無双の末に対峙するは

 続く第二ラウンド、デュアルショットガンでゲントをしばき倒して試合を終わらせた後も俺は、何戦か対戦を重ねていた。




 二戦目、VS大剣使い。

 さっきと同様、バリアがウザかったが、二ラウンドとも大剣をパリイで弾いて体勢を崩したところに返しのショットガンを炸裂させて勝利。




 三戦目、VS二丁サブマシンガン使い。

 魔法を織り交ぜる中〜遠距離型の戦闘スタイルで、いわば短剣をサブマシンガンに持ち替えたゼネみたいな奴だったが、原因は分からんがゼネと比べて魔法の発動速度が遅かった。

 結局、大盾のゴリ押しで近距離戦に持ち込んで二ラウンド奪取、そのまま勝利。




 四戦目、VSガトリング使い。

 とにかく火力ガン積み、MPが続く限り弾幕をばら撒くヘヴィガンナー。

 MPとTECだけにパラメーター振ってんじゃねえかってくらい一発一発が強力で、途中何度も大盾を破壊された。

 そのせいで思うように近づけないでいたものの、調子に乗ってばら撒き過ぎたが故にMPが尽きたところをしっかりと咎めて第一ラウンドを奪取。

 第二ラウンドは、トリガハッピーになるのを日和って攻撃の手が緩んだところに、適当にグレランをぶっ放して更に動きが鈍ったところに突撃を仕掛け、近距離で一方的にしばいて勝利した。




 五戦目、VS早撃ちガンマン。

 カウントダウンが終わる直前にリボルバー二丁を呼び出して、早期決着を狙いに来ていた。

 ほんのちょっとだけ驚きはしたが、練度が低いおかげで予備動作が遅く、防御は余裕だったから、盾で防いであとは流れるように接近からのショットガンでしばいて第一ラウンドは勝利。

 二ラウンド目は、逆にこっちからぶっ放した初手グレランが運よく直撃したおかげで撃破し、勝利となった。

 早撃ちメインに戦うんだったら、もっと練習することだな。




 六戦目、VS鞭使い。

 メインは魔法をぶっ放しつつ、近距離は鞭をぶん回して間合いの内側に入れないような戦闘スタイルのソーサラー。

 アビリティによるものか、やたら鞭の追尾性能が高いのに加えて、地味にスタン性能があるから下手に近づけないのがネックだった。

 離れた位置からグレランで崩しを入れて接近しようにも、鞭と魔法で撃ち落とされるわ、バリアで防がれるわで埒が明かなかったから、鞭の間合いのギリ外側からデュアルショットガンを乱射しまくってバリアごと削り倒した。

 戦っててウザいって感情が先に出てくる、良い悪い対戦相手だった。






「よっしゃ、完封六連勝! やっぱ勝てると気持ちいいな!」


 一手が勝敗を分ける超絶デットヒートな接戦だったり、どう考えても向こうが優勢な格上相手にジャイアンキリングかますのも大好物だが、今みたく無双しまくって勝つ対戦も爽快感があって悪くない。


 けど、こうも無双が続くってことは、俺と今のランク帯のプレイヤーと実力にかなりの差があるということだから、あまり長居するのもよろしくない。

 あと一戦くらいやったらランク戦に移行するとしようか。


 あ、でもその前に折角だ。

 グレランを別の武器に持ち替えて……と。

 よし、準備オーケー。


 という訳でラストバトルのマッチング開始。

 数秒後、完了した対戦相手を見て、


「うげ」


 思わず声が漏れた。




————————————


対戦相手が見つかりました。

まもなく戦闘マップへ転送開始します。


プレイヤー:ティア(ランクF)

MAP:荒野A


————————————




「おいおい、マジかよ……!!」


 いや、名前被りって線もある。

 別にティアってプレイヤーネームは珍しいわけでもない。

 名前が一緒の別人って可能性も……。


 思考を巡らす内に戦闘マップに転送され、周囲の景色が一発目にゼネが戦っていたのと同じ荒野に切り替わる。

 そして、前方に立っていたのは——、


「ですよねー」


「あー、やっぱアラヤだった!!」


 案の定、俺がよく知るティアだった。


「マジかよ、お前が相手か……」


 でもまあ同じランク帯、同じ時間帯でランダムマッチしてるんだ。

 タイミングが良い感じに重なって対戦相手になる可能性もゼロではないか。


 連勝チャレンジ中に当たりたい相手ではなかったけどな。


「ふっふっふー、ここで会ったが百年目! 勝たせてもらうよ!」


「はっ、誰が勝つって!? 来いよ、バチボコに返り討ちにしてやるからよ!」


 完全に想定外のマッチアップ。

 だけど、ここを白星で飾れれば最高に脳汁溢れること待ったなしだ。


 ——何よりコイツとなら本気の本気でやれるからな!


 カウントダウンが始まる。

 俺は大盾とショットガンを、ティアはマシンガンを二丁呼び出して互いに構える。


(なるほど、罠は張らずに弾幕で押し切るスタイルか)


 確かに射程の関係上、俺に対しては下手に罠を張るよりもそれが有効打ではある。

 俺は近づかないと始まらないが、向こうはマシンガンをぶっ放してるだけで一方的に攻撃できるからな。


(しくったな、グレランのままにしときゃ良かったか……)


 初手適当グレランで不意打ちが出来たら、接近もいくらかやりやすくなったんだろうが……外しちまったもんは仕方ねえ。

 別の方法で攻めるだけだ。


 そして、カウントダウンがゼロになり——ティアとの一ヶ月振りのガチバトルが始まった。




————————————

一ラウンド中にMP切れで残弾が尽きるケースはあまり無いのですが、発生するとすればそもそものMPが少ないか、単純に無駄撃ちが多すぎのどちらかが原因です。

四戦目でガトリングを使ってたプレイヤーが弾を撃ち尽くしてしまったのは、そのどっちもですね。ガトリングはオーバーヒートが発生しない限り、リロードを挟まなくて良い分、弾の消費がえげつなく早いので。

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