本宮幸司
変わりゆく朝
青く悲しい夢
【また…ここ?】
洋子は、またもや同じ公園の、晴天の青空の下に立っていた。今度は現代の洋子しかいない。昔の…小さな洋子はどこにもいなかった。周りでひそひそと話す大人も、いない。
【あれは……? 幸司くん?】
黒髪なのに、どこか青みのある不思議な髪色。あれはまさしく幸司のもつ特徴だ。光に透けて幻想的で、風に吹かれれば更に綺麗な、透き通る海のような、あの色。
洋子は吸い込まれるように幸司の方へと歩いていく。
【幸司くん……?】
振り返る幸司は、ニコニコと優しい顔で笑ってくれる。そう思っていたのに……。
【泣いてるの……?】
無表情の虚ろな瞳で洋子を見つめた夢の中の幸司は、ポロッとひと粒の…青く輝く涙を零した。
【どうしてこんな夢を……。】
どうして幸司は泣いているのだろうか。どうして、こんなに動きがないのだろうか。幸司はまるで機械のように……。それこそ本当に人形のように、無表情のまま。
ただ金色に濁ったその大きな瞳から、宝石のようにキラキラと光る涙を流し続けている。
声をかけても反応しない。涙を拭おうと頬に触れても、何も反応してくれない。まるで洋子がそこにいないかのように、独りでポロポロと綺麗な涙を流しているだけだった。
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