第十話 お嬢様、スケルトンに追いかけ回される

「骸骨ですわああああああ……ぁ……そう言えば、私も同じような物でしたわ」

『カタカタカタカタ』

「いやービビらせるんじゃないですわよ、全く……ま、まあ別に私、骸骨とかそんなに怖くなんてねえですから? べ、別にへっちゃらなのですわ‼」


【コメント欄】

”膝ガックガクで草w”

”ってかなんで骸骨あんの? 普通ダンジョン内の死体ってすぐに亡くなるんじゃないの?”

”悲報(?)汚嬢様、ビビりだったw


「べ、べべ、別にビビりじゃないですわッ‼ っていうか、骸骨があったところで何がどうなんですのっ⁉ 骸骨なんて、別に動いたりしないのですわっ! だ、だだだ……だから怖くなんて、怖くなんてないのですわッ‼」


 そ、そう。きっと、骸骨の口元がカタカタ揺れてるのも、怖がってるから幻覚を見ているのですわ……はっ、べ、別にビビってないのですわッ‼


 なーんて心の中で思いながら、現実逃避の為にコメント欄に私は目を落としましたわ。


【コメント欄】

”お嬢様、ソレ、ただの骸骨ちゃう。スケルトンや”

”お嬢様ーそれアンデットモンスター‼ 早く逃げて―”

”ランク二モンスターなんだよなー”


「……はーそうなのですわねー……スケルトン……あー……、貴方、モンスターなんですわね」

『カタカタカタカタ』


 そう尋ねると、スケルトンはどことなく首を縦に振りましたわ。


「ほーん、そうなんですわねー……」

『カタカタカタカタ』

「……スッ」

『カタカタカタカタ』


【コメント欄】

”スケルトンに確認取ってて草w”

”ナニコレw”

”なんだろう、スケルトンが可愛いく見えて来た”

”俺もw”

”お嬢様早く逃げて―‼”


 ふ、言われなくとも……


「逃げるんだよーーーーーー……ですわーーーーーー!」

『カタカタカタカタカタカタ‼』

「ぎゃああああ⁉ 追いかけてくるなですわーーーー!?」



 こうして、私とスケルトンの逃走劇は始まりましたわ。

 それは正に、穴の中の運動会。

 円状になった穴の中を私は必死に逃げて……逃げて………逃げ……


【コメント欄】

”な・ん・だ・こ・れ”

”汚嬢様、意味ないことしてて草w”

”ここ、密室だから逃げても無駄なんだよなー”

”汚嬢様、魔物、密室で二人きり、何も起こらないはずもなく……”


 はっ……確かに、こんな狭いところで逃げても意味ないですわねっ⁉


 私は、振り向きスケルトンに向き合いましたわ。


『カタカタカタカタ』


 骨を鳴らしながら走って近づいてくるスケルトン。


 密室、接近戦。

 こうなったら……アレを使うしかないですわね。

 私の……必殺技。


『カタカタカタカタ』

「く、こうなったら……秘儀――」


 そう言って私は、左手を思い切り後ろに引き……


「喰らえ、ゾンビパーンチ‼ ですわーーーー!」


 思い切り降りぬかれた拳は肘から引きちぎれ、まるでロケットパンチの如く飛んでいきましたわ。


『カタカタカタカタ………カタ―!?』


 私のパンチを喰らい、スケルトンは粉々になったのですわ。

 

【コメント欄】

”腕が飛んだ―――!”

”グロくて草w”

”自分で切り離すんかいw”

”普通に強くて草w”


「これぞ、正義は……か、か……」


【コメント欄】

”あれ? どうしたのお嬢様?”


「腕が、腕がちぎれたのですわあああああ!?」


【コメント欄】

”自分でちぎったんじゃないんかいw”

”悲報、アクシデントだったw”

”汚嬢様の体脆すぎいいいい‼”


「ぎゃああああああ‼ 腕がああああああああ取れましたわ! オホーーーー―」

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