇の中、1人佇んでいる。


【暗い……どこなの?】


 辺りを見回しても、目の前に広がるのは一面の黒だった。両手を前にして歩いてみても、どこにぶつかることも無く、ただ永遠に進み続けるだけだ。


【やだ…怖い】


 立ち止まった少女は、ギュッと胸の前で両手を組んで、祈るようなポーズで跪いて願う。


【帰りたいよ……】


 閉じていた目を開くと、目の前の暗闇の中にひとつの光が現れていた。暖かな緑色の光。それを追いかけるように、彼女は立ち上がり、走る。


【待って! 行かないで……!】


 走っても走っても、緑色の光には辿り着けなかった。


 どれだけ走ったか…夢の中なのに、少女は疲れてしまい立ち止まる。膝から崩れ落ちて、少女は息を整えた。


 俯いて呼吸を整えていた少女の髪がサラッと揺れる。


【誰……?】


 少女を撫でたのは小さな女の子だった。緑色の光の正体だろうか。女の子の髪はキラキラと緑色に光っていて、綺麗だった。


 その女の子が少女の頬を撫で…そのまま口付ける。


 。。。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る