第十六話 お嬢様、恐れられる。
「あれ? 二人とも絵里と知り合いだったの?」
「え、えっと……知り合いというか、その……」
そう言って目をそらすレナさん。
まあ、出会い方があれですからねそんな反応されるのも無理在りませんわ。
……というか、リオ姉さま。あんた、その配信のアーカイブ見てますわよね?
「まあ、二人が絵里と会ったことあるのは知ってんだけどね!」
「我が姉ながらめんどくせーやつですわ」
そう、言い切ったリオ姉さまに私は突っ込みを入れましたわ。
「えへへ~褒めても何も出ないよ~」
「褒めてねえのですわ」
そう言って私は、もう一度突っ込みを入れたのでしたわ。
【
あれから、食事を終えた私たちは食後のデザートであるデラックスパフェをパクパクしていましたわ。
「生クリーム、パクパクですわッ‼ ……ちょっと、リオ姉さま。私のイチゴ取らないでくださいましっ⁉」
「ふふーん、残してた絵里が悪いんだよ~」
「ぐぬぬ~……だったら、こうなのですわッ‼」
「あっ!? ちょっと~私のサクランボ取らないでよ~」
「ふんっ、私のイチゴを取ったあんたが悪いのですわ~……もぐも、あれ? サクランボどこ行ったのですの?」
「ふっ、遅い、遅すぎるよ絵里ッ! すでにサクランボは私が取り返したっ!」
「はっ!? リオ姉さまの鼻の穴にサクランボが!?」
「へ? ……あ!? ここ、口じゃないっ⁉」
「あんた馬鹿ですのっ⁉」
そう言って、リオ姉さまは鼻の穴のサクランボを食べましたわ。
……うわー、ばっちぃですわ。
流石にドン引きなのですわ。
ちらっと目の前を見ると、後輩さん二人組もドン引きの御様子で……あれ? なんでその目私にも向けられてますの?
そんなことを考えていたら、サクランボとパフェを何時の間にかぺろりと平らげたリオ姉さまが立ちあがりましたわ。
「ふー食べた食べた~ちょっと、トイレ行ってくるね~」
「ア、ハイ」
「い、行ってらっしゃい~」
「なんでお二人そんなひきつった顔してますの?」
「き、気のせいだよ~ね~レナちゃん~」
「う、うん……別に今の二人の会話に引いてるわけじゃないヨ」
そう?
そうですの? って、完全に引いてますわよね?
全く、リオ姉さまのせいで私までイカレ頭だと思われてしまうじゃないですか。全く心外ですわ。
「そ、それにしても、リオ先輩と絵里ちゃんって凄い仲よさそうだね」
「へ? 別に、仲なんて……良すぎるに決まってますわッ!」
「めんどくさい所も似てるね~」
「なんか言いましたの?」
「い、イエマッタク」
そう引き攣った顔で言うレナさん。
その横ではロナさんが、これまた引き攣った顔で赤べこの如く首を縦に振っていましたわ。
「……まあ、姉さまの事は大好きですわ。ずっと私の事を一人で育て上げてくれましたし。まあ、そりゃあリオ姉さまは馬鹿で、イカれた事をしますけれども、それでも。それ以上に、姉として……親として、人間として……大好きなのですわ」
「そっかー」
「確かに、リオ先輩ってたまに凄い行動することあるけど、人間としてよくできた人だよね~」
そう言って、二人はうんうん、と頷いた。
そう、リオ姉さまってイカれた感性してますけれど、結構人間としてはまともなんですよね~。
人間としてまとも……まとも?
『絵里今日暇ー! じゃあ、バスケしようぜ! お前がボールな!』
『絵里ー今日暇でしょ!? じゃあ、サッカーしようぜ、お前がボールな‼』
『絵里ー今日暇だよね? 暇でしょ? 暇ってことにするね! 釣りしにいこーお前が餌ねー』
まともじゃねえですわね。
一体どこに、妹をボールにする姉がいるというのですのっ⁉
ま、まあ、昔の事ですし……今は十分人間として成長しているはずですわ!
はず……はずですわよね?
「あ、そう言えば……最近定期的にリオ姉さまには真っ二つにされてますわね」
「へ? 真っ二つにされる?」
「えっと、それは……何かの比喩表現……だよね?」
「いえ、比喩でもなんでもなく……」
「やあ、やあ皆の衆、リオ様が只今かえってき……」
ツルッ‼
と、話をしているとリオ姉さまが席に戻ってきて……戻ってきたかと思った次の瞬間、リオ姉さまは盛大にずっこけましたわ。
「キャッ⁉」
バランスを崩したリオ姉さまは、体制を整えようとして……私の頭を掴みましたの。
「ん? ですわ?」
そして、私の首はとんでもない方向に回り、気がつけば体と首がバイバイしていましたわ。
「「首取れたああ!?」」
「ギャアア!? 何やってるのですわあああ!?」
「「首だけでしゃべってるううう⁉」」
「あ、ごめんっ!」
「ごめんじゃねえですわよおおおお! 早く首、元に戻してなのですわああああああ!」
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