怒涛の修了試験

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PN:アラヤ

Lv.6

所持金:1000ガル


ロール

レンジ:クロス

ポジション:ガンナー

クラス:タンク


パラメーター

HP:50

MP:40

ATK:15

DEF:40

SPD:10

TEC:70

LUK:10

アビリティ

スプレッドショット/パワーガード/クイックリロード/プロヴォーク


装備

メイン:旧式散弾銃

サブ:タワーシールド

頭:-

胴:支給隊服(上)

腕:革手袋

腰:支給隊服(下)

脚:戦闘ブーツ

アクセサリー:-


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 戦闘が始まってからおよそ三分。

 俺は防戦一方の状況に追い込まれていた。


「クソッ、連携上手すぎんだろコイツら!」


 上空からはガルーラダが広範囲に拡がる炎を纏った熱風を飛ばし、後方からはヴィイミーが地味に追尾性能のある黒くて禍々しいオーラのエネルギー弾を放つ魔法、それとこちらを引き摺り込む闇の球体を発生させる魔法を発動してきている。

 おまけにランページジャガーが二体の攻撃の隙を埋めるようにして攻撃を仕掛けてくるせいで、未だ良い感じに反撃に転じることができずにいる。


 弾丸節約と敵の行動パターンを探る意味合いで様子見から入ったけど、初手はダメージ覚悟で地上にいるどっちかを確実に潰すべきだったか。


「チッ」


 舐めているつもりは一切なかったけど、普通にキツいぞ、これ……!!

 つーか、この難易度……冷静に考えてもチュートリアルでやらせるようなレベルじゃねえよ。


 ソロで三体討伐の時点で中々にダルいってのに、そこに連携も組み込まれたら面倒なことこの上ない。

 なんというか、クオリティの高いソマガをやってる気分だ。


 だからちょっとだけ懐かしい気分になってるけど、残念ながら全然嬉しくはない。

 どうせなら良い思い出でソマガを懐かしみたかったな!


 まあ、それは一旦頭の片隅に追いやるとして、


「まずは、どうにかして突破口を見つけねえと……!」


 被弾覚悟でヴィイミーに突っ込むか……?


 一応、俺の耐久なら多少強引に距離を詰めても致命傷になることはないだろう。

 けど、向こうが俺の接近を感知して退かれたら一番厄介だ。


 俺の機動力だと奴に追いつくよりも先に、ランページジャガーの横槍が入る可能性が高い。

 そうなったら今と同じ状況に逆戻りだ。

 二回目も同じことがやれる保証が無い以上、勝負を仕掛けるのは、確実に間合いを詰められる瞬間を見つけてからだ。


 ということで様子見は続行。

 防げそうな攻撃は大盾でガードして、熱風やら闇の引き寄せ球体やらの盾じゃどうしようもない攻撃は先読みして範囲外に退避しながら、虎視眈々とチャンスを窺うことにする。


 ——こうなるんだったらSPDにもステータス割り振っとくんだったな。


 今更後悔しても後の祭りではあるが、ついついそんなことを思ってしまう。

 とはいえ、現状そういう状況に陥ってしまってるってだけで、今の配分が失敗だったとは考えていない。


 三体を相手にして安定して耐久できてるのは、HPとDEFに多くポイントを割いているからだし、ガンナーの火力はアタッカーよりもTECに依存している部分が大きいからだ。


 実戦訓練をこなす合間にATKと筋力の関係性を調べていたついでに判明したのだが、どうやらガンナーが生成する弾丸の性能はTECの高さが関係しているらしい。

 加えてクリティカル率と威力もTECに影響されるとのことから、ガンナーにとってはTECが実質的な攻撃力となっていた。


 ソマガも似たような仕様になっていたから、何となく予想してたことではある。


「あとは散弾を叩き込めさえすれば、確実に一体は落とせるんだけどな……!」


 問題はいつ攻勢をかけるか、だ。

 それとなくタイミングのイメージは浮かびつつある。


 それは——ガルーラダとヴィイミーが同時に攻撃を仕掛けた瞬間だ。

 炎の熱風と闇の魔法(できればエネルギー弾が理想的)が放たれた隙を狙って、強引にヴィイミーに接近する。


 攻撃後は僅かな間、無防備な状態になる。

 鈍足気味な俺の足でも距離を詰め切れるはずだ。


 一発程度なら強攻突破を仕掛けても耐えられるだろうし、ランページジャガーのインターセプトもやり過ごせる。

 勿論、防御をしくじれば即お陀仏ってことになりかねないが、その時はその時だ。


 ——それに多少のリスクを払ってでも賭けにでないと、このままジリ貧のまま終わるだろうしな。


 そうして、もう暫く攻撃を耐え凌げば、遂に好機が訪れる。

 ガルーラダが炎を纏った熱風を放ち、ヴィイミーが黒いエネルギー弾をほぼ同時に放ってきた。


「——来た!」


 瞬間、俺はヴィイミーに向かって突撃を仕掛ける。

 炎の熱風を強引に潜り抜け、飛んでくるエネルギー弾は一時的にガード性能を向上させるアビリティ”パワーガード”で無理矢理防ぐ。


「ぐ……っ!」


 火炎によって全身が焼かれ、ゴリゴリとHPが削れていく。

 一瞬で六割くらいHPを持っていかれたが、一方ヴィイミーの攻撃はノーダメでやり過ごすことに成功する。


「よっしゃオラァ!!」


 ここまで来たなら賭けに勝ったも同然だ。

 ヴィイミーを射程圏内に捉える直前、案の定ランページジャガーが俺の動きを止めようと飛びかかって来るが——、


「行動が読めてれば何も怖くはねえよ!」


 大盾で攻撃を防ぎ、体勢を崩してから横腹にカウンターの散弾を叩き込む。

 ついでに通常よりも攻撃範囲と威力を上昇させるアビリティ——”スプレッドショット”を発動させ、より仰け反り効果をデカくして逆にランページジャガーの動きを封じる。


 それから改めてヴィイミーに肉薄し、超至近距離でショットガンを構え、


「まずは一体、落とさせてもらうぜ」


 ——弾丸を炸裂させる。


 魔法使い系とか狙撃手みたいな遠距離型の後衛は、射程の長さと攻撃範囲のせいで接近は困難ではあるが、逆に言えば近づけさえすれば一方的にブチのめせる。

 モンスターだと少し勝手は違うだろうが、魔法での攻撃が主体なら近接戦闘は苦手なはずだろ。


 更に一定時間リロードを短縮させるアビリティ”クイックリロード”によって瞬間火力を更に高め、一気に攻撃を畳み掛ける。

 そして、MPの三分の一近くを消費して一方的に散弾をぶっ放し続ければ、程なくしてヴィイミーは全身をポリゴンの粒子へと四散させるのだった。




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ガンナーのTECはかなり重要視すべきステータスではありますが、ポイントを極端に振り過ぎるとMPがすぐ枯渇して弾が撃てなくなるので、配分には注意が必要となっています。

なのでガンナーのステータス配分は、継戦能力を意識したMP重視型、主人公のように一発の火力に重きを置いたTEC特化型、その両方を同じくらいの比重に据えたバランス型の大きく三タイプに分かれています。

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