310話 壊れたダンジョンと、無事な子供たちと

【見えない】

【何も見えない】

【見え】

【見えない】

【この先の人生が見えない】

【草】


【ハルちゃんの攻撃って、すっごく輝くからカメラが真っ白になるね】

【ホーリージャッジメントだからな!】

【聖なる裁き……】

【これが悪を討伐する光か……】


【これってさ、なんかあのときのに似てない? ほら、2発目の新型ミサイルが撃ち込まれた直後に、ダンジョンから宇宙まで伸びてた綺麗な光に】


【あっ……】

【え?】

【もしかして:あれ、ミサイルの威力じゃなくて】

【ハルちゃんの反撃だった……?】

【いやいや……いやいや】


【でもこんな攻撃、他にできないでしょ?】

【あれで合衆国の軍事衛星も壊れたんだっけ?】

【踏んだり蹴ったりで草】


【……ノーネームちゃんは?】

【あっ】

【あー】

【確かに、ノーネームちゃんならやりかねん……】

【え? じゃああれ、ノーネームちゃんの攻撃?】

【あのときのハルちゃんじゃ、こんなのムリだしなぁ】


【でもあのときのノーネームちゃんはドラゴンさんで】

【いや、お人形さんに乗り移ってた?し、本体は精霊とかなんじゃ】

【天使だって言ってるだろ!】

【実体のない天使……いや、まさか】

【ってことは……ノーネームちゃんも、これ、できる?】



【大変】


【疲労】


【ダルダル】


【モウヤダ】



【草】

【マジかよ草】

【だるくなるのね……】

【もーいやなのね……】

【ノーネームちゃんの本音で草】


【ノーネームちゃんえらいいいい】

【ノーネームちゃんかわいいいい】

【草】

【ノーネームちゃん! ないないしすぎ!!】


【え? てことは、ハルちゃんも魔力回復したら……ホーリージャッジメント、地球でもできちゃう?】


【だから10年前にしてたんだろ、あっちこっちで】

【マジか……興奮してきたたたたた】

【えぇ……】

【草】

【これで魔王がびびって諦めてくれたらいいんだが……】


「……もう大丈夫そうです、ありがとうございます」


「ん」


視界が明るくなる。


どうやら僕は、ノーネームさんの羽でしっかりと縛られていたらしい。

背中は羽で、体はノーネームさん自身の体で。


……あれ?


なんで僕、抱きつかれてたんだろ。


あ、そういえばさっきからそうされてたっけ。


【ノーネームちゃん、お前……】

【ま、まあ、今のはハルちゃんのこと守ったらしいし……】

【でもそれに全身フィットで抱きしめ合う必要は?】

【ノーネームちゃん! セクハラよくない!!】

【いや、百合としてなら、これはこれで……】

【双子百合……】


ちらりと階段を見てみると、そこは僕たちの影になっていたらしく、多分爆風とかも来ていない様子。


っていうか……うん。


「いやぁ……ちょっとやり過ぎちゃったかなぁ」


僕が、ホーリージャッジメントを放った方向。


そこにあった、数キロか十数キロ先の広い壁が、丸ごと消失している。


上を見上げてみると、天井のところどころが剥がれ落ちてて、上の階層がむき出しに。


両隣もまた壁が半分くらい――砂場で、スコップで軽くしゃくっと削った感じになっていて。


「せめて、床は歩きやすいようにしとけば良かったかなぁ」


――床は、放射状にクレバスとなっていた。


……ちょっと……いや、そこそこやり過ぎちゃったかもしれない。


しょうがないじゃん、なんかイラってしたんだからさ。


虫の居所が悪かったんだ。

僕は悪くない。


僕の大事な子供たちを危険な目に遭わせようとした魔王さんの手下が悪い。


よし。


【ひぇっ】

【あの、ダンジョン、非破壊オブジェクト、壊せない】

【ふぁいやーぼーるでもちょっと融解する程度だったのに……】

【最初のホーリージャッジメントでも、地面が穴ぼこになる程度だったのに……】


【ダンジョンが……】

【崩壊してる……】

【なぁにこれぇ……なぁにこれぇ……】


【もしかして:本気のホーリージャッジメント、やばい】

【何を今更】

【お前は一体何を見てきたんだ?】

【草】


【今までどんな攻撃でも削るくらいしかできなかったからこそ、非破壊オブジェクトってことになってるダンジョンを……こんなにも簡単に……】


『あ、あるぅ……』

『のうむ……?』

『――、ごめさい』

『めさい』

『めんさい』


【草】

【かわいい】

【普通にひょっこり出て来た子供たち】

【怯えている】

【そらそうよ……】


おずおずと、顔だけ出してきてる子供たち。


……その顔を見て、ようやくに体があったかくなってきた。


「……おいで」


子供たちを向いて、腕を広げる。


『!!!』

『ある!』

『あるあ……♥』


だっと走り出してきた子供たちが、体当たりするように抱きついてくる。


ぎゅっと、僕にしがみ付いてくる感覚。


それは、紛れもなく現実で。


――ああ。


良かった。


子供たちが、生きている。


あったかくて、子供っぽい匂いで。


「また、君たちを護れて……良かった」


【ハルちゃん……】

【優しい】

【女神だ……】

【ああ……】

【存在そのものが女神なのね、ハルちゃん……】


【この子たちがやばくなったって思ってのマジギレだったもんなぁ】

【やっぱりハルちゃんは人間の守護女神……】

【性質的には鬼子母神的なのか……】

【俺たちが……俺たちが、ハルちゃんの子供……!】

【なにそれすごく素敵】

【ああ……】


【主神ハル様を称えよ!】

【これは称えるしかない】

【あ、でも、崇拝する主神に欲情するのは大変興奮するるるるる】

【草】

【えぇ……】


【大丈夫、ハル様に不敬な欲望を抱いたらノーネームちゃんがないないしてくれるから】

【草】

【ノーネームちゃんガード……完璧だな!】


【ていうか……え? 始原的にノーネームちゃんはどういう立ち位置なの?】

【確かに、ハル様に対してノーネームちゃんって】


【え?  同士】

【ちょっとずるいけど、能力的にしょうがないかなーって】

【でも分け前はほしいかなーって】

【ノーネームちゃんも愛でたいなーって】

【ノーネームちゃん、生えてたりしないかなーって】


【草】

【姉御ォ!】

【一気に緊張感なくなってて草】

【始原だからね……】



◆◆◆



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