第二十二話 お嬢様、やらかす。

 しばらくし、どうにか命からがら家に帰ってきた私は、リオ姉さまに泣きついていたのですわ。


「びえーん、ごめんですわぁ……私、絵里。何の成果も得られなかったのですわあああああ!」

「どうどう、落ち着いて絵里ちゃん……どうどう」


 そう言って抱きかかえられるようにベッドに置かれた私。


「ひぐっ……これじゃ、駄目ですわよね。ただでさえ使い物にならないのに、お使いすらまともにできないなんて……」

「絵里ちゃん……」

「リオ姉さま……本当にごめんなさいですわ」


 そう言って顔を上げると、リオ姉さまはじっと私の事を見つめてきましたわ。


「絵里……聞いて」

「リオ姉さま……」

「あのさ……脳みそ漏れてるよ」

「ほへ?」


 そう言われて頭を触ると、べちょっと音がして、指が刺さりましたわ。


「あ、本当ですの」

「ど、どうしよ⁉ きゅ、救急車!」

「大丈夫ですの、すぐ直るのですの~」


 そう言うと、私の頭は直ぐに綺麗に治って言ったのですわ。


「……ほら、ごらんのとおりですの」

「おおー凄い気持ち悪いね!」

「ひどいですの⁉」



【閑話休題】


 

 …………

 ……


「へ? くれるのですの?」

「うん! まあ、変身ヒーローにあんまり興味ない私より、特撮オタクの絵里に使ってもらった方が、きっとこの子もうれしいだろうしね」


 そう言って、リオ姉さまは変身アイテムを私に渡してくれましたの。


「……‼ やったーですの! うれしいですの!」


 そう言って私は変身アイテムを受け取りましたわ!


「こ、これが……特別な……ふへ、オタク冥利に尽きるのですわ‼」

「あはは~喜んでくれて良かった~」

「本当に、最高で……はっ⁉ べ、別に喜んでなんてねえですの!」

「あはは~」


 ほ、本当ですのよ⁉


「ととと、とりあえず私。ちょっと自分の部屋にこもってくるのですの! いやー明日は配信日だから、ちょっと体休めるのですのーーー……別に、ベルトで遊ぼうなんて考えてないのですの⁉」

「はいはい~」

「あ、り、リオ姉さま。絶対見るなですわ!」

「はいはい~」


 そう言って私は階段を駆け上がり、自分の部屋に入ると扉を閉めたのですわ。


「……ハ、ハわわ~姉さまの、変身アイテム……すっごいの手に入れてしまいましたわ……」


 は、はぁ……はぁ……


「……この幸せを誰かと共有したいの………ですの、写真撮ってツブヤキッターに投稿してみるのですわ」


 ……いつもは、しないのですが。

 この喜びを誰かと共有したいのですわ。


「……まあ、私のツブヤキッターは姉さましか見ていませんですし……ハッシュタグ付けたりしなければ問題ないですの……」


 注目されないですけれど、承認欲求は満たされるのですわ。


 そう思って私は、写真を撮ってツブヤキッターにあげたのですが……私はすっかり失念していましたの。


 バズってフォロワーが増えていたという事を。


「ふふ~ん……さて、動画でも見てゴロゴロするのですわー……って、あれ?」


 そう言ってゴロゴロしようとしたのですが、スマホの通知が鳴り響きましたわ。


 スマホを見ると、滅茶苦茶反応があったのですわ。


 な、なんで私バズってるのですの⁉

 見る見るうちに増えていくリツイート、いいね、諸々……


「あ、そう言えば私のアカウント三万フォロワー居ましたですわね……」


 そう言うと私は、頭を抱えましたわ。


「やらかしちまったですのーーーーーーー!?」




――――――――――――――


読んでくれてありがとうなのです!

作者からの少しの宣伝なのです。

新作を始めましたのですよ!


タイトルは『転生したら幽霊船だったので、この世のお宝すべて手に入れてやろうと思います。』

https://kakuyomu.jp/works/16817330665162212961


……知ってます? 船って彼女なのですよ。

是非読んで……コメントいただけたら最高に嬉しいのです!


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