とある零話・前半 お嬢様はあの日…… ※注意、暗い話です
私……アスカは惨めで最低な女だ。
「本当に、なんで……クソっ」
そんな最低な私は土砂降りな雨の中を走りながら涙を流していた。
クソっ、くそっ……クソっ!
大体何で私がこんな惨めな気持ちになってんだよ、くそ……
「なんで私なんかに、気を使うんだよ……」
私が惨めな気持ちになった理由。
そう半年前位前……私がまだ学校に通っていた時の話だ。
……
「おっはー……なんだよ、まだ田中のやつ着てねーのかよ~」
そう言って教室に入った周りを見渡した私はつまらなさそうに席に着いた。
すると、周りの女子数名がアスカの机に近づいてきた。
「おはよ~アスカちゃん~」
「アスカちゃんおはよ~」
「ミサキ、ユウナおはよ~。他のみんなもおはよ~」
そう言って挨拶してくる私の取り巻き連中ども。
この学校は、まさに私の楽園だった。
「そういや、昨日のアレは傑作だったな」
「あれって? ああ、あれねw」
「そうそう。あいつの教科書燃やしたじゃん? あいつったらさ、黒焦げになった教科書そのまま使ってやんのw」
「本当受けるw」
友達がいて、彼ピがいて。おもちゃがいる。
まさに最高。天国みたいな場所だった。
あの言葉を聞くまでは。
そう言って盛り上がっていた私たちの間に、ホームルーム開始の鐘が鳴り響いた。
分かれて、先生を待っている時……私は気がついた。
「あれ? あいつまだ来てねえな」
そう呟いた後、すぐに先生が入ってきてホームルームが始まったのだが何か様子がおかしい。
いつも、明るい先生なのに今日は元気がない。むしろげっそりと、病的なほどに顔が青い。
私たち生徒がそんな先生の様子を見て動揺していると、青ざめた顔で先生はぽつりとつぶやいた。
「田中さんが死んだ」
その日から、天国は地獄になった。
向けられるのは蔑みの視線
「うわぁ……学校来たんだ」
「うわっw マジかよ」
「どの面下げて来たんだろうね~」
彼氏は離れ、友達は敵になった。
「人殺し」
誰かがそう言ったやいた。
人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し……
煩い。黙れ。
私は幻聴を振り払い、机の中に手を入れた。
……次は確か国語の授業……あれ?
「あれ、教科書……」
「ああ、あんたの教科書なら……ほら、あそこ」
そう言って、刺された場所はゴミ箱だった。
ゴミ箱の中を見れば、そこにあったのは黒焦げた私の教科書だった。
「……くすくす」
それからも、何回も……私へのいじめは続けられた。
まるで、私があいつにやったように。
そんな生活が続いたある日、私は玄関で足が動かなくなった。
きっと、心が折れたんだろう。
「私だけが、悪くないよ……そうだ、私だけが悪くなくない。皆、皆悪いんじゃない? はは、あはは……」
それから私は学校に行かなくなった。
両親は心配してくれたけど、それが…また苦しかった。
引きこもりになった私は、動画サイトで動画を見続けるのが日課になっていた。
見る動画はいつも決まって、ダンジョン配信。
そんなとち狂った世界が、私を何故か魅了した。
そんなとち狂った世界の中で、【晴値リオ】という配信者が私は一番好きだった。
彼女の元気は、荒んだ私にとって、一つの生きる理由だった。
今日も又、【晴値リオ】の動画を見る。
今日も……今日も…また。
「あ……今日リオさんのグッズの発売日か」
そう言って、私は外に出かける準備をする。
本当は外に出たくない、けど……欲しいグッズがあるから。
「……服、どうしよ」
そう言って私はクローゼットを漁る。
かび臭くなったクローゼット。
「……これでいいか」
そう言って選んだのは学校の制服だった。
他の服は面倒だし、見ているだけでも辛くなるから。
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