第十八話 お嬢様、死んだことにされている
「フォンタ、うまうまですわッ!」
リオ姉さま方が映画館に中に入って言ったのを見送った私は、フードコードにて一人ポツンとフォンタを飲んでいましたわ。
「それにしても……何気に初めてリオ姉さま以外の【ダンライバー】のライバーに会いましたわね」
なんて思いながらふと遠くに目線をおくっていた私は、一人寂しそうにポツンと座っていた金髪の女子高生を見つけましたわ。
「あら? あれはもしや、アスカさんでは? あれは…………」
あれはもしや……友達と遊びたいけど友達いなくて、寂しく一人で休日に遊びに来たの図ではないですか⁉
わかります。わかりますの!
私もよく……よく………うぅ、眼から汗が出てきましたわ。
よし、少しお話でもしてあげましょうか……なんて思っていたら、明日香さんに他の女子高生が声をかけているのがみえましたわ。
「……そう言えば、アスカさんって私と違って友達多いんでしたわね……クソっ……おっと、口が滑りましたわ。――たぶん、今日も友達に皆様方と一緒に遊びに来てたのかもしれませんわね? クソがですわ。」
ま、友達と一緒に遊びに来ているのでしたら、ただのクラスメイトであるだけの私が話しかけるのはナンセンスですわね。
あ、でも、なんかそれとなく、偶々会いましたわねーって明日香さんに話しかけたら、なんか、そこはかとなくうまくいって友達ができるのでは?
『おーっほっほっほ、さっきぶりですわね明日香さん、それとお友達の皆さま初めましてですわ~』
『あー絵里ちゃんだー。皆―絵里ちゃんが友達になりたいって~』
『わーそれじゃあ友達になろー』
『わ~い、私たちは友達だー』
……
「よし、行けますわ……これぞまさに、天才的お嬢様。早速アスカさんたちに話をしに……おや?」
話しかけて、友達ゲット!
なんて楽観的に思って見ていたのですが……何処か険悪な雰囲気が満ちていますわね。
「……早く、出すものだしなさいよ~、私あんたなんかより何百倍も忙しいんだから早くしてよね~」
「あんたらなんかにあげる物なんて、紙きれ一つないよ」
「え~、あんた立場分かってるの? あんたが殺したんだよ? あの子を」
「……ッ」
「ね~、だからさ……ちょっと、あんたどこ見てるのよ」
ゆっくりと近づいていた時、真っ先に気がついたアスカさんと目が合いましたわ。
と、とりあえず……なんか凄い険悪ですけれど、こ、声かけて見ましょうかですわ?
喧嘩とか起こっても、大変ですし……いや、コミュ障の私に何かできるわけではないですが一応……友達になれるかもしれませんし。
そう思い、意を決して私は話しかけましたわ。
「……あのですわ~」
「は? 誰……いまちょっと……は? 嘘っあんたは、エリ!? 死んだはずなんじゃ?」
「ちょ、いきなり失礼ですわね! 私、生きてますわよ! ほら、ちゃんと足着いていますし」
そう言ってプランプランと足を揺らしましたの。
そう、していると目の前の……リーダー格の女子高生が舌打ちをしましたの。
「っち……帰るよ、皆」
「あ、ちょっと先輩~待ってくださいよ~」
そう言って去っていく女の子たち。
「ほへ? もしかして、私行っちゃいけないことでも言ってしまいましたのっ⁉」
「ううん、特に……あいつらが勝手にビビッて逃げただけだし」
「ビビる要素どこにありましたの?」
「あるよ……沢山」
「ほへ? そうだったんですの?」
「それより……」
そう言って立ち上がったアスカさんは睨むように私を見てきましたわ。
「あんた、何しに来たの?」
「へ? ああ、なんかアスカさんがいたので話しかけようかと思いまして」
「それだけ?」
「ええ、それだけですわ」
「あっそ」
そう言って、アスカさんは目を伏せ背を向けて歩き出しましたわ。
「あっちょっと……ですわ」
「……何? なんか……言いたいことあるの?」
「その……大丈夫ですの? すごく、傷ついているような顔していますけれども」
「……ッ。別に」
「あ、ちょっと」
そう言って、アスカさんは去っていきましたわ。
去っていく前に、「あんたに同乗されると、余計惨めな気持ちになるんだよ……」とそんな声が聞こえた気がしましたわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます